一年生の壁 10 | 勝者=敗者 ~越えられない背中を目指して~

勝者=敗者 ~越えられない背中を目指して~

曙五郎の高校生活、柔道に打ち込んだ青春時代を書いています。

気分で更新しますので気長にお付き合いよろしくお願いいたします。

尚、登場人物はすべて架空の人物です。

冬休み前に行われる期末テスト、基本的に赤点しか取れない五郎はテスト週間であろうと、勉強はしなかった。というよりも勉強の仕方がわからなかった。

なのでテスト週間に入り部活動の時間が短くなったり休みになっても、家に帰り夕食を取り風呂に入って夜9時には消灯していた。

 

そんな五郎でもこの期末テストは気持ちの入れ方が違っていた。

なぜなら赤点で追試が決まった段階で12月23日から行く嘉山遠征に行けなくなるからだ。

嘉山遠征とは毎年九州の由布院で行われる遠征が今年は宿舎の改装で中止になり、その代わり九州の学校の何校かの監督の主催で福岡県の嘉山高校で合宿が行われることになった。

嘉山高校いえば福岡先生の母校であり、現在は福岡先生の弟が監督をしており、柏陵高校とは深い縁のある高校で五郎もなんとしてもこの遠征に参加したい思いがつよかった。

しかし、勉強ができない…。

数学は赤点でも授業中のノートを提出すればOKで後で誰かからノートを借りて映せば問題なし、国語も何とかなりそうで、そのほかの科目もノート提出でOKな科目がる、しかし地理だけはどうしても点が必要だった。

悩んだ挙句、隣の席の畑山に言ってテストが終わったら自分の方に回答を置いて寝たふりをしてもらうようにお願することにした。

畑山は内心嫌だと思いながらも承知してくれて、いよいよテストの時間となり畑山が寝たふりをしたのを横目で確認して答案用紙に目をやった。

すると、なんと逆行で書いた字が光ってまったく読み取れない…。

五郎はあきらめて自分の勘だけを頼ることにした。

 

結果はたまたま勘が冴えていたのか、何とか赤点は免れて嘉山遠征に参加することができた。