ストーリーオブアニマギアif① | ぬしにごちそうつくっちゃる♪

ストーリーオブアニマギアif①

ストーリーオブアニマギアif①


 第一章終結



 …これは獣甲屋を発端とするイデアデバイスによるテロ行為の終わりと徐々に日常を取り戻しつつある一ヶ月程経った頃の話。

 都市部から離れた森林に隠れるように建っていた獣甲屋の拠点は、首謀者である黒田ショウマによって自爆・崩壊という結末を向かえた。

 黒田自身はそのパートナーであったフォールンジオギアスを盾に逃亡。イデアデバイスの思念によってABFの面々は代償こそあれど生き残ることができたが、機能を停止したままのフォールンの姿は未だ見つかっていない。


 「おっかしぃなぁ〜…徹底的におっかしぃなぁ〜、フォールンて奴の姿はおろか他に巻き込まれたアニマギアだっているはずなのに骨の一つも見当たんないじゃないのよさぁ〜…


 「分かってて請け負った仕事じゃないですか社長! ぼやいてないで確実にお片付けですよ♪」


 

 瓦礫撤去とアニマギアの残骸探索にやや途方に暮れている社長と呼ばれる長髪メガネの男と、その長髪を結ったお団子頭にまたがって男に激を飛ばすマーメイド型アニマギアの姿がそこにあった。


『ノーレッジ・セントラル』

…かつて紅葉ヤマトと黒田ショウマのラボでヘルプの研究員を務めていた男。黒田が失踪しラボが解散した後、自身が立ち上げた『あなたのかゆいに手が届く万屋「セントラル商会」』の代表取締役を務める。

 ニックカウルやボーンフレームの破片からアニマギアのメモリーを引き出す知識と技術があり、迷子から大規模災害までなんでも請け負う文字通りのなんでも屋を営む。


『アクオディーテ』

…先の戦いで回収されたイデアデバイスをベースに海洋型にリメイクされたマーメイド型アニマギア。自我の開放に伴って世話焼きの女子力全開な性格に生まれ変わり、一ヶ月経たずしてノーレッジの良き秘書となる。

 また、セントラル商会で後に発足される精鋭部隊『13’s (サーティンズ)』の魚座を司ることになる。



「社長!左20度前方6メートルに微弱なナノ合金反応があります。」


「みたいだな…どれどれ…」


仮にアニマギアの反応だとしたらと、手のひらサイズの対象物を払い除けてしまわないようにそっと木っ端を取り除いたノーレッジが見つけたのはニックカウルがボロボロに壊れた一体のデミナーガスだった。






 「うぅ……駄目…だ……………悲し…………………ぅま…………ショウマ!」

 一体のデミナーガスがハッと目を覚ましたのは静かなメディカルルームだった。

「誰…ここは……どうして俺は会話が出来る?」

 思考が入り乱れるボーンフレームだけと言ってもいいほどに傷付いたアニマギアにノーレッジは一つずつ話をし始めた。初めて歩くことを覚えた乳幼児の手を取るような温かなまなざしでゆっくりと。

 なぜキミはここで寝ているのか
 なぜキミはオミットされたはずの会話機能が復元されているのか
 イデアデバイスとの思念の共有によってフォールンジオギアスの記憶を断片的に引き継いでいること…黒田ショウマの狂気と悲しみと対峙する怖さ
 そして全ての事象に対する責務と…


 「社長、あたしの記憶が確かならそろそろ…」


 デミナーガスの記憶の反芻を遮るように開口し始めたアクオディーテと同じタイミングでセントラル商会館内にアラートが響く。
 センサーに映ったのは感情なきアクターユニットの機影その数100。無数のパイプラインを通ってその全てがメディカルルームを目指していた。
 それは数日前、アクオディーテをイデアデバイスとして回収したときと全く同じ事象であった。


【獣甲屋製アニマギアは
  解析される前に消し去る事】

 
 前例は屋外の襲撃に対し残存していたABF所属アニマギアの助けもありそれを退けることが出来たが、今回の状況は明確に不利である。
 単体(タイマン)ならアクオディーテでもなんとかなるが些か地の利を得られないと判断したノーレッジは、アクオに一つ『おつかい』を言付けし、起きて間もないデミナーガスを抱え脱出口を抜け外に出た。


 閉鎖空間での戦闘を回避出来たものの多勢に無勢、手負いのアニマギアに手ぶらの社長、万事休すかと思われた。





 しかし、社長の煌めく眼差しの先にモーセの十戒のごとく道を塞いでいたアクターユニットがぶっ飛び、そこに大きなアタッシュケースを抱えながら物騒とも言える破壊力を繰り出すホタテ型メイス『レーワシェル』を振り回す社長秘書が姿を現した。
 アクオに頼んだ『おつかい』の正体はケースの中にあるニックカウルであった。

 「あんた…このニックカウルは…?」

 「お前の解析している時のデータをもとに作ったものだよ。基本的にはデミナーガスの流用になっているが、イデアデバイスとリンクした記憶も反映された言わばお前だけのワンオフのニックカウルってとこだ。
 もっとも、他人と同じものをつくりたくないという俺のこだわりでもあるんだがな」

 「理解した。そのニックカウル…使わせてもらう! 己に降り掛かった火の粉だ、自分で祓ってみせる!」





 新たなニックカウルが『彼』の闘争本能を呼び覚ます。いざ戦わんとするアニマギアに水を差すわけではないが社長は思い出したかのようにポケットからバイザーを模したパーツを取り出した。

 「こいつで顔の傷を隠しておけ!いつの時代も怪我が勲章になるとは限らないからな。』




 「了解した。使わせてもらう!」


 今ここに蛇を纏いし新たな戦士、ネアスクレピオ(Near+Asclepius)が誕生した瞬間だった。


〜END〜