カロリンスカ研究所での実験その2 “ヴィターゴ” | ファイン・ラボ ブログ


カロリンスカ研究所での実験その2

【消化器官の通過速度と体調管理】

実験その1 ブログ→https://ameblo.jp/finelab/entry-12450842920.html

摂取した物質がいつまでも胃腸内に留まると、一般的に不快な感覚に悩まされ、体調を損ないます。
アスリートが不快な体調に陥ると、競技能力にも影響してきます。
試合や大会はアスリートが日頃の練習の成果を発揮する場であり、いわば本番なのです。

一方で、本番でマックスまで高めた実力を発揮するには、日頃の練習が大切であり、したがって、常に万全な体調で練習にも臨みたいものです。


そのためにもアスリーとの体調管理は極めて重要な要素のひとつとなっているのです。
練習を開始するとき、アスリートはエネルギーレベルを高めるために軽い食事をするのが常です。
このとき、より効果的な食事を選択することで、エネルギーレベルを最大限に高め、体調を万全に備えることができます。
食べた物が原因で胃がもたれたり、気分が悪くなったり、膨満感に悩まされることは絶対に避けたいことです。
しかしそれを避けるために、空腹状態で練習に臨むことはできません。では、何を食べるのがいいのでしょうか。

『スウェーデンのカロリンスカ研究所で行なわれた実験』では、浸透圧の異なる炭水化物を使い、物質が胃を通過する速度が比較されました。
物質の胃通過速度に影響する要素は摂取した物質の量と物質の濃度であることが知られていますが、エネルギーレベルが同一で浸透圧が異なる物質を同量に用意し、それぞれを被験者に摂取してもらったところ、浸透圧の低い物質のほうがより早く胃を通過することが証明されたのです。
ちなみに、この実験で比較された物質は、炭水化物濃度が13.5%の単糖類と短鎖の構造を持つ少糖類の混合物で浸透圧が高い溶液550mlと、炭水化物濃度が13.5%の長鎖の構造を持つデンプン物質(アミロペクチン78%とアミロース22%)で浸透圧が低い溶液550mlです。

なお、『ヴィターゴ』は後者の性質を持つ物質です。

実験の結果、摂取した量の半分が胃を通過するのに要した時間は、前者(短鎖構造の物質)が32.6分かかったのに対し、後者(長鎖構造の物質)は17分で胃を通過しました。
つまり、ほぼ半分の時間で長鎖構造の物質は胃を素早く通過することができたわけです。
この実験結果から、浸透圧の低い物質は胃の通過時間が短く、胃に滞留する時間が短いことが証明されたのです。
結論として、アスリートの体調不良は起きにくいと考えられます。

※参考文献:2001年発行『スカンジナビアン・ジャーナル・オブ・ガストロエンテロール』