なぜ共産党は北朝鮮への経済制裁法案に反対だったのか、への共産党からの回答3 | 途中下車前途有効 Ameba Version

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【なぜ日本は外交に弱いのか】

 そのなかで、日本はいま、外交の弱さが特別に目立つ特異な国になっています。


 東京で活動している各国の外交官と交流しますと、あいさつの言葉というわけではないのですが、「日本には外交戦略はないね」という感想をたえず聞かされます。いろいろな国の外交官が、さまざまな機会に同じことを痛感するようなのです。日本は、アメリカやヨーロッパの資本主義諸大国との関係は別として、世界のほかの地域にたいしては、なんの戦略方針ももっていないようだ、というのです。

 その原因はどこにあるのか。一つは、「アメリカの窓」からすべてを見る対米従属外交で、自主的な外交戦略をもたないで来ている、という問題があるでしょう。それにくわえて最近とくに強く感じるのは、何かことが起こるとすぐ軍事的対応を考えるという傾向が根強くあることです。憲法では、武力による威嚇を禁じている国なのに、紛争が起こると実力での対応を優先させる--日本も加盟した東南アジアの友好協力条約とはまったく逆の対応です。
 北朝鮮問題でも、このことを痛感させられました。政府はよく「対話と圧力」と言います。ミサイル発射にたいして国連が実施した経済制裁は、ある意味では、「対話と圧力」路線にたつものでした。しかし、経済制裁をやるなかで、「対話」の条件が出てきたら、どの国も対話を成功させるための真剣な努力をするし、それに対応する戦略・戦術に知恵をつくします。

 ところが、日本は、「対話」の舞台ができても、それに対応する用意がない、対話の戦略・戦術をもたない。このあいだ、北京で北朝鮮と久方ぶりの会談が開かれましたが、日本がこの「対話」の場を活用して道理ある主張を展開したという状況は、まったく聞こえてきませんでした。ほかの国からは、「北朝鮮の核・ミサイル問題といったら、日本こそいちばん脅威を感じる国のはずだ。しかし、日本の外交を見ていると、拉致で圧力をかけるというだけで、核・ミサイル問題の解決への熱意があるのかどうか、さっぱり分からない」、こういう苦い批評まで聞かれる状況があります。

 「対話と圧力」というが、「圧力」をかけて相手が全面降伏するのを待っているというのでは、外交とは言えません。

 いま問題なのは、「圧力」の弱さではなくて、外交力の弱さなのです。私は、日本の安全保障を重視するものは、いまそのことを銘記する必要があると思います。
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 それでは、北朝鮮にたいして、どういう「道理」を説けというのかと、お考えになるかもしれません。 この問題については、すでに03年の第22回党大会第6回中央委員会総会への幹部会報告で、次のように明らかにしています。

北朝鮮問題と日本共産党の立場

(1)北朝鮮は核開発計画の放棄を──平和的・外交的手段で解決はかれ

 つぎに北朝鮮問題と日本共産党の立場について報告します。
 この間、北朝鮮の核兵器開発問題が、重大な国際問題になってきました。北朝鮮の核兵器開発の現状が、具体的にどういう段階かについては、さだかではありませんが、今年一月のNPT(核不拡散条約)脱退宣言などの一連の行動をみれば、北朝鮮が核兵器開発の道をすすんでいることは、疑いないことです。

 日本共産党は、北朝鮮が、核兵器問題についての一連の国際取り決めを破ることは許されないことを指摘し、核兵器開発計画を放棄することを、強くもとめてきました。わが党はNPT体制を批判してきましたが、それは地球的規模での核兵器廃絶をめざす立場からのことであり、新たな核兵器保有国の出現をよしとするものでは、もちろんありません。いかなる理由によっても、核戦争を許さない立場が重要であり、いったんこの条約に加盟して核兵器を保有しない意思を表明した国が、核保有の道にのりだすことは、認められません。

 同時に、この問題を解決する手段として、軍事の手段に訴えることを絶対に許してはならないことも、あわせて強調されなければなりません。北朝鮮の核兵器問題は、あくまでも平和的・外交的手段で解決すべきだし、解決することができます。わが党は、国際社会が、この立場を堅持して、問題解決にあたることを、あらためて強くもとめるものであります。

(2)「物理的抑止力」論での核開発を放棄し、無法の清算で、国際社会の仲間入りを

 北朝鮮に、核兵器開発計画の放棄をもとめるうえで、この国が一連の国際取り決めを破っていることへの批判とともに、北朝鮮が核兵器開発にのりだしている「論理」そのものへの理をつくした批判が大切となっています。


 北朝鮮政府の言明をみますと、「ただ物理的抑止力、いかなる先端武器による攻撃も圧倒的に撃退することのできる強力な軍事的抑止力を保有してのみ、戦争を防ぎ国と民族の安全を守ることができる」ということが強調されています。さらに、「物理的抑止力」を万能のものととらえるこうした「論理」の根本には、軍事力の強化を他のすべてに優先させる「軍事優先思想(先軍思想)」があります。

 しかし北朝鮮にとっての安全保障の最大の問題は、「物理的抑止力」が不足していることにあるのではありません。北朝鮮にとっての安全保障の最大の問題は、周辺諸国とのまともな外交関係がなく、国際社会で孤立していることにあります。そして少なくとも、その原因の多くの部分は、北朝鮮自身にもあるということを指摘しなければなりません。

 とくに、北朝鮮が、これまで犯してきた数々の国際的な無法行為について、その清算をおこなっていないことは、国際社会とまともな関係を築くうえでの最大の障害となっています。

 一九八三年のビルマ(現ミャンマー)首都・ラングーンでの爆破テロ事件、八四年の日本海公海上での日本漁船銃撃事件、八七年の大韓航空機爆破事件、七〇年代いらい問題となってきた国際的な麻薬取引、七〇年代からおこなわれていた日本人拉致事件などの無法行為は、それぞれ重大なものであります。

 北朝鮮が、国際関係で異常な姿勢をみせたのは、一九六七年の終わりごろから北から南に武力介入する「南進」の動きを露骨にし、六八年に韓国の大統領官邸を「武装遊撃隊」に襲撃させた事件にさかのぼります。この最初の重大な兆候があらわれた時に、日本共産党は党代表団を訪朝させ、「南進」の危険性と有害性を指摘しました。当時の北朝鮮の指導者・金日成は、「われわれは、主動的に戦争をはじめるつもりはない」と言明し、「武装遊撃隊」の活動も収束にむかいました。その後、一九七二年に金日成は、韓国政府にたいして、大統領官邸襲撃事件については、北朝鮮特殊工作隊の作戦だったことを認め、謝罪しています。

 しかし、その後も、北朝鮮による無法行為はつづき、八〇年代には、国際的に重大な事件をつぎつぎに引き起こすにいたりました。日本共産党は、これをきびしく批判する立場をつらぬき、そのことによって北朝鮮側から「敵の側にたつ攻撃」という論難をうけるなかで、この二十年来、朝鮮労働党との関係は断絶状態にあります。
 北朝鮮が、昨年九月、日本人拉致を実行した事実をみとめ、謝罪したことは、こうした無法の清算にむけた重要な一歩でした。しかし、残念ながら、そこから先の前進がみられないことも事実であります。

 国際的な無法行為は、理由が何であれ、状況がどうであれ、絶対に許されないものであります。北朝鮮は、この清算に本気でとりくんでこそ、真の意味で国際社会の仲間入りが可能となります。それは、アジアの平和と安定をたしかなものとするだけでなく、北朝鮮自身の安全と利益にもかなうものとなるでしょう。

 北朝鮮が、そうした努力をぬきに、「物理的抑止力」論と「軍事優先思想(先軍思想)」にたって、核兵器開発にのりだすことは、アジアの平和にとっても、自らの安全にとっても、有害かつ危険な道であります。

 国際社会は、北朝鮮にたいして、「『物理的抑止力』論にたった核兵器開発を放棄し、国際的無法の清算で、国際社会の仲間入りを」という、理にたった外交努力をおこなうことが必要です。わが党としても、この立場にたって、可能な努力をつくすものです。

 日本政府は、昨年九月に「日朝平壌宣言」という道理ある交渉の足場をつくりながら、北朝鮮問題の解決のうえで、しかるべき役割がはたせていません。逆に、「北朝鮮の脅威」をあおりたて、有事法制の強行にこの問題を利用することによって、軍事的緊張の悪循環をつくりだしています。わが党は、日本政府にたいして、昨年九月いらいの対北朝鮮外交の問題点の自己検証と、道理にたった外交交渉への努力を強くもとめるものであります。

(3)核カードをもてあそぶ瀬戸際外交は、米国の先制攻撃戦略に口実をあたえる

 わが党が、北朝鮮の安全保障ということをいうさいに、それを脅かしているものが、ブッシュ政権の先制攻撃戦略であることは、言うまでもありません。

 ブッシュ大統領は、イラク、イランとともに北朝鮮を名指しして「悪の枢軸」としましたが、どの国にたいしてであれ、どんな理由であれ、この無法な戦略の発動の拡大を許さないことは、国際社会に強くもとめられていることであります。

 同時に、北朝鮮が、こうした米国の戦略に対応するさいに、「物理的抑止力」論と核兵器開発という方向では、問題の真の解決とならないということを私たちは提起しているのです。


 この道は、軍事的対応の強化と軍事攻撃の口実をあたえることにもつながりかねない、危険きわまりない核カードをもてあそぶ瀬戸際外交です。この道をすて、国際社会への参加という方向にすすんでこそ、戦争の口実をあたえず、自らの平和と安全を確保することができる。このことを強調したいのであります。


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 いかがでしょうか。賛否はともかく、日本共産党が何を考えているかは、ご理解いただければ幸甚です。 ご質問ありがとうございました。