「ZERO」 麻生幾 | When Poets Dreamed of Angels

When Poets Dreamed of Angels

変わらないものはない、終わらないものもない。だけど永遠につづくものがきっとある。そう信じていたい。

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ふぅー
長かったぁー

やっと読み終わった。
上下あわせて2週間以上費やしてしまった。

分厚くて1ページ上下二段になってるので、
かなりのボリューム。
それでも最後まで飽きることなく読めた。
読むのに夢中になりすぎて、
会社帰りの電車で隣の駅まで行ってしまった。

内容があまりに濃すぎて
あらすじすら書けない。

えーっとぉ、
大雑把に言ってしまえば、
戦争のお話。
とはいえ武器を持ってドンパチするのではなく、
情報戦争、インテリジェンスの世界。

中東のほうででドンパチやってるけど、
今やそうやって目に見える戦争よりも
目に見えない情報戦争のほうが凄まじい。
スパイとか映画の中の世界だと思われがちだが、
実際は海外から沢山のスパイが送り込まれているし、
日本人がどこかの国のスパイとして育成されている場合もある。

そしてその情報戦争の中で、
世の中に知られることなく
多くの人が殺されたりしている。
それは決して表に出てこない。
もしくは不慮の事故を装った死でしかない。

この本はあくまでフィクションだが、
情報戦争の実態としては
かなり事実に近いものがあると思っている。

そう、我々一般人の情報は
表向きは個人情報保護法で
守られている事になっているが、
実際は色々な国の諜報機関に限らず
日本の公安などでも詳細に把握されている。

少し前に自衛隊の保全部隊の2つの文書が
明らかになった。

大まかな内容
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文書Aは
「国民のあらゆる種類の運動を監視の
対象としていたことをしめしている。
そこに記載された多くは、
この時期に全国各地で広がった自衛隊の
イラク派兵に反対する活動であるが、
それ以外にも、「医療費負担増の凍結・見直し」の運動、
「年金改悪反対」の運動、「消費税増税反対」の運動、「国民春闘」の運動、
「小林多喜二展」のとりくみなどへの監視が
おこなわれていたことが記載されている。
これは自衛隊情報保全隊が、国民のおこなう運動の全般にわたる
監視活動を、日常業務として実施していることをしめすものである。」


文書Bは
「イラク派兵に反対する運動の監視については、
特別の体制がとられていたことをうかがわせるものである。
情報提供者は、陸上自衛隊の情報保全隊は、
「国民的 に高まったイラク派兵反対運動の調査を中心的な任務とし、
他の情報よりも優先して本部に報告する体制をとっている」、
「情報保全隊は上部からの指示で、各 方面ごとに反対運動を調査し、
各方面の情報保全隊は、情報を速やかに情報保全隊本部に反映するため、
毎日昼に前日の反対運動をまとめて報告する」と証言し ている。

それぞれについての記述はきわめて詳細である。
「文書A」では「発生年月日」、「発生場所」、「関係団体」、
「関係者」、「内容」、「勢力等」など の項目で、「文書B」では、
「区分」、「名称(主催団体)」、「行動の形態」、「年月日」、「時間」、
「場所」、「動員数」、「行動の概要」などの項目で 整理し、
詳細に記述されている。そこには多数の個人が実名で記載されている。

 「文書B」に記載されている「反対動向」のうち、

「市街地等における反対動向」の監視対象とされた団体・個人は、

全国四十一都道府県、二百八十九団体・個人におよび、

高校生まで監視の対象とされている。

ここにはデモの行動の様子や参加者を撮影した写真も添付されている。

 (4)情報保全隊は、社会的に著名な映画監督、画家、

写真家、ジャーナリストなどの活動なども、監視の対象としている。

マスメディアの動向につい ても監視下におき、詳細に記録されている。

マスメディアとの「懇親会」の席上で、誰がどういう質問をしたかまで、

肩書付きの実名で記録されている。

「駐屯 地を退庁する隊員に対し取材を実施した」ある

大手新聞のメディア記者の行動は、「反自衛隊活動」として記載している。

イラク・サマーワに派遣されたメディ アの特派員の動向も、

詳細に追跡されている。


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これが現実。表に出てきたのが不思議なくらい。
大抵は表に出てこない。
表に出る前に潰される。

我々はこういう時代に生きている。