嘘書きます | 高田一也オフィシャルブログ「パーソナルトレーナー高田一也の体作りブログ」Powered by Ameba

嘘書きます

今年もこの季節がやって来た、

やって来てしまった。

何をこんなに慌てているかって言うと、

あと2週間後に開催される「全日本ヨーデル選手権」

に今年も出場するのだ。

かれこれ出場し始めて5年、チャンピオンになって

3連覇を達成している。

日本全国から選びぬかれたヨーデリスト達がこぞって参加してくる。

今年も絶対優勝したい。

俺にはもうヨーデルしか残っていないのだ。

ヨーデルの為に仕事も人間関係も、親子の仲さえ

失ってしまった。俺にとってヨーデルだけが支えなのだ。

今日もバイトの帰り、スタジオに寄って、ヨーデって来た。

やはりヨーデってみて初めて自分の弱い部分を再確認できた。

今年は弱点の無い状態で臨みたい。

去年は低音部に若干の乱れがあった。

全ては練習と自信の持ち方で決まる。

決戦の日まで、毎日スタジオに入り、2~3時間ヨーデった。

そして2週間。

本番まではあっと言う間だった。

今年の参加人数は10万23人。デーモンか?

これだけのヨーデリストの中で優勝は難しい。

しかし、4連覇を成し遂げる自信もある。

大会参加者のリストを見て驚いた!

まさか奴が来るとは…

海外のヨーデル選手権で優勝している

「末端 黒介46歳」だ!!!!

末端はベテラン中のベテラン…

勝てるだろうか?

俺は思わず、掌に人と書いて舐めてみた。

効果は絶大、絶対勝てる!と言う自信がみなぎった。

参加人数の多さから、予選に23時間かかった。

10万23人の中から、3人に絞られた。

俺、末端、あとは今年初参加の小学生だ!

小学生の持ち前の無邪気さを武器に会場を

明るいヨーデルで包み込む。天才子役タイプだ。

負けるわけにはいかない。しかし、

小学生相手に大人げ無い気もしてきた。

いけない!!俺にはもうヨーデルしかない!

小学生には給食があるじゃないか!!!

自分に言い聞かせた。

ベテラン末端の存在など忘れていた。

決勝では末端、小学生、俺の順にヨーデる。

15人の審査員の難しそうな表情がさらに険しくなる。

末端は完璧なまでの美しいヨーデルで会場を沸かせた。

小学生も完璧かつ愛らしい唱方で魅せる。

俺の番だ。

自分でも驚いた。


完璧かつ美しくそして繊細な旋律。

これぞヨーデルだ。

俺は人生の全てをかけてヨーデった。

来た!!!!

審査員も巻き込み、会場の観客全員で俺の

ヨーデルに合わせ、ヨロレイヒーーの大合唱だ。

会場が一瞬アルプスと化した。


結果は優勝。2位に小学生、3位が末端だ。

小学生は母親に手を引かれ泣きながら会場を出て行った。

末端は小学生に負けた悔しさで、自分の舌を噛み切る

パフォーマンスで病院に運ばれた。

優勝した嬉しさと共に、

明日のバイトのシフトが早番だった事に気づいた。

5連覇へ向けて、また練習の日々が始まる訳です。




今日の一言








鬼畜。