第25回「参議院議員通常選挙」の戦いが始まった。

 

2019年7月4日、公示

2019年7月21日、投開票

 

 

まずは、7月4日(公示日)時点での党勢を見てみる。

 

◆与党 <計147……非70/改77>
◆野党 <計77……非43/改34>

◆諸派 <計2……非0/改2>

◆無所属 <計11……非8/改3>

 

◆欠員 <計5……2016年当選0/2013年当選5>

・鴻池祥肇

(自民党/兵庫県選挙区)

2018年12月25日、逝去。

 

・島田三郎

(自民党/島根県選挙区)

2019年5月8日、逝去。

 

・渡辺美知太郎

(旧みんなの党で当選→無所属(会派は自由民主党・国民の声)/比例区)

2019年4月12日、那須塩原市長選挙に立候補するために辞職→当選

 

・井上義行

(旧みんなの党で当選→無所属(会派は自由民主党・国民の声)/比例区)

2019年6月26日、自民党公認で参議院選挙に立候補するために辞職

※国会法の規定により、前回当選時の政党とは異なる政党から立候補できないため、辞職する必要があった。

 

・山本一太

(自民党/群馬県選挙区)

2019年7月4日、群馬県知事選挙に立候補したため自動失職。

 

いずれも補欠選挙の対象にはならなかった。

 

 

改選121議席+議席増3で、合計124議席を取りに行く選挙となる。

 

選挙後には、非改選を含めて「合計245議席」となる。過半数は123議席。

 

 

 

●『参議院選挙』とは?

 

『参議院選挙』は、3年に一度、議席の半数を改選する選挙である。参議院議員の任期は6年あり、解散がない。「衆議院選挙」とは違い、総理大臣の解散権が及ばなく、総理大臣の好きなタイミングで選挙を行う事ができない。

 

つまり、『政権選択選挙』ではない。

 

ちなみに、衆議院議員の任期は4年あるが、ほとんどは解散して「衆議院議員総選挙」として行われる政権選択選挙となる。

 

『参議院選挙』と「衆議院選挙」とは、明らかに意味合いが違う。

 


●今回の争点

 

「今回の参議院選挙の争点は何なのか?」って事だけど、そもそも定期的に行われる『参議院選挙』に争点や大義なんて存在するのかな?というのが、私の正直な考え方である。

 

強いて言うなら「現政権に対する評価」であり、目的は「優秀な人材の確保」といったところか。

 

マスコミがやたらと煽りたがる「消費税」や「憲法改正」が今回の争点になるかと言われると、そこまでのものでもないと個人的には思っている。

 

 

 

●消費税

 

2017年の衆議院選挙で、自民党は「10%に引き上げた時の増税分の使途の変更」を訴えた上で勝利している。ある意味、消費税増税は国民の信を得ていると解釈できる。

 

 

それに、凍結や延期ばかりでは、野田政権で可決成立した消費税増税法の呪いは解けない。

 

タダでは転ばないよう、軽減税率とポイント還元という手は打ってある。

キャッシュレス決済」について考察してみた
https://ameblo.jp/firebird-1090/entry-12439261490.html

 

 

●憲法改正

 

これをやるには、まだ早い。発議も国民投票も"一発勝負"だ。失敗は許されない。

 

アベの「外堀から固めていく戦法」は、まだ完全にやり切れておらず、最大の抵抗勢力である米国金融企業の外圧やマスコミらのチカラはまだまだ強い。カネやペンは剣よりも強いのだ。

 

それに何より、改憲議論は、自民党だけでなく、改憲に理解のある政党や他党議員も巻き込まなければ議論の中身は成熟されない。

 

しかし、議論のテーブルに着く用意すらしない連中がいるから困ったもんだ。しかも、時と共に減退していく弱小政党の分際で。

 

そういった現状を考えると、今、強引に押し進めて発議にまで持って行こうとするのは、あまりにも無謀というものだ。

 

ちなみに、各政党の憲法改正に対する考え方は、

・自民党…自主憲法制定

・公明党…現状維持の上で加憲

・日本維新の会…第8章に道州制をブチ込みたくてたまらないw

・国民民主党…積極的に議論する立場であるとタマキンが明言

・立憲民主党…護憲派

・共産党、社民党…完全護憲派
 

そう考えると、国民民主党をいかに改憲議論に抱き込めるかがキーポイントになりそうだな。

 

 

●自民党は議席数を減らす

 

私の予想を結論から言わせてもらうと、今回の参議院選挙で、自民党は間違いなく議席数を減らすという事。

 

その理由は、至ってシンプルで、2013年の参議院選挙が出木杉君だったという、ただそれだけの事だ。

 

あの時は第二次安倍政権が誕生して7ヶ月後の参議院選挙だった。それゆえ、あの時の勢いそのままで戦う事ができた。

 
しかし今回は、さすがにそういうわけにはいかない。
 
 

●連立与党はどれだけ確保すればいいか?

 

アベは、連立与党(自民党・公明党)で、過半数123議席(非改選を含む)を確保する事を勝敗ラインにしている。私もそれに同調だ。

・Bloomberg(2019.06.22)

安倍首相:参院選の勝敗ラインは与党で過半数の確保

 

非改選は、連立与党70議席。(自民党56議席、公明党14議席)

立候補者は、連立与党106名。(自民党82名、公明党24名)

 

これを踏まえて、いくつかのパターンを考えてみた。

 

(1)連立与党で過半数123議席(非改選を含む)を狙う

必要当選数は、連立与党で53議席。

連立与党立候補者106名のうち、53名が当選すればよい。

なので、自民党単独では過半数割れ。これに公明党を合わせて過半数狙い。

 

(2)自民党単独で過半数123議席(非改選を含む)を狙う

必要当選数は、自民党単独で67議席。

自民党立候補者82名のうち、67名が当選しなければならない。

なので、かなりハードルが高くなるwww

 

(3)連立与党の立候補者が全員当選した場合

選挙後勢力は、連立与党で176議席になる計算だw

自民党138議席(非改選56+当選82)

公明党38議席(非改選14+当選24)

従って、自民党単独で改憲勢力3分の2(164議席)はあり得ないwww

与党でなら理論上は可能となる。

 

という事で、やはり、アベの言うように(1)が最も現実的だろう。そのほうがかえってアベ政権が安定すると思われる。

 

これに、改憲議論に理解のあるそこそこマトモそうな野党議員や無所属議員を合わせて3分の2(164議席)を占められれば、これ以上ない上出来さと考える。

 

自民党や連立与党がボロ負けしてマスコミやパヨクに歓喜されるのは論外だが、勝ちすぎるのもまた困りモノと思っている。

 

 

●パヨク勢力が激減し、アベ一強になったらどうなるか?

 

パヨク勢力がいなくなり、自民党ばかりの王国が各地にでき、アベ一強になったら、そこで安心できると思ったら大間違いである。主に二つの側面から考えられる事がある。

 

(1)保守層の反逆

 

アベ政権や自民党の支持者には保守層が多い。

 

しかし、アベはあくまでも現実的なリベラル政策を掲げている。目指すは「東アジアの平和と繁栄」であるが、そこには日中友好や朝鮮半島の浄化も絡んでおり、そこに保守層がついていけるかどうかだ。

 

保守の大半が反中嫌韓だ。そのうちついていけなくなる事は予想できる。実際、もう既にそうなってるところあるしw

 

そうなると、反中嫌韓保守の不満は溜まりに溜まってくるかもしれない。

 

そんな時に、ポっと出の保守政党なんかが出て来られると、それが反中嫌韓保守にとって受け皿となってしまい、支持者を奪われる可能性がある。

 

これまでは反日パヨク勢力憎しで「何だかんだで安倍さんしかいない」と、アベに一定の評価と理解を示し、更にアベ自民党の存在が受け皿にもなっていたのが、「日中友好するアベに用はない」と反逆されるかもしれない。

 

現に、10年前に大阪でそのような現象が起こった。太田房江府政・平松邦夫大阪市政に不満を抱いていた多くの大阪の有権者を一気に引き付けたのが橋下徹大阪維新の会だった。その後、大阪は維新の支配下となり、戦後レジームの闇に包まれた。

 

そのような現象の再来は避けなければならない。悪夢の民主党政権みたいなのはもっとお断りだがw

 

 

(2)自民党内反アベ勢力の造反

 

自民党内には反アベ勢力がいる。例えば石破や小泉みたいな奴が他にもいるという事。衆参問わず。

 

アベ一強になれば、党内の反アベ勢力も当然不満を持つようになる。野党化して、アベの足を引っ張ったり背後から矢を放ったりして、アベ政権を潰そうとするだろう。こういう党内反アベ勢力は想像以上にタチが悪い。

 

自民党もまた"一枚岩"ではない。

 

個人的に、警戒しているのは、石破派(水月会)と岸田派(宏池会)の中に潜む戦後レジームと既得権益に塗れた連中だ。(一部を除く)

 

そう考えると、アベ一強でチカラを持ちすぎるというのも考えモノだな。下手すると、公明党や維新の会の動向にも影響してくる。

 

 

●パヨク勢力は「必要悪」という考え方

 

ある意味、パヨク勢力は「必要悪」だ。全議席のうちの25~35%程度与えておけば、反中嫌韓保守はパヨク勢力の監視に集中し、時には叩きに必死になるだろうw

 

結果、何だかんだで、反中嫌韓保守はアベ自民党を支持せざるを得なくなってくるのではないか。パヨク勢力はある程度残して泳がせておく事で、反中嫌韓保守の不満を封じ込める構図を作り上げる。

 

憲法改正の議論が成熟していない今、圧倒的勢力の確保ではなく、パヨク勢力をあえて生かさず殺さず、あえて均衡状態にしておき、それなりの緊張感を与えておいた方が、造反離反されるリスクが少ない。

 

おそらくアベはそれを狙っている。「消費税増税」をあえて掲げているのはそういう事だろう。凍結・延期・減税なら楽勝になっちゃうからね。

 

やはりアベは策士だ。

 

 

●『安倍内閣』は熱烈支持だが、「自民党」は全面支持していない

 

私は、『安倍内閣』は熱烈支持である一方で、「自民党」という政党は決して全面支持しているわけではないという事を申し上げておきたい。

 

党単位でもなく、派閥単位でもなく、あくまでも「議員単位」で見ていきたい。但し、石破派(水月会)と岸田派(宏池会)の大半は要警戒!(一部を除く)

 

もちろん、立候補したからには、その全員が当選するくらいのつもりで全力で取り組んでほしいけど、その中から安倍政権の方針を理解できる有能な候補者を上手く当選させる事が極めて重要だ!

 

例え自民党公認候補であろうと、無能な奴や総裁であるアベに反逆する者など不要だ。

 

 

●今後、連立与党に必要な人材は?

 

これは私個人の考え方だが、金融・経済・憲法学のうち、1つ以上に明るい人材を取り込んでほしいと思っている。今の自民党にはこれらがまだ足りないと思っている。

 

今回の与党からの候補者106名(自民党82名、公明党24名)の中に、該当する人物はいるのか。これから探りを入れてみるのもいいだろう。

 

 

7月21日20時、選挙結果がどうなるか楽しみである。