イギリスに住んで今年の11月で早9年。

 

日本ではイギリス人イコール英国紳士!みたいな妄想を抱いている人が多々おられると思いますが…現実的にはそんな夢のような紳士はいませんっ。

 

洗練されたおしゃれな出で立ちとか、高帽をかぶったビロードの燕尾服でも着たような人たちがぞろぞろいると思ったら大間違いです。

 

現実的にそんな人はまずいません。見た目がかっこいい人は確かにたくさんいますけど。夢に描くスマートで優雅に紅茶を飲んでる紳士などは皆無かも。(階級レベルが上の方たちならいるのかもですが。でも住む世界が違うので見かけることはないかもです)

 

ただしジェントルマン(親切な人)はたくさんいます。

 

ロンドンは古い建物が多いことから駅などはエレベータやエスカレータがないところが多く、重いスーツケース、ベビーカー、足の悪いお年寄りなどがいたら、何も言わずにすーっとどこからともなく男性が現れて、手をさしのべてくれたり、荷物を持って階段の上まで運んでくれたり、(べビーカーも)してくれる方がとても多いです。

 

そしてロンドンの地下鉄に乗っていると必ず女性に席を譲ります。これは紳士とか限らずレディファーストの国なのか、自然にみんなできてしまっているようです。満員電車で男性が立っている席の目の前の席が空いたとしてもその男性は絶対に座りません。そして隣りにいる女性にどうぞと言って必ず席を譲ります。

 

いい意味ではジェントルマンですが、悪い意味では見栄っ張りなところも若干なきしにもあらず。男たるものは女々しく椅子なんぞに座ってはいけないと思っている人が多いように思います。

 

もちろん女性もお年寄りや妊婦やからだの不自由な方がいたら積極的に席を譲ります。

 

毎日満員電車で観察していると気づくのが、空いた席を見つけるやいやなすごい勢いで滑り込んで座ったり、女性に席を譲らない男性は、ロンドンに住んでいる人ではないんだろうなとと顔つきとかでもだいたいわかります。(観光客だったり、ロンドン以外に住んでいる人だったり)

 

日本の男性の方で、もしロンドンに旅行をされる際には、暗黙の地下鉄ルールみたいなのを知らないと女性陣からすごい目で見られるかも知れないので満員電車で席がたとえ目の前で空いたとしても座らないことをおすすめします。(笑)もちろん電車が空いているときは座っても全く問題ありません。

 

日本から友達がロンドンに毎年誰かしら遊びに来てくれるのですが、友人たちは尋常じゃないほどの重さのスーツケースを抱えて日本からやってくるのですが、まさかエレベータやエスカレータがこのご時世にこの大都会ロンドンにないとは予想だにしていないので、私と一緒に重いスーツケースを持ちながら階段で苦戦していると何も言わずすーっと激重のスーツケースを持って階段を一気にかけあがって手伝ってくれる親切な男性たちに何度も出くわすので友人たちはいつも感動して目がハートになっています。

 

地下鉄のステップとホームとの間にかなりのギャップがあったり、ステップとホームの段差が大きかったりすると降りるのが怖くて、たまにバランスをくずして着地した瞬間に滑って転んでしまうことがあるのですが(だいたいこういうときはヒールを履いてる時)転んだ時の恥ずかしさで下を向いてしばらく立ち上がれなかったりしていると、またどこからともなく男性がすーっと私の手を取りふわっと身体を起こしてくれたり、またある時は、抱きかかえるように起こしてくれたり、大丈夫?けがはなかった?とか優しい言葉をかけてくれます。こういう時は女性たちも、ケガはなかったと優しい言葉をかけてくれます。

 

ロンドンの地下鉄事情で、これは絶対にやってはいけないことは、東京だと満員電車だとしても無理やり中に入ってぐいぐい体を押し込んで乗り込もうとする人がいたり、一人ぐらい入るスペースがあるかもと思えば、乗りこもうとトライする人が多いですが、ロンドンでは絶対にそういう行為をしてはいけません。

 

朝のラッシュ時に満員電車状態で一人ぐらい入りそうだとおもっても人をプッシュして乗り込む行為は絶対にしてはいけません。ちょっとでもプッシュしたと相手が感じたら、ものすごい罵声を浴びせられる羽目になります。または文句を言われ喧嘩になります。

 

なのでたとえ一人ぐらいはいれそうなスペースがあったとしても、ラッシュアワーのどんなにあわただしい時間だったとしても、その電車には乗らず、見送り、次の地下鉄が来るのを待ちます。

 

以前、会社帰りのラッシュアワー時に、電車に乗ってドア付近に立っていたのですが(自分の乗った駅では混雑してなかった)、ビクトリア駅あたりで一気に満員になったりするので、その時に、電車の中で私は全く押したつもりもないのに、電車の揺れのせいでカバンがおそらく後ろの黒人にあたっていたのでそれが不快だったのかドア付近に立っていた私はどこかの駅に着いた瞬間にその黒人に後ろから思い切り突き飛ばされてホームに投げ出さた瞬間、すごい勢いで転び、転んだ時の音もひどかったのでホームに立っていた人たちや駅員たちまでもが駆け寄ってきて、私はみんなに囲まれてしまいました。

 

電車のドアはすぐにしまって発車したので駅員はその黒人を捕まえられませんでしたが、さすがにその衝撃はひどくストッキングもやぶれ悲惨な状態になりました。私も何があったのかしばらく自分でも状況がつかめずにいたら、男女ともに私を抱きかかえて服の汚れを払ってくれたり、バッグから飛びでたものを拾ってくれて、怖かったよねって何度も言って、ハグをしてくれて気持ちが落ち着くまで親切に電車に乗らず私のそばに付き添っていてくれました。

 

ある時、ピカデリーラインに乗っていた時に、電車のステップを降りた瞬間プラットホームの着地時にバランスを崩して転んでしまい、

立ち上がろうとしたときに後ろから、私の手を力強く握って片手で持ち上げて体を起こしてくれた人がいたのですが、振り返ってお礼を言うのに顔を見たらば、若干白髪交じりの(あごひげも白髪交じりの)めっちゃ渋い男性で、サンキューとお礼を言った数秒の間に素敵すぎて一瞬ポーっとなったけれど、気が動転していたのでその場からすぐに立ち去ってしまったので後から思えばもったいないことをしたと後悔。(笑)素敵な人だったなあ。

 

ちなみに地下鉄でたまに転ぶときは、仕事が激務で昼休みをとっていなかったとか、残業していたとか、疲れ切っている時が多いので気をつけないといけない!と意識するようになり、現在は転んだりすることはなくなりました。(大けがにもなりかねないですしね)

 

こういうときは本当にイギリス人やヨーロピアンたちは優しいなあとしみじみ実感していまします。

 

余談ですが、イギリス人が忍耐強いなあと思うのは、激混みのレストランで店員さんがなかなかオーダーを取りに来なくても、絶対に「すいませーん」と手をあげて催促するような行為はしません。日本では普通にやるので、渡英当初、旦那とレストランに行き、なかなかオーダーを取り来ないので、私がイライラして旦那に店員に声をかけてといっても、そんなことするな!と注意され、それでも私は「すみませーん」と声をかけてしまったらば、旦那が、「ここは日本じゃないのだからそういう恥ずかしいことは辞めてくれ、一応目があうようにがんばっているのだから、イギリスではそういうことは「バッドマナー」だからやめて!と注意を受けたことがあります。

 

イギリス人はせっかちに催促される行為を非常に嫌がります。ほかにもちょっと早く声をかけるとスムーズに事が運ぶことでも、絶対に催促はせず、じっと待っていることが多いので、イギリス人は本当に忍耐強い国民だといつも実感します。

 

私も渡英して数年間は何事にも早く先が進まない事にイライラして、のんびり構えているイギリス人に腹が立ちましたが、9年もイギリスに住んでいるとイライラもすっかりなくなり、何事も遅れるのは仕方ないよねー。ここは日本じゃないのだからと割り切れるようになりました。

 

配達が9時から18時までに間に来るといって、来なかったとしても決められていたことがドタキャンされても仕方ないよねー。ここは日本じゃないのだからと割り切れるようになり、今は何の感情もわきません。メールを送っても数日返事が来ないの当たり前。私もすごく気が長くなりました。

 

あとイギリス人の見栄っ張りだなと感じるところは、イギリス男性が大雨で傘をささないのも、「傘をさすのは女々しい」と思っている男性が非常に多く、傘を差さない、むしろ持っていない人もたくさんいます。(笑) そういうことができるのはイギリスの天気は変わりやすく、10分も待っていればすぐに雨がやんだりするからだと思います。