こんにちは!
今回は、今振り返ると「あの時は視野が狭かったな」と思う、若い頃の思い出をお話したいと思います。
それは、結婚・出産を経て、育児休業に入った20代後半
の頃の話です。
大学を卒業して、22歳から25歳の約3年半、私は正社員として働いていました。当時の私と夫を合わせてだいたい世帯資産500万円。
二人とも正社員として一生懸命働き、自分なりに頑張った結果だと思っていました。
しかし、そこで子供が生まれて育休に入ると状況は一変します。![]()
育児休業給付金はもらえていたものの、自分で稼ぐという状態から離れ、貯蓄率が下がる
と、それまで感じたことのない強い精神的な不安に襲われました。
子育てで忙しいという物理的な大変さに加えて、常にお金の不安
が心の中に居座っていました。
そんな不安定な精神状態の時に、私をさらに追い詰める出来事がありました。
目次
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幼馴染みの高級車が突きつけた「格差」
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300円の皿に怯えた、あの日の旅行
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あの頃の私に伝えたいこと:お金の不安に蝕まれないために
幼馴染みの高級車が突きつけた「格差」
隣の家に私より一つ年上の幼馴染が里帰り出産で帰ってきていました。
彼女が乗ってきた会社の車を見て、私は大きなショックを受けます。
父曰く、「軽く700万円はする外車
」だというのです。
私の胸に湧き上がってきたのは、嫉妬と、そして惨めさ
でした。
- 私:3年半一生懸命働いて、貯蓄は500万円ちょっと。車は軽自動車。
- 彼女:私の貯蓄額を軽く超えるような高級車に乗っている。
「私はこんなに働いているのに、どうしてあの人みたいな車も買えないんだろう?」
「私の生活はこんなにカツカツで惨めだ……」
自分の努力や貯蓄に自信を持っていたはずなのに、たった一台の車を見ただけで、心がざわつきました。
今思えば、彼女の車が新車なのか、ローンなのか、あるいはご夫婦の世帯年収や親からの援助など、何一つバックグラウンドを知らないのに、勝手に「格差」を感じていました。![]()
彼女が一生懸命働いたお金で買ったのかもしれないのに。
当時の私は
「世間の人はみんな、給料や貯めた現金だけで全てを賄っている」
と思い込んでおり、借金やローンの概念がありませんでした。
この極端な思考は、お金を「生み出せない」状況と、ホルモンバランスの崩れやすい育休中という時期が重なり、私の視野を極端に狭くしていたのだと思います。
300円の皿に怯えた、あの日の旅行
そんなお金への不安は、日常の行動にも影響を及ぼしました。
夫は当時、平均よりも良い給料をもらっていましたし、なんとか貯蓄も続けていました。
それなのに、私は「もっと貯めなければ」
という気持ちが強すぎて、まともにお金を使うことができなかったんです。
子供が1歳になった夏の旅行
でのエピソードは、今でも苦い思い出です。
静岡の観光地で、お昼ご飯に地元の回転寿司に行きました。
観光地なので、普段より少し値段が高いのは当たり前。
しかし、私は席について、1皿300円や500円のお寿司の値段を見た瞬間、極度にビビってしまい、
「私は大丈夫、いらないから」
と言って、一皿も食べずに終わってしまった
のです。
もちろん、夫と子供は食事を楽しみましたが、旅行に来ているのに、たった数百円の出費に怯えて食事をしないなんて、今考えれば非常にもったいないことをしました。
あの頃の私は、お金を使うこと自体に怖さ
を感じており、そのくせ、自分と同じくらい(またはそれ以下だと勝手に思っていた)の人が良い所有物を持っていると、その事実に耐えられないという、矛盾した感情の中にいたのです。
あの頃の私に伝えたいこと:お金の不安に蝕まれないために
この極端な金銭感覚は、育休が終わって社会復帰することで、徐々に戻って
いきました。
もし、あの頃の私に言葉をかけられるとしたら、今のワタシはこう言ってあげたいと思います。
- 「他人の生活」の背景は何も知らないと心得る
他人が乗る車や住む家、身に着けているもの。
それは、私たちには見えない多くの要因(ローン、援助、世帯年収など)の上に成り立っています。
表面的な「所有物」だけで、相手の生活の豊かさを測ることはできません。
比較は、ただ自分を惨めにする毒にしかならないと割り切ることが大事です。
- 「貯めること」と「今を楽しむこと」のバランス
貯蓄は大切です。
しかし、未来のためのお金が、今の家族との貴重な時間を蝕んでしまっては本末転倒
です。
当時の私は、数百円の食事を我慢することで旅行の思い出を台無しにするほど、家族の思い出作りという投資にお金を使う価値を理解していませんでした。
家族との時間は有限です。赤字家計になっていないのなら、家族が心から楽しめることには、罪悪感なくお金を使っても良かったはずです。
- お金の不安は「視野の狭さ」から生まれる
育休中は、社会との接点が少なくなり、自分の稼ぎが途絶えることで、どうしても視野が狭くなります。
不安が強くなり、「世の中の普通」や「自分の持つべき水準」に対する認識が極端になりがちです。
もし、極度のお金の不安に苛まれているなら、それは育休という特殊な環境下での一時的なものだと認識することが大切と思います。
あの頃、私は「お金がない惨めさ」に囚われていました。
一生懸命貯めたはずの貯金は、心の安心にはまったく繋がりませんでした。
それどころか、「これしかない」という焦燥感や、底の見えない不安を生み出していたのかもしれません。