エストニアの首都タリンの芸術大学を訪れました。
デザイン学科の教授とのアポで、徒歩で10分ほど離れたタリンの古都内にある分校へ案内されました。
ソビエト時代へさかのぼる歴史あるレンガ作りの建物は、悪名高きKGBソビエト秘密警察の本署であったという話しをしてくれました。モスクワでの1970年の経験では、観光者でありながらも、カメラを手にしている人は、KGB のスパイとして市民の私生活を調査していると考えられていた時代で、逃げ出して行く様に隠れてしまった人々の光景は、知識のない私にとって民度の低い国民と思わざる負えませんでした。
しかし本当の理由は、KGBへ対する恐怖感でした。
それほどまでに国民が恐れていたKGBの巣の建物ですが、入った初めの印象としては、レンガ作りの壁などから、デザイン学科の校舎らしい雰囲気と感じ取られました。
案内されるまま、階段を上がって行くと3段ほどの踏み台の様な短い階段に不思議さを感じました。階段とつながる壁にはドアの絵が描かれており、不思議さが増してきました。昔この壁には、たぶんドアがあり、何かしらの部屋があったと想像しまします。
階上へ行く途中に一部はがれた壁に描かれた絵は、イタリアのフレスコを思い出させます。
古きものを大事にし、ユーモラスなアイデアが加わり、価値のあるインテリアに変貌していました。
校舎の中庭の駐車場からの風景は、昔そのままのレンガの作り。
なんとなく昔のソビエト時代の暮らしを連想させました。
多くの歴代人物が座ってきた椅子の思い出は、仕事部屋の角からさりげなく感じられました。
クラスルームも壁の素材をそのままに残しています。
中庭には、こんな椅子がおいてありました。
教会のある環境で、古き文化に囲まれて、新しいデザインを勉強しています。
細目の鉄棒と木の素材を組み合わせた椅子のバリエーション。