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すまいのレシピ【すまレピ】 フィンランド便り

フィンランドの最新インテリア、家具、インテリアアイテム、インテリアコーディネート情報、現地の日常など、様々な情報を現地特派員がお届けします。

フィスカース村で活躍していた一人の作家を紹介させていただきます。
1970年代にフィンランドデザインの特集がTIME雑誌に載った時の表紙に彼の作品の写真が選ばれました。
彼は2008年に定年一年前、これから人生を楽しむことのできる64歳の若さで亡くなりました。

彼の作品の素材は、すべてフィスカース村の自分の森で育った木を使用しています。
彼の代表作品として、猫柳の枝を巧みに回り編んだバスケットが有名で、この写真がTIMEの雑誌に載りました。

さらに彼の功績はフィンランドの大統領が日本を訪れた90年代に天皇陛下への贈呈として彼の作品が選ばれた事もありました。

彼の作品のデザイン性は高く、またフィンランドの心が染み込まれている作品であります。日常生活で使うデザインとは異なり、すべての作品は手作りのユニークな作品で、インテリアに自然さを表現するアイテムとして愛されてきました。

フィンランドの作家、故マルック・コソネン-K1

フィンランド デザインが世界へデビュしたのは、1960年代の初期にケネディ大統領がファーストレイディとヘルシンキを訪問した時でした。マリメッコのブティクを訪れマリメッコのファッションを気に入り、2・3着購入した話がメディアで話題のきっかけになり、その後フィンランドのデザインは高く評価されるようになり、70年代には、TIME Magazineでフィンランドデザイン特集が紹介され、その時の表紙に彼の代表作である猫柳の作品が載りました。

フィンランドの作家、故マルック・コソネン-K2

猫柳の作品。1990年代に初めて奈良のデザイナーズ協会の援助を得て展示会を催しました。その時ある地元の女性の方が、猫柳の作品を見て、急にギャラリーの会場で叫んだのを思い出しました。自然がいっぱい!はじめ驚きましたが、フィンランドの自然がギャラリーいっぱいに響き渡りました。これは忘れられない思い出になりました。

フィンランドの作家、故マルック・コソネン-K3

これは、機能を伴った果物置きとして愛用されております。

フィンランドの作家、故マルック・コソネン-K5

フィンランドの作家、故マルック・コソネン-K6

白樺の根っこに育ったCURLY BIRCH・カーリー白樺と呼ばれ珍しい素材として貴重扱いされている素材で、天王陛下へ贈呈された作品であります。
肌さわりがよく固めの素材で、フィンランドを代表する民芸品によく使われてもいます。

フィンランドの作家、故マルック・コソネン-K7

猫柳の枝で編んだスパイラルの美しさが、なんとも言えないデザイン性を描いています。
白樺はフィンランドの森を形成している大事な資源であり、北欧のシンボルでもある。
白樺は、北欧の冬化粧の純白さを表し白樺の家具は清潔感のある明るさがあり、
木工家の素材として愛されている。

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白樺の木を表したハンガー。

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白樺の皮を編んだバスケット。

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白樺のファーニチャーは、北欧でよく見かける。

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貴方のインテリアで使いそうな、白樺の皮で編んだ鳥の巣。

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白樺の図案の紙袋は、フィンランドのテクスタイル・デザイン企業の自然環境を意図したグラフィックデザイン。
フィンランドは日本から見るとヨーロッパの玄関で、始めの一歩でヨーロッパの土地を踏むことになります。

北欧に住む楽しさの一つは、フェリー船での移動です。車をフェリー船に乗せれば全ヨーロッパを愛車で回れます。普通では見る事の出来ないヨーロッパの姿を見る事ができ、ヨーロッパを知る始めのステップとして効果的な方法です。2・3時間のドライブで国から国への移動ができます。
現在はEU通貨ヨーロで殆どのヨーロッパ国を為替交換なしで、そして入国手続き無しで簡単に移動できる様になりました。国境がなくなり便利になりましたが、以前は国境を通るたびに世界旅行している感覚があって楽しかったです。
言葉、文化が違っていても国境が無い不思議さは島国日本では経験できません。

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ユーロッパの国々は、愛車を乗せて移動できるフェリー船が大きな役割を果たしています。北欧フィンランド・スエーデン・ノルウェイ・デンマークがフェリーで結び付き、東へは、エストニアを通りバルト諸国を南下して東ヨーロッパへ旅行できます。西へは、ドイツの波止場へ直接フィンランドからフェリーで移動でき、全ヨーロッパへ車での旅行が始まります。車での旅行の楽しみは、キャンピングでの宿泊であれば予約なしでも気の向くまま好きな方向へ移動してもキャンピング場を見つける事ができます。他国の人々と気安く心が触れることのできる不思議さがキャンピング場にあります。自然風景の中で気持ちが自然に戻るのですね。
キャンプ場では食事時間の異なるヨーロッパ民族の習慣にも驚きます。南ヨーロッパの人たちは、小さな子供が居ても夜の10時頃から楽しそうな会話で食事が始まり、北欧人は子供が居れば夜の6時頃が夕食時間です。
フィンランドの場合、キャンピング場はほとんど湖畔か海辺に建てられています。綺麗な夕焼け風景での夕食は、フェリー船でもキャンピングでもロマンチックです。

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ヘルシンキから出発するフェリー船から撮った小さな巡回船は、ヘルシンキの波止場からスオメンリンナ要塞を往復しています。この要塞は1991年にユネスコの世界遺産に登録されました。歴史と海に囲まれた環境の中で生活もできます。こんな住居環境も北欧ならではないでしょうか。

小さな島に立つ小さな家

森と湖に囲まれたやさしい女性的風景と対象的な岸壁の男性的な風景が交わっています。ノルウェイを除き山脈はなく、穏やかな平地が広がり、数知れない程の湖の景色が生活の中にあります。
北欧にしかない風景の一つは、小さな島に建てられた可愛らしい小さな家は、さすが北欧の童話に出てくる風景としかいえません。

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アーキペラゴの北欧地域をフェリー船で旅すると、小さな島に小さな家が建っているアンデルセンの童話に出てくる様な風景に出会います。島を虫眼鏡で探索すると住人の生活が少し見えてきます。右の端には、一人部屋の様な建物があり、煙突のある大き目な家には、薪ストーブがあり料理を作る風景が浮かんできます。 シナモンロール、鮭の薪塩焼、美味しそうな匂の想像が浮かんできます。その他の建物があり共同で多くの人達が住んでいるのでしょうか。夏場であれば、日の暮れない夏をたくさんの友人を集めて楽しめそうです。寝る場所はテントで一夜過ごすのも楽しいそう経験になりそうです。冬場であれば、氷付いた海の上を徒歩で島まで簡単にたどりつけます。自由な生活空間の北欧ならの風景です。

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岸壁の島の端に建てられた小さな小屋を撮りました。この小屋の目的は??良く見るとその後ろに家が建っています。こんな島と島との間の空間で日照時間の長い夏の夜を釣り、サウナと水泳、薪わり、きのこやベリーの収集で過ごす時を想像します。

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この小さな島に建てられた家々は端から端まで一杯でいかにもはみ出しそうにも見えます。両側に建てられた家の中間には庭があります。もしや2家族でこの島を共同しているのでしょうか。船を結びつける桟橋もある。左側の端にある建物には煙突があるからサウナである。こんな風景は北欧だけではないでしょうか。
ヘルシンキの国立美術館でJAPANMANIAのテーマの展示が、5月まで開催されています。

JapanManiaは、ヨーロッパの芸術文化が日本の絵画に影響され続けてきた歴史を語る展示会で、日本人としてとても誇りの持てる気分で観賞して来ました。

日本のアニメや漫画が世界広く影響していることは、今の日本人なら、誰でも知識があると思います。

マンガに登場する主人公が食べるおにぎりとか、味噌汁など、読者には、たまらない誘惑で絶対に味見をしなければならない気持ちにさせられます。
漫画から西洋に広がる日本の食文化なのであります。

実は、昔の歴史にもあるのです。
日本が西洋と交際を始めた1860年代から、日本の芸術は高く評価され、着物、工芸品、陶器の美的意識は西洋へ広がりました。北欧の芸術家たちは、版画などに描かれた日本の自然風景に強い影響を受けました。この時代から日本の芸術は、シンプルであり、自然を愛する心の文化として印象付けられてきました。日本でもバン・ゴッホが描いたポートレートの背景に日本の版画が描かれた絵画は有名です。
今回ヘルシンキ展では、西洋の描写とは全く異なった日本の美感覚の表現法に深く影響された著名作家の絵画が展示され、大きな話題を呼んでいます。美術館では写真を撮る事できずで残念ですが、写真はありません。ゴーギャン、ノルウェイの"叫び"で有名なムンク、フィンランドの自然風景を描いたガレン・カレッラやペッカ・ハロネン、スエーデンのカール・ラーソンなど、その他多くの西洋を代表する1875年から1918年までの日本の影響を受け自然風景を描いた作家。そして北斎のゴールデン・ルールを思考した"神奈川沖浪裏"の巨大な波と翻弄される舟の背景に富士山が描かれている版画に影響された作家の絵画が飾られていました。

日本文化の世界へ施す影響A5

ヘルシンキ国立美術館のテーマ名JapanManiaのバンデロール。テーマ名は"西洋へ大きな影響を与えた日本美感を愛した芸術家達"と訳します。会場は満員でした。

日本文化の世界へ施す影響A2a

Gunnar Berndtsonが1879年に描いた絵画の背景に日本を象徴したカラフルな傘が描かれています。

日本文化の世界へ施す影響A3

日本人の目からは、大胆な着物の着方は日本の文化と認めることできませんが、1870年代の西洋の画家が理解する日本のファションであり、うちわ、提灯の工芸品の魅力を素直に表しています。不詳作家の作品、ドイツ1902年。

このテーマは、2011年から研究を初め今年2016年2月にオープンいたしました。そしてジャパンマニアの展示は5月以降、デンマークそしてノルウェイの国立美術館を駆け回ります。

日本文化の世界へ施す影響A4

展示されている多くの作品の中での一部を紹介致します。

フィンランドの巨匠ガレン・カッレラ(写真の作品)は雪の柔らかさを日本の版画からヒントを得て、独特な色の使い方で北欧の冬を描きました。Albert Edelfelt、東京でも去年展示されたHelene Schjerfbeck、そしてVincent van Goghも版画に細かく描かれた自然風景の描写に深く影響されました。Claude Monetは、日本の冬の景色の描写に憧れ、フランスからノルウェイへ渡り、北欧の雪の美しさを描きました。