ドラッカーさんの死を悼む | アツキココロ

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広島県在住の経営コンサルタント・児玉学の熱血ブログ。

ピーター・F・ドラッカーさんが亡くなりました。

御年95歳。大往生。


マネジメントの世界的権威でありながら、「さん」付けで呼ばれるほど日本人に親しまれた人は他にいません。(「ポーターさん」とか「コトラーさん」って言わないですもんね。)ご本人が大の日本贔屓だったことも多少影響しているかもしれませんが、やはり「経営学の本当のあり方」を実践された彼の存在を、日本の多くの実務経営者が「身近」に感じたことの表れだろと思います。


しかし彼の最大の特徴であるこの「実学主義」は、いわゆる「アカデミック派」からは異端視されていたようです。変な話ですよね。実学を重視しない「経営学」って。一体何なんでしょう?踊る大捜査線の名台詞、「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」と同様「経営は現場で行っているんだ。研究室で行ってるんじゃない!」ってことです。学問は例えそれが「基礎研究」であろうと「未知の探索」であろうと、それぞれの「現場」「実物」を常に見ないと。もちろん、ブレイクスルー(現状打破)思考は、現実・現場にこだわりすぎては成しえませんが、それでも現場感覚をつかんでこその次のステップ。現場を軽視するのは間違っています。


考古学で有名な早稲田大学の吉村作治教授が長きに渡り「助教授」のままだったのも「現場第一主義」だったからだ、と言われています。エジプトで発掘ばかりして、その資金稼ぎのためにTV出演しアカデミックな活動を軽視しているから、と。でも、結果的に吉村先生ほどエジプト考古学で実績を挙げた者はいないわけでして。・・・アカデミックな世界の感覚は、我々実務家にはよく分かりません。


ちなみにドラッカーさん自身は、自らを「エコノミスト(経営学者)」と横並びに評されることを嫌悪したとされます。彼曰く「私をエコノミストというのは誤解もはなはだしい。エコノミストは数字ばかり見るが、私は数字より先に人を見る」と言ったそうです。(日経新聞11月13日付)


かつて私は「実務に直結しない論文作成を、社会人大学院で行う意義」について、大学院教授数名と論争したことがあります。今では「実務に直結しない論文の意義」も多少理解しているつもりですが、それでもやはり「実務直結型学問」の絶対的優位性を信じて止みません。だから、私はドラッカーさんのようなタイプこそが「真の経営学者」だと思っています。


話しが「某公立大学の今後」に戻りますが、他の大学が「アカデミック経営学」にこだわっている「今」なら現場主義に立てば差別化が行えるんですがね~。ドラッカーさんが存命なら、その一点でゲストスピーカーに招致することも不可能ではなかったかも知れない。(日本に2年に1度は来ていたそうです。)そんな想いもありますが、いやいやこれからその志を継いでいけばいいんです。


なにはともあれ、真の「経営学者」(本人はこの表現を嫌がるでしょうが)の素晴らしき人生に合掌。