LUNKHEAD

25th ANNIVERSARY TOUR~四半世紀の上半期~ツアーファイナル

2024.5.5.(日) 東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO

 

【前編】からの続き

 

続いて待っていた曲が来た!「いきているから」

歌はもちろん、キラキラしたギターはじめメンバー皆さんのプレイも最高!

いつやめてもおかしくないようなことが山ほどあったと思うのに、それでも闘い続けて25年もバンドやっておられるLUNKHEADの歩みが何も長続きしない私にはグッときて。

この曲でボロ泣きした。

「いきているから」はLUNKHEADの歩みそのもののような曲だな・・・と思ってて。

この曲のMVは2013年6月9日の今はなき渋谷AXのライヴから作られている。

ラジオ「レディオマイヘッド」でもお話されていたように、2013年はインディーズ時代の作品「影と煙草と僕と青」から10周年ということで、メンバー皆さんが希望した日ではなかったけど、ボビーさんが6月9日(ロックの日)にこのAXのライヴをブッキングされたんよね。

AXは次の年の5月に閉店してしまうので、結果的にロックの日に最後にAXでライヴをしたのはLUNKHEADになったというのもなんかやっぱりボビーさんだなぁ・・・と。

しかし、そのロックの日にAXでのライヴの成功を一番見届けたかったであろうボビーさんはその前の年の8月に急逝されてしまう。

だからこのAXはボビーさんがブッキングされた最後のライヴでもあった。

自分達をずっと支えてくれていたボビーさんが急逝された時のメンバー皆さんの悲しみやこれからどうしようか・・・という思いは想像もつかないほど大きかったと思う。

ボビーさんが亡くなられた後、最初に出たシングルがこのAXのワンマン前にリリースされた「いきているから」だった。

AXでこの曲を生で聴いた時、ボビーさんという支えを失った小高さんはじめLUNKHEADの決意表明のような曲だとも感じたし、自分にとっても凄く支えになる曲だと思ったんよな。

こういう背景もあって「いきているから」は特に思い入れのある曲のひとつでね。

あれから11年が経ち、その間にもいろいろあったのも一ファンとして見てきた。

そして迎えた25周年のツアーファイナルで聴いた「いきているから」

この曲の肝だと私が思っているところ

 

「悲しみの向こうで すべてを抱えて 僕らは笑える」

 

ここの「笑える」のところの小高さんの歌が命がけの叫びみたいで更に涙。

思わずボビーさんに心の中で話しかけてた。

「ボビーさん、届いてますか。ボビーさんが亡くなった後もLUNKHEADは闘い続けて、まさに悲しみの向こうでこうして笑えてますよ。凄くないですか」

まさにこの曲の通りにLUNKHEADは突き進んでこられた。

その結果、悲しみの向こうで本当に笑えてるやん・・・とグッときて涙が止まらなかった。

大阪で聴けた「そして朝が来た」と同じく、「いきているから」も今の方が説得力あるよなぁ・・・とも思ったし。

キーが高いうえに最後のサビも2回しという過酷なこの曲を歌いきった小高さんの「やりきった~!」というような表情も印象的だった。

 

小高さんはスタンドからマイクを外し「1曲一緒に歌ってくれますか!」と叫ぶ。

始まったのは「僕らは生きる」

みんなで歌う♪ラ~ラ~ラ~ララララララ~♪がフロア中に響きわたる。

それを見た小高さんのとても幸せそうな笑顔がたまらんかったな。

メンバー皆さん、本当にいい顔されていたし。

私達が歌っている時、小高さんはコロナ禍から抜け出して、こうして歌えるようになったことを「戻ってきたんじゃなくて、俺らが闘って進んで勝ち取ってきたんだなと思うんです」と言われたのも心にきた。

 

ハンドマイクのまま「はじまれ」へ。

熱い歌と演奏!滾る!

もう我を忘れて拳を挙げてたなぁ・・・

小高さんのジャズマスターは袖でちゃんぽんさんがしっかり弾いておられて、それが観れたのもちゃんぽんさんファンとしては嬉しかった。

 

桜井さんが全身から想いを込めるようにドラムを叩き始める。

そこに壮さんのギター、悟さんのベースが重なっていく。

「今日は本当にどうもありがとう。生きてたらこういう日もあるんだなって思いました。またこれからもよろしくお願いします。LUNKHEADでした」

という小高さんの言葉が終わると、桜井さんの掛け声とともに始まったのは「僕と樹」

LUNKHEADで好きな曲は山ほどあるが、究極1曲を選べと言われたら私は「僕と樹」を選ぶ。

それぐらいこの曲への思い入れは深くとても大切な曲。

「僕と樹」は小高さんが20歳の頃に書かれた曲。

この若さでこんなに壮大な曲を書いてしまったっていうのも凄いんですが。

昔は結構ライヴで聴ける機会があったんだけど、いつしか節目のライヴでしか聴けない曲になってきたのもあり、私の中で「僕と樹」はLUNKHEADの進化が観れるバロメーターソングとなっている。

25周年の「僕と樹」はもう圧巻でした。

最初から最後まで歌もひとつひとつの音も深く、それが重なっていくさまは、サビでフロントが全員歌う姿も含め、「これが今のLUNKHEADだ!」と胸を張って示しているようだった。

「カッコいい」なんて言葉では言い尽くせないほど、ステージの4人が本当に凛々しくて。

小高さんの歌、そしてあの最後のシャウトはまさに命全部で、魂の奥底から絞り出すように「俺はここで生きてるんだー!」と叫んでいるようだった。

歌はもちろんなんだけど、この曲、間奏、アウトロが長いのもいいんよね。

壮さんのベンディング(チョーキング)が光るギターソロから、悟さんのスラップや桜井さんの激しいドラムなど間奏からサビへ戻ってくる流れも素晴らしすぎて震えた。

小高さんの最後のシャウトの後、私の大好きな壮さんのリフとそれに呼応するように入ってくる桜井さんのシンバルも気分が高揚してくる。

そこからのあのアウトロがまた凄い。

歌があるところは割とメンバー皆さん落ち着いたプレイで、それぞれの味が出てきていいんだけど(特に手数が多いタイプの悟さんと桜井さんのこういうプレイにもグッとくるんよな)

最後は小高さんも含め感情が溢れるまま思い思いのプレイを魅せて下さる。

でも、ただ弾き倒すっていう感じではなく、各々ここまでに培ってきたものをありったけの想いを込めて表現されてるんだよなぁ。

メンバー皆さん、いろんな想いや情熱を音に乗せて弾きまくり、叩きまくりなんだけど、それがちゃんと重なり合っているのも素晴らしい。

「僕と樹」は歌の凄さだけでなく、演奏のみの部分が多いだけに各メンバー皆さんのプレイ、そしてそれが重なって生まれるバンドのグルーヴの進化も感じられるんよね。

だから私にとっては「進化が観れるバロメーターソング」であり、この曲はどうしても生で体感したいのです。

最後、小高さん、壮さん、悟さんが桜井さんの方へ向くのも含め、グッとくるものがあり過ぎて涙が止まらなかった。

曲が終わった時、4人ともとてもいい顔をされていたなぁ。

メンバー皆さんがステージを去られてからも余韻のように響いていた壮さんのギターのフィードバックまで何もかもが過去最高の「僕と樹」でした。

「ボビーさん、『僕と樹』本当に大きな樹になりましたねぇ・・・」とボビーさんに心の中で話しかけつつアンコール待ち。

 

アンコールでは、小高さんがデザインで頑張られたことも交えてクアトロ限定Tシャツの宣伝や今回のセットリストの組み方などをお話された。

そして再び小高さんはハンドマイクで「美しい人」

この曲はLUNKHEAD結成の愛媛県立新居浜西高校の卒業ライヴで演奏された、25年の原点のような曲。

私はこの曲を生で聴くの久々だったから、サビで飛ぶのも楽しかったな。

続く「スモールワールド」もまさに♪あったかいな~♪で、会場全体のあの多幸感よ。

 

ダブルアンコールはやはり「カナリアボックス」

曲に入る前、悟さんが言われた言葉や悟さんらしくあらゆる人にお礼を言われたのにもグッときつつ手拍子!

この曲の初出しもここクアトロで聴いたので、その時のLUNKHEADも浮かんだけど、今が一番カッコいいよな・・・と。

本当にLUNKHEADに会えてよかった。

 

最後は記念撮影。

桜井さんヴァージョン(笑)もあり、桜井さんの「右だ!右!」の指示にみんなで斜めになった様子を見た桜井さんと小高さんが爆笑されていたのにも笑った。

ステージを去る時のメンバー皆さんの達成感と充実感溢れた表情がたまらなかった。

帰りにセットリストポストカードも無事買え、裏まで素敵なフライヤーも頂き大満足。

 

今回「僕と樹」、「魚の歌」、新曲「この歌が終わるまで」を同じライヴで聴いて感じたことがあって。

「この歌が終わるまで」の前に小高さんがお話されたこととも絡んでくるのですが。

「いつか君はこの場所で思い出してくれるのかい?この僕が確かに生きた証を」と「僕と樹」で歌われた。

その後も「この体に流れる体液が瞼越しに見えるけど そんなのよりもっと生きていることの証が欲しい」と「魚の歌」で歌われ。

「生きているということを確かに示すもの」はちょっと言いかえると「生きている意味」なのかもしれない。

ミュージシャンって作品を残せる時点で「生きている証」はあると思うんだけどね(それが羨ましくもある)

「生きている証が欲しい」と歌っていた小高さんがいろんなことを経て、「この歌が終わるまで」で歌われたのは「でも意味なんか要らない ただ生きていてほしい」だった。

結局、人と関わることで生きている意味も証も生まれていくものなんだろうなぁ・・・

この歌詞の移り変わりを聴いていて、25年という月日が小高さん、そしてLUNKHEADにもたらしたものは凄く大きかったんだなぁ・・・と感じた。

これもいろんなことがありながらもここまで闘い、バンドを守り続けてこられた賜物かと。

このツアーファイナルはまさに25年の集大成だった。

 

このライヴの前日、小高さんは壮さんと「もし自分が死んだら・・・」という話をしたとXに書かれていて、おいおい何言うてはりますん?って思ってた。

ツアーファイナル前日でナーヴァスになっておられたのかな。

このツアーファイナルを観たうえではっきり言いたい。

LUNKHEADのヴォーカルは小高さんしかいないよ。

他の人の声や歌っていうのがピンとこない。

LUNKHEADの世界観を作り上げている大きな要素として、小高さんが身を削って紡ぐ歌詞があるし。

そこも踏まえて、LUNKHEADのヴォーカルは小高さんしかいないと思う。

だから小高さんには長生きしていただきたいです。

 

このライヴ後、小高さんがブログにマスザワさんがこのライヴをご覧になった感想を引用されていたのですが・・・

マスザワさんのおっしゃる通り、昔のライヴの雰囲気は今とは違ってこんなに多幸感が強いライヴではなかったんよね。

この日のライヴも後ろまで想いも情熱も迫力もしっかり伝わってきていた。

それに対して私達もありったけの想いで応えた。

今のライヴはあったかいけれど、鋭さやヒリヒリした感じがなくなったわけじゃない。

むしろ昔より今の方がライヴは研ぎ澄まされている。

小高さんの言う「自分たちの根幹で信じる揺るぎないものができた」のも25年バンドを続けてこられたからこそかなと。

もっと言うと、小高さんはじめLUNKHEADの皆さんが私達観客と常に真摯に向き合い伝えようとされたことが一番大きかったと思う。

クアトロを出て歩きながら心の中でボビーさんに最初に伝えたこと。

 

「ボビーさん、やっぱり『愛がないと届かないよ』なんですね。

ボビーさんはあんなに早く逝ってしまったけれど、一番大切なことはちゃんと小高さんに伝えていかれたんですよね。

昔、お客は敵だ!ぐらいに思っていた小高さんに、ボビーさんは『愛がないと届かないよ』とおっしゃった。

その『愛』の中にはたぶん自分自身を信じること、そして目の前の観客を信じることも含まれていたと思います。

小高さんはじめメンバー皆さん、今はボビーさんの言葉通りのライヴをされて、こんなに多幸感溢れるものになったことが私は一番感慨深かったです。

私もLUNKHEADは常にいいライヴをしてくれると信じていますしね。

大阪のライヴを観た後、久しぶりにこのボビーさんの素晴らしい言葉を思い出したんですけど、今日のツアーファイナルでこの言葉の重みを更に感じました。

ボビーさんの言葉を体現するようなライヴをし続けて下さっているLUNKHEADに心から感謝しています。

LUNKHEADに出逢えて本当によかったです」

 

ボビーさんもこんな最高のツアーファイナルになって凄く喜んでおられるんじゃないかなぁ。

この日は最高最強の配信ディレクター、アライさんが素晴らしいチームの皆さんと凄い配信を行って下さっていたのですが、配信の感想はまた別で書こうと思います。

 

いろんなことがある中で、それでも25年闘い続けてこられたLUNKHEADの皆さんに心の底から感謝と敬意を。

本当にありがとうございます。

これからも微力ながら応援しています。

メンバー皆さん、ちゃんぽんさん、アライさん、ディスクガレージの皆さんはじめ関わられたすべてのスタッフの皆さん、CLUB QUATTROの皆さん、最高すぎるツアーファイナル、本当にありがとうございました!

 

LUNKHEAD、ずっと愛してるぞ~!

 

【セットリストはオフィシャルから拝借】