このブログで書いてきた内容を大幅に加筆した本が発売されました。
健康保険の給付について総合的に、これでもかってくらい掘り下げています。

記事を読み返すと説明不足や誤り、法改正もありましたので、公開を停止します。
公開していた内容の最新版はこの本でご確認ください。

特に傷病手当金は詳細な解説を行っています。
自信作です。ぜひご一読を。

健保組合職員が教える 健康保険給付審査の内幕/日本法令
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 健康保険と厚生年金の財政は、少子高齢化と不況の影響で極めて厳しい状況にあります。厚生年金は平成29年まで毎年料率が上がり、健康保険も同様に上がり続けるでしょう。(ちなみにウチの組合では、保険料を協会より少しでも低くすることが至上命題になっています。本末転倒のような気が・・・)
 
 しかし、実際のところ国民の反発をほとんど受けずに保険料収入を上げる方法があります。しかも簡単に。


 それは賞与の年間上限額を撤廃することです。




 健康保険と厚生年金の保険料は、毎月の給与と賞与から差し引かれています。ここでは給与が月30万、賞与が年間合計120万の会社員Aをモデルにします。

 厚生年金の保険料は現在16.058%、健康保険の保険料を8%に設定した場合の本人負担額は以下のようになります。

・健康保険
 給与:12,000円×12ヶ月 賞与:48,000円 1年で192,000円 

・厚生年金
 給与:24,087円×12ヶ月 賞与:96,348円 1年で385,392円

 
 Aの年収は480万円です。1年間で577,392円の保険料を負担することになり、これは年収の12.029%となります。




 次に、月120万の給与、年1回の賞与が800万のBがいるとします。控除される保険料はこうなります。

・健康保険
 給与:48,400円×12ヶ月 賞与:216,000円 1年で796,800円 

・厚生年金
 給与:49,779円×12ヶ月 賞与:120,435円 1年で717,783円

 
 Bの年収は2,240万円です。1年間の保険料は1,514,583円となり、年収の6.76%に相当します。なぜか保険料が高い厚生年金の保険料が、健康保険よりも低くなっています。年収に占める割合もAの半分程度です。2,240万の12.029%は2,694,496円ですので、100万円以上保険料負担が抑えられています。

 この理由は、標準賞与額の計算にあります。実は、年収が高いほど社会保険料の負担割合は低くなるように設定されています。
 
 

 健康保険の標準賞与額は年間540万を上限としており、これを超過した分には一切保険料がかかりません。料率が8%であれば賞与がどれほど支払われようとも、本人負担は216,000円より増えることは無いのです。

 厚生年金はさらに有利な規定になっています。賞与1回につき上限が150万であり、やはり超過分に対して保険料負担は発生しません。法律上、年3回支払われるものを賞与としており、保険料がかかるのは450万までです。

 しかし、800万を2回に分けるよりも1回にまとめて支給すれば、上限により1回分の保険料が浮くようになっています。支払い方によって負担が変わるのは、おかしいのではないでしょうか。
 また、厚生年金の標準報酬月額は62万(健康保険は121万)までとなっており、月々の負担も軽くなっています。



 標準賞与額の上限を撤廃する案について、いくつか反論が考えられます。①事務が複雑になる、②当てはまる高所得者の数は少なく効果が疑問、③厚生年金は報酬比例なのだから、徴収しても後々年金額に反映されるため意味が無い、④全額税控除になる社会保険料よりも、累進課税の所得税や住民税で徴収したほうが結果として徴収額が多くなる、の4点があるかと思います。


 ①は、賞与の支払は年1~2回程度ですので、負担というほどのものではないでしょう。
 
 ②は、上場企業の取締役レベルならばそれなりに数はいると思います。日本は役員報酬が海外よりも比較的低めですが、わかっているだけでも1億円以上の人は200人以上います。これは上場企業のみですので、実際はさらに多くいるでしょう。加えて、年収2,000万円以上の「超高所得者」は、日本全体で約22万人いると推測されています。無論年収は様々な収入を合算しているため、全てに社会保険料がかかるわけではありません。しかし、最低でも年間数十億の保険料収入が予測できます。

 ③は確かにその通りなのですが、厚生年金も再分配機能を持つ社会保険ですので、三つの保険原則を完全に採用していません。また、完全報酬比例ならば、現在のように毎年保険料を上げる必要もないでしょう。財政の健全化に一役買ってくれると考えます。


 問題は④です。正直なところ、どっちが有利なのかは税の知識が無く、計算できませんでした。社会保険料は全額社会保険料控除となるため、その分所得税や住民税がかかりません。実際、上限があったほうが高所得者の負担額が大きくなり、再分配機能を果たすのかもしれません。国としても、自由に使える所得税で貰ったほうがいいと考えているのかもしれません。
 


 長々と書いてきましたが、少なくとも財源が無いというのはまったくのウソではないにせよ、誤りです。賞与の上限が撤廃したとすると、賞与で支給していた分を毎月の給与に上乗せするようになるでしょう。しかし、この場合でも最高等級の人間が増えれば、自動 的に新たな最高等級が設定されるため、社会保険料の収入は増やせます。

 
現在の制度は高所得者が低所得者を、つまりは高年齢者が若年層を搾取していると言わざるを得ません。高年齢者が社会の中枢にいる以上、上限撤廃案が実現する可能性は低いでしょう。
 さて、私は以前出産育児一時金の直接支払制度についての記事で、「以前の受取代理制度のほうが優れていた」と書いたことがあります。

 そして、このたび厚生労働省から「平成23年1月31日保発0131第3号」という通達が出され、平成23年4月1日以降の出産分については、受取代理制度が復活することになったのです(どや顔)!


 直接支払制度はどんなに早くても、出産育児一時金が医療機関へ振り込まれるのに支払われるのに1~2ヶ月かかります。これでも医療機関が請求できる回数を月2回に増やすことで、支払までの期間は以前より多少短縮しています。短くなってもこの有様ですが。

 対象者は平成23年4月1日以降に出産し、その分の出産育児一時金を受給する権利を持つ人ですので、全員が対象です。申請できるようになるのは、出産予定日まで2ヶ月を切ってからのようです。

 しかし、それを取り扱うことの出来る医療機関は限定されています。
 具体的には、年間平均で100件以下の診療所と助産院、および正常分娩(帝王切開による出産ではないという意味)としての収入が、全体の5割以上の診療所と助産院が目安になるとのことです。

 要するに、体力の乏しい小規模な所に、少しでも早く費用が振り込むことを目指しているわけです。


 健保組合から出る金額は42万(妊娠22週未満の出産等は39万)のままです。
 付加金がある場合の取り扱いは書かれていませんが、以前の制度と同様に42万と一緒に支払いされると予想します。


 出産を控えている女性は検討してみてください。

【笠原健の信州読解】日英同盟を復活したら? 日本にとってかなりプラスだと思 う。

 ツイッターでやろうとしたけど、字数が多くなっちゃったのでこっちで。更新超久しぶり。

 で、今回のネタは産経新聞の記事について。「日英同盟を復活させて日本を強くしよう!あと民主党シネ」というもの。実に産経新聞らしい。

 日英同盟自体は大いに結構なことと思う。
 が、英国が日本に色々提供してくれることを当然視し、何の疑問も抱いていないのが凄い。同盟国だからといって、こっちが要求したことにホイホイ応じてくれる国なんて無いでしょ。日本が英国に何を提供できるかという点と、英国が日本との同盟を結ぶ必要が生じる環境についても触れられていない。
 各国の利益を考慮せず、自国の利益の観点からしか政策を考えなかった戦前の昭和の希望的観測満載の考え方としか言えない。今平成ですよ。

 最初の日英同盟だって両国の利益が合致し、お互いが必要としているものを提供できたからこそ締結され、維持できた。日米同盟だってお互いにメリットがあるから維持されている。時々産経は馬鹿と妄想を練り合わせた記事書いてくるから面白い。
 
 同盟はギブアンドテイクってことは、日米安保で散々産経自身が主張していたことだし。 装備品の共同開発を考えているみたいだけど、それだけで英国からインテリジェンスを貰えるなんて甘すぎる。今の日本に何が提供できるのか本気で考えたのだろうか?

 記事の最後を「さもないと、声をかけても英国からひじ鉄を食らう可能性が高い」で締めているけど、そんなこと無いよ。だって、相手にもしてくれないから。
 そんな夢語るくらいなら、インヴィンシブルかプリンス・オブ・ウェールズを買うほうがよっぽど賢いし、日本の防衛力強化につながるでしょ。

 もし本当にプリンス・オブ・ウェールズを買えたら、一体どんな英国流皮肉が炸裂してくれるのだろうか。
 では、宙に浮いた出育のお金はどうなるのでしょうか。資格がなくとも出産したことは事実であり、医療機関はその費用を回収しなければやっていけません。


 現在のところ、無資格の一時金請求が医療機関から来た場合、保険者は請求された分を -たとえその義務がなくとも- 支払わなくてはなりません。もし無資格の請求が来た場合、あとは保険者が出産した人を探し出して支払った分を返金してもらうか、医療機関と連絡・調整のうえで請求自体を返し、別の保険者に請求してもらうしかないのです。
(もっとも、以前は出産費用の踏み倒しがあった場合、全額医療機関の持ち出しになってしまっていましたから、保険者が責任を取るのがスジなんでしょう。保険証の回収義務は医療機関には無いのです。)


 上では簡単に書いていますが、実際のやり取りでは国保連や支払基金も間に挟みます。宙に浮いてしまった場合は、処理が完結するまでに最低でも半年から1年はかかるでしょう。どうしても調整や確認ができない場合、最終的な負担は保険者が持つことになると思われます。



 

 ところで、出産育児一時金の直接支払制度はどれくらい利用されているのでしょうか。

 正確に数えたわけではありませんが、おおむね4分の3程度の人が利用しているように感じました。その意味では厚労省が説明したように、妊婦の利便性の向上には一定の寄与をしているようです。ただ、少々困るのが、病院が発行する書類についてです。

 出産費用が法定の42万円を下回る場合や、健保組合が独自に行っている付加給付がある場合、費用との差額や付加給付をもらうために書類を出さなければならないことがあります。そして添付書類として病院が発行する、出産費用の明細書などを求められることが多くあります。


 厚労省が作成したフォーマットを利用する医療機関も多いのですが、独自に作成した書式を使う医療機関もかなりあります。独自の書類には大概、「記載している内容は、専用の請求書のものと相違ありません」的なことが書かれているのですが、相違というか、そもそも必要な記載が書かれていないことが珍しくありません。

 また、事務処理のミスなどから、国保連などに出した請求の数字と、出産者に渡された書類の数字が違っていることも結構ありました。



 今年の3月末で直接支払制度の導入猶予期間が終わります。医療機関にとっても、妊婦にとってもさらに使いやすい制度になれるかどうかが問われていくでしょう。私個人は、以前の受取代理制度のほうが優れていたと思います。
 通常のレセプトの処理で失効した保険証で医療機関にかかった場合、保険者が医療機関に対してレセプト請求自体を返戻し、医療機関が本人に連絡・確認して改めて正しい保険者に請求しなおすか、保険者が直接本人に健康保険負担分(7~9割)を返金するよう通知します。

 ただ、四の上のケースだと本人に連絡が取れないため、医療機関はどこにも請求できないのです。というのも、協会けんぽ、各共済組合と健保組合、自治体ごとの国保にはそれぞれ固有の「保険者番号」があり、さらに被保険者一人ひとりに与えられる「記号」と「番号」が正しく記載されていなければ、医療費の請求を受け付けてもらえないからです。

 このあたりは保険者によって処理が異なっており、名前や生年月日などすべての情報が正しくなければ受付しないところもあれば、多少の脱落や間違いがあっても保険者のほうで処理してくれるところもあります。それでも、最低限どこに加入しているのかわからなければどうしようもないのです。



 こんなAさんみたいなケースあるの?と思うかもしれませんが、間違いなく起きているでしょう。故意にせよ過失にせよ、何をしても保険証を返そうとしない人、無くしたと言い張る人は少なからず存在します。カードタイプになった今でも、保険証の偽造はあります。
 法律上、保険証の返却は5日以内に行うと定められていますが守られていませんし、実務上5日以内に返すというのはかなり無理があると思います。


 先ほどのケース以外にも、任意継続のまま出産しようとしていたところで保険料未納による喪失した、他の健保へ扶養加入したという場合や、新しい保険証の交付を待っていたところ急遽出産してしまい、手持ちの保険証を出してしまったということも考えられます。
 ③ 失効した保険証を提示した場合、一時金が宙に浮いてしまう可能性がある。


 これはどういうことでしょうか。ここでは例を挙げてみましょう。
 協会けんぽの被保険者であるAさんは、協会加入後に妊娠が判明。加入から10ヶ月で退職し、別の健保組合に加入していた夫の扶養として認定されました。


 ところが、Aさんは退職時に協会けんぽの保険証を返却せず、そのまま持ち続けていました。ここではその後、病院でも協会けんぽの保険証しか提示しないまま、直接支払を利用して出産したとします。Aさんは50万かかった分娩費用から出産育児一時金の42万円分を引いた8万円を病院に支払っただけで、夫の転勤で引っ越してしまい、そのまま連絡が取れなくなってしまいました。




 上記の場合、Aさんは1年以上被保険者として加入していないため、資格喪失後の給付という形で出産育児一時金を受給することは当然できません。しかし、直接支払という制度では保険証を提示するだけで給付が受けられるため、今回のAさんのように資格が無いのにもかかわらず給付を受けることが可能なのです。


 医療機関にしてみると、提示された保険証が有効かどうかを逐次確認する暇はありませんし、保険証を提示されれば当然にその人は資格のある加入員であると考えます。保険証を回収する責任は事業所と保険者にありますので、Aさんの請求を協会けんぽに上げても医療機関に責任はありません。


 しかし、保険者にしてみれば資格の無い人間に対して給付を行うことも当然できません。したがって、通常のレセプト請求と同じように医療機関からの請求について資格の有無を確認し、無資格者の請求についてはこれを返戻することになります。


 つまり、保険証の回収に関して責任の無い医療機関は保険者から42万円をもらわなければならず、一方で保険者は支払う義務の無いものを支払わないため、Aさんの出産育児一時金の42万円は”宙に浮いた出育”になってしまうわけです。
 この出産育児一時金はもっとも考えやすく、また身近な現金給付です。健康保険法上は、

 『第101条 
  被保険者が出産したときは、出産育児一時金として、政令で定める金額を支給する。』

 と定められています。また、被扶養者に対する給付も行われますが、こちらは

第114条
 被保険者の被扶養者が出産したときは、家族出産育児一時金として、被保険者に対し、  第101条の政令で定める金額を支給する。』

 が根拠条文となっています。


 出産育児一時金の支給額は政令で定められるため、比較的容易に変更することができます。加えて、近年は少子化対策として給付金額を増額させるようになっています。出産環境も大きく変わりつつありますので、今後も改正が行われることは間違いないかと思います。事実、民主党は現在42万円の支給額を55万円とすることを提唱しています。どこにそんなカネがあるんでしょうかねえ、鳩山さん?

 それよりも、支給額を上げれば少子化対策になって出産も増えるなんて理屈、これまでの歴史が完全に否定しているのにもかかわらず、いまだにこんな小手先未満凡策以下の方法しか考えられない政策立案能力の低下が大きな問題ではないでしょうか。

 ま、私の社労士試験合格証書にはしっかりと長妻昭の名前が入っちゃっているように、民主党から恩恵?を受けているわけですが、

 ξ*)ξべ、別に次の参院選で民主党なんかに投票してやろうとか考えたりしてないんだからねっ!そんなことこれっぽっちも考えていないんだから、勘違いしないでよねっ!

 
 などと意味不明な供述をする気は毛頭ございませんですぜ。



これにて閑話休題。




 出産育児一時金は出産自体の費用や、出産前後の健診費用などの経済的負担の軽減を図る目的で支給されています。

 実際のところ、出産育児一時金という名前の制度は比較的新しいもので、平成6年に始まりました。
 それ以前は「分娩費」「育児手当金」というものが支給されていました。分娩費は名前の通り分娩にかかる費用を、育児手当金はミルク代を算定の基礎として支給額が決められました。

 平成6年の改正では分娩費と育児手当金を廃止し、出産育児一時金新たに創設することで、出産に伴い発生する一時的な負担を一括して補填、給付の改善を図ったわけです。


分娩費は昭和2年の健康保険法施行当初から法定給付でした。当時も現在と同様に定額制でしたが、終戦直後に被保険者の標準報酬月額の半額支給への変更と、最低保障制度が導入されました。この最低保障は一時廃止されましたが、昭和36年に復活し、漸次引き上げられていきました。


 しかし、平成6年の改正で創設された出産育児一時金では、収入に関わらず出産に伴う費用は基本的に同一であると考えられることから、考え方を変更して全員一律の支給額とされました。創設当時の支給額は30万円でした。


 もう一方の育児手当金は従来、哺育手当金という名称で昭和19年に創設されました。この時は任意給付でしたが、昭和23年に法定給付になりました。当初は一定額を6月間支給するというものでした。
 やがて昭和36年に一時金として2000円を支給するようになり、名称も育児手当金となりました。その後、支給額の改定は廃止まで行われませんでした。貨幣価値の変化を考えると、設立当初はそれなりに意義のある給付でしたが、廃止の頃には存在に疑問がつくようになっていたのではないでしょうか。


 なお、支給額を政令で定めるようになったのは昭和55年の改正からです。これは出産に要する費用の実勢を反映させ、弾力的な改定を行えることを目的としたものでした。
 出産手当金の歴史については以前記事 を書いたことがあります。

 最近ちょっと直接払についての話が続いていたので、気分転換とアクセスアップ(←ココ重要)をかねて、出産手当金の変遷について補足という形で書きたいと思います。


 いきなり何で?って感じなんですが、現在私が書いた記事の中でいまだに閲覧回数や検索サイトでのヒットが多いものの一つが、傷病手当金の歴史 について書いたものだからです。やっぱりさ、せっかく書いたんだから読んでもらわなきゃもったいない でしょうが!





 さて、健康保険法が施行されたのは昭和2年1月1日です。昭和元年は1週間しかありませんでしたので、健康保険はまさに昭和という激動の時代とともに歴史を紡いできたわけです。大袈裟ですね。


 出産手当金は当初から法定給付として規定されており、分娩の日前1年以内に180日以上被保険者であった者に対して産前28日、産後42日の各日につき、報酬日額の6割を支給するものでした。ただし、産院に収容されていた期間があったり、世帯員(被扶養者とは別に設けられていた被生計維持者)がいたりすると減額される規定がありました。この減額規定は昭和15年5月31日にも一部改定されています。


 その後、昭和26年1月1日と昭和32年5月1日に資格喪失後の受給要件が規定(6月以上)・改定(1年以上)され、昭和51年7月1日には任意継続の資格を喪失した後も給付を受けられるようになりました。
 昭和56年4月1日より入院時の減額規定が廃止。昭和61年4月1日からは産後56日、多胎妊娠には産前70日に延長されました。

 平成4年4月1日から、予定日よりも出産日が遅れた場合の給付日数増が定められ、平成6年4月1日からは被扶養者のいる被保険者が入院していた場合に限って支給額を報酬日額の4割とする規定を廃止。平成10年4月1日には多胎妊娠の場合の産前給付日数を98日へ増加させています。
 そして平成19年4月1日に給付額を報酬日額の3分の2にするとともに、任意継続者への給付(継続給付を除く)を廃止する改正がありました。今のところ、これが最後の改正になっています。



 出産手当金は上記のような改正の末、現在の形になっています。女性の社会進出に伴って給付を徐々に拡大してきたものの、健保財政の悪化による給付水準の低下も起こり始めているといえます。
 では、出産する人への給付が遅れるというのは、いったいどのようなケースが考えられるのでしょうか。ここでも、直接支払制度導入前と比較します。


 まず廃止された受取代理制度では前回の記事でも紹介したとおり、医療機関からの請求が保険者に送られなければ支払ができませんが、おおむね1~2ヶ月程度であると考えられます。ここでは分娩費用が給付額を下回った場合のみ、妊婦への給付が行われます。

 また、事後に申請する従来型の申請方法では極端な話、出産した日にはもう請求ができますので、書類に不備などがなければまず間違いなく1ヶ月以内に支払われます。


 一方、直接払を利用する場合には給付金額>分娩費用の場合の差額をもらうには、出産した月の翌月に医療機関が審査機関を経由して保険者に請求し、保険者がその請求相当分を医療機関へ支払ったことを妊婦へ通知する「支給決定通知書」が届いてから申請することになります。もし月初に出産していれば、通知書が届く段階で既に2~3ヶ月程度経過していることになります。


 支給決定通知書が届いていなくても申請はできますし、保険者によっては申請しなくても自動払いで支払われることもあるでしょう。


 まあ、給付が遅れるといってもそれほど大きなものではありませんし、一時的に支払う金額が少ないほうがいいという人もいますので、問題点というほどのものでもないのかもしれません。後期高齢者制度と同様に制度が周知され、運用も改善されれば少しはマシになるかもしれません。


 今日はこんなところです。