娘のお気に入りがパネルシアターと知った私は、急いでネットでパネルシアターの作り方を調べました。

すると、既に出来上がっている「おはようクレヨン」が売っていたのです。
ハンドメイド専門の販売サイトで売られていました。

超嬉しかった。

はやる気持ちでカートに入れて、到着を待ちました。

実際にやってみると、ものすごい食い付きでした。
クラスで見る時は、ジッと我慢して座っていないといけないのに、家では自由に触れるし、近くで見ることもできます。

自分が先生になったように生き生きとしていました。
弟も便乗して一緒に楽しんでいました。

私も楽しかった。

パネルシアターが欲しくて欲しくて仕方ないと思っていた時に、見ず知らずの方が、「おはようクレヨン」を販売してくださっていた。という事実に、ものすごく感動し、感謝しました。

あまりに感動しすぎて、自分も同じことをしたいと思うようになりました。

パネルシアターは万人にとって必要なものではないし、使うのは一瞬。知らない人の方が多いと思いますし、パネル布を用意してまで家庭で演じたいという人は少ないかもしれません。

でも、何人か、すごく欲しい人がいる物だと思います。

それは、集団の中でパネルシアター的な出し物を見るのが難しいタイプのお子さんの親御さんかもしれません。

雨の日の室内遊びに困っている親御さんかもしれません。

もしくは、幼稚園、保育園、療育センターの先生が「今度の行事の出し物を探している。しかも作る時間がない」というようなパターンもあるかもしれません。

逆に、飛ぶように売れるものでないから、子育てに追われる自分でもできるかもしれないと思いました。

丁寧に、楽しみながら、自分のペースでいろんな作品をこれからもずっと作り続けて行きたいと思います。

私がパネルシアターを見つけた時に、ドキドキワクワクしたように、いつか同じ気持ちでパネルシアターを注文してくださるお母さんとの出会いを楽しみにしています。

お母さんと子どもと過ごす時間が、より温かいものになりますように願いを込めて…

娘には知的障害があり、自閉傾向がありました。

娘の場合、言葉だけのコミュニケーションではこちらの意図が伝わりにくかったり、理解できずにいる場合が多々あります。
私がそれを理解してあげられずにいました。

このような障害をもつ子どもに有効なコミュニケーションツールとして、「絵カード」というものがあります。

「トイレに行くよ」と言いながら絵カードを見せたり、その日のスケジュール、その週のスケジュールを同じように絵や写真を使って視覚的に明確にして、本人の未来に対する不安感を和らげます。忘れてしまっても、何度も見ることができます。

我が家もマグネット式の絵カードを何枚か作成して冷蔵庫に貼っていました。

ある日、キッチンの隅っこで、そのマグネットを冷蔵庫に張り付けたり、移動させながら歌を歌っている娘がいました。

そっと近づくと、その頃毎回「お集まり」で先生が演じてくださっていたパネルシアターの真似事をしているのです。

演目は「おはようクレヨン」でした。

しかも私が見た時は、歌は全て終わって、「赤いクレヨンさんバイバーイ」と、お片付けをする先生の真似をしていました。

違う目的で作られた絵カードでしたが、マグネットでくっつく様が、パネルシアターを想起させたのだと思います。

娘はどちらかというと、表情が少なく、好き嫌いがわかりにくいタイプですので、彼女の「好き」を探すのに当時の私は夢中になっていました。

好きな物がコミュニケーションのきっかけになったり、ツールとして活用しやすかったりします。

私は興奮しました。

「おはようクレヨン(パネルシアター)を作って、おうちで思い切りやらせてあげたい」

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これです。パネルシアターを作る理由。(結論から言わずにすみません)

本当に、長々と引っ張ってすみませんでした。
次回は、売る理由です。

「早期療育グループ」は、2〜3歳の子ども達の小さなグループでした。

朝や帰りの「お集まり」で、一定時間椅子に座る練習、名前を呼ばれてお返事をする練習、感触遊びや、順番待ちの練習をしたり、軽く体を動かしたり。

そして、お弁当を食べながら摂食外来の必要がある子どもなのかどうかという事まで、しっかり見てくれました。

それまで、人の大勢集まる場所では、走り出したり、触ってはいけないものばかり触りたがる娘を制して、「すみません、すみません…」と周囲に謝るのが常でした。

でも、このクラスには、娘と同じような動きをする子どもたちがいました。

それぞれの子どもの特性や性格、苦手なこと、得意なことをよく見極めて、本人が受け入れやすいアプローチを考えたり、環境を変えてあげる。

先生方は、毎回親身になって、連絡帳を書いてくださいました。

初めて、「私達はここにいていいんだ。この子はこの社会に存在していいんだ。」とホッとしました。

ある日先生が、白い布を貼った大きなイーゼルのようなものと、数枚の薄っぺらい、動物などの絵が書いてある紙を用意されていました。

音楽に合わせて先生がその薄っぺらい紙をペタペタとイーゼルに張り付けていきます。

「あれ?どうしてくっつくんだろう?マジックテープなのかな?両目テープかな?」魔法みたいでした。

それが私達が初めて見る「パネルシアター」でした。

椅子にじっと座っていられない娘も、不思議そうにおとなしくみていました。
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