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初恋の人、覚えてる? 参加中
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忘れられるわけがありませんよ。
だって、我が人生、最初にして最大のトラウマですから。
しかも、その傷は未だに塞がらない。もう数十年、血を流しながら生きています。
あれは、私が小学校6年生のとき。
私の担任の先生は音大出身の新任。
大学を卒業したばかりで教育に燃えていました。
そのころ、私の学校では特に音楽活動に力を入れていなかったのですが、我が担任は教育には音楽は不可欠と、合唱部を創ることになりました。
で、創立者が我が担任なので、自動的に「もちろん入ってくれるよねぇ?」と。
そのころ、先生大好きな私は即答でOK。
さらに、自分クラスだけではもったいないと、別のクラスや他の学年にも声をかけることに。
その中に彼女はいました。
彼女は一つ年下の5年生。今でも、顔も名前もはっきりと覚えています。
なにがいけなかったのか、顔を会わせばケンカばかり。
それが、いつ彼女を意識しはじめたのかは、自分でもよく覚えていません。
覚えているのは、彼女のキラキラした笑顔。
しかし、未だ散々憎まれ口を叩いていた私は、今さら自分の気持ちに素直になれるほど大人ではありませんでした。
それで済めば、まだ救われていたのかもしれません。
幸か不幸か、お互いの母親がPTA役員をしていたため、親同士が顔見知り。
顔を合わせれば、私と彼女の話をしていたのです。
ある日、私の母から、彼女の母親が「翔夢くん(仮名)がうちの娘をもらってくれれば安心なのに。」といっていたと、聞かされました。
なに?! すでに親公認なのか?!!とは思うものの、当時、硬派全盛期の時代。
そんな言葉もたぶらかされるほど、私もバカではありませんでした。
というか、今でこそ、あのころの自分にいってやりたい。
むしろ、バカだ、と。
そんな日々を続けるうち、私は小学校を卒業していきます。
彼女に対して自分の胸のうちを告げることなく。とことんチキン野郎な私でした。
しかし、小学校を卒業すると同時に、チキン野郎も卒業しよう、と密かに画策もしていました。
彼女も、同じ小学校なので、同じ中学校に進学してくるはず。
彼女が中学校に進学してきたら、きちんとケジメをつけよう、と。
しかも、愚かな子どものもくろみも、一つの出来事で木っ端微塵に打ち砕かれました。
突然の彼女の母親の死でした。
彼女は、母一人子一人の母子家庭。父親の記憶はすでになく、今どこにいるのかもわからない状態。
母親の死で分かったことなのですが、なんらかの理由で親戚付き合いもないとのこと。
彼女に兄弟はいません。彼女は12歳にして天涯孤独の身になってしまったのです。
彼女の母親の葬儀から帰ってきた母から、彼女がひどく悲しんでいたことを聞かされました。
当然、いくら愚かな子どもでも、12歳の女の子がいきなり天涯孤独の身になった苦しみくらいは理解できます。
そして、この愚かな子どもは、自分にできることはなにもないことも理解していました。
その日、自分の部屋で、自分の無力さに一人泣いていたことを覚えています。
結局、彼女は母方の祖母に引き取られることになりました。
自動的に、彼女は私が待つ中学校に進学することもなくなり、私のささやかな計画もこれで終焉することになりました。
そのまま、彼女は私の前から姿を消してしまいました。
よく、できないことを嘆くよりできることを探せ、と世間ではいいますが、あのころの私がこの言葉に出会っていれば、人生がどれだけ変わっていたでしょう。
今になってわかることですが、母から悲しんでいたと聞いたとき、ただ傍にいてあげればよかっただけです。
祖母に引き取られることになっても、母親を問い詰めれば、引っ越し先くらいはわかったでしょう。
でも、子どもの私にできたことはただ嘆くことだけでした。
こうして、私の初恋は私と無関係のまま終わりを告げました。
と、ここで本当に終わっていれば、まだ今よりは救われていたのかもしれません。
人生とは、時に要らぬイタズラをする場合があります。
あれから数年、私は高校2年生になっていました。
球技の市内大会が開催され、私はバレーボールの選手として市内の体育会にいました。
試合の合間、チームメイトと体育館内を歩いていると、明らかに面影が残る女の子が正面から歩いてきました。
私は一目で彼女であると理解できました。
そして、正面から歩いてくる女の子も私に気付き、とても驚いた表情をみせました。
その表情から、彼女であることを確信しました。
しかし、あまりの突然の再開にお互い向き合ったまま、呆然と立ち尽くす二人。
私にとっても、一度失ったはずのチャンスでした。
でも、高校生になったとはいえ、やはりは子ども。
あまりに突然すぎることに対応できるほど、人生経験は足りていませんでした。
そのうち、チームメイトから「紫幻、どうした?」と声がかかります。
これも今になって分かることですが、一言、「悪い。先に行っててくれ。試合には間に合わせるから。」といえばいいだけでした。
にも関わらず、私の口から出た言葉は、「あっ!今行く。」
なんの会話を交わすこともなく、彼女の横を通り抜ける私。
その後、振り返る勇気さえありませんでした。
同じ過ちを二度繰り返してしまったのです。
重ね重ね、その日は市内大会だったので、そこに来ているのは市内の高校。
制服を覚えていれば、彼女が通う学校が分かったはずです。
しかし、突然すぎる出来事にそんな考えさえ浮かばなかったのです。
切れたと思い込んでいた赤い糸は、実はまだ繋がっていたのですが、結局、止めを刺したのは自分自身でした。
あれ以来、彼女をみかけることもなくなりました。
今どこにいるのかさえわかりません。
願わくば、不幸だった少女時代が報われていることを祈るのみです。
そして、そんな私は現在、正真正銘のぼっち。
己の愚かさと幼さが生んだ報いだと思えば、甘んじて受け入れることができます。
そして、一生、この塞がらない傷とともに生きていきます。
初恋が報われないことはよくある話だと思っています。
そんな報われない初恋の、愚かな子どもの話です。
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