マケナイチカラ | アツキココロ

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広島県在住の経営コンサルタント・児玉学の熱血ブログ。

本日の日経新聞に、松下幸之助のこんな話が出ていました。(「やさしい経済学-ニッポンの企業家」)


「幸之助は小さな工場を経営して辛酸をなめるが、心のどこかに商売というものは、力を尽くしても失敗することもあるということを、常識として知っていた。そのときはどこへでも雇われてはたらく。電気工に戻ればペンチ1本で食べていける。場合によっては電器屋をやめ、うどん屋になってもいい。商売に変わりはない。自分はつぶしのきく人間であるという自信が、過去の体験で養われていたので、戦々恐々とすることがなかった。(中略)この自信は、大会社で(中略)局限された仕事を長年やっていても身につかない。どんな境遇にも屈することはないという、融通性を体得するには、実地について勉強しなければならないというのが、幸之助の持論であった。」


今年も年賀状をいただいた、ある後輩がいます。

私が最初に勤務した営業会社の1年後輩。彼も「営業の天才」でした。1年後輩ですが、マネジャー昇進は私と同時期。そのパワフルさは抜きん出ており、誰からも一目置かれる存在でした。


そんな彼もその後独立。順調に業績を伸ばしていたようですが、様々な環境の変化から結果的に会社をたたみ、今は損保の代理店研修生として研鑽を積んでいます。今年の10月にはいよいよ独立代理店になるそうです。


長く会っていませんが、彼のパワフルさは恐らく今も変わりないでしょう。彼はまさに「つぶしが利く」。そんな雰囲気を新人時代から醸し出していました。だからいつも自信満々。

最初、何が彼をそこまで強い人間にしているのか分かりませんでした。でも私も営業の最前線で修羅場を潜り抜けるうちに「この経験があれば、何やっても食っていけるな」という自信が芽生え始めました。そうすると、何となく彼の強さの原点が見えてきました。彼は早くから結婚し子供もいましたが恐らく、「どんな仕事をしてでも女房・子供は食わして行く」という肝が据わっていた。そんな気がします。結婚して守りに入る人間もいますが、逆にそれをバネに「目的(家族を養うこと)のためには手段(仕事の内容や立場)にはこだわらない」という良い意味で開き直りが出来る人間もいます。彼はその典型でした。


とにかく「こだわらない」。どんなことでも目の前の課題に全力で取り組める。私はと言えば、精神的には強くなっていましたが、仕事の内容や会社・組織のあり方にこだわりが強すぎていつまでも上層部と事あるごとにもめる。そんな自分には「こだわらない」彼の強さがまぶしく見えたもんです。


独立した今も、私にはこだわりが強い気があります。でも、前述の幸之助の話にもあります通り、商売というものは、力を尽くしても失敗することもあるんです。だから「いざとなったら」何やってでも女房・子供は食わしていく、そんな開き直りはできるようになりました。そこに何らのこだわりもない。こだわるに値することとそうでないことの区分けがやっとできるようになった。裏返せば「だから独立できた」、とも言えます。


以前アネハ元・建築士の「独立事業者なのに精神が独立していない」という主旨のことを書きましたが、独立するときの心構えは、まさにこの「いざとなったらこだわらない」強さではないでしょうか?アネハさんにはそれがなかった。


逆境にも負けない力。何があっても自分は自分。1回負けたからと言って人生すべてに負けたわけじゃない。次に勝てばいいんです。「成功するまで続ければ失敗はこの世にはない」。本当にそう思います。

「マケナイチカラ」を発揮して、当たり前のように新たな仕事をこなしている連中が、実は私の周りにはたくさんいます。大半が、最初に勤務した営業会社の仲間たちです。勤務中は本当に大変な修羅場をくぐらせていただきましたが、その経験が「つぶしがきく」人間に育ててくれたのは間違いありません。彼らもこのブログを見てくれている。私も負けてはいられません。これからも共に切磋琢磨、です。