昨日の「君たちはどう生きるか」はわたしのこころに響く映画でした。
宮崎作品に共通しているのは、主人公はきちんとした家庭(裕福かそうではないかということではありません)で育てられた真っ直ぐな子で、とても品があることです。今回も例外ではありません。
宮崎さん自身も「育ちがいい」人なのだろうなと思います。テレビで拝見していても佇まいがきれいです。
さて,この映画の感じ方にはさまざまな切り口があって、私もいろいろ気づきがありました。
人間の世界が危ういという宮崎さんのメッセージは、悪意を持った石の積み木を使って危ういバランスを保っている大叔父さまの姿から感じられました。
みんな同じ顔をして、食べ物を貪っているインコたちは周囲に流される愚かな現代人かな。
「君たちはどう生きるか」の海外向けのタイトルは「The Boy and the Heron」(少年と鷺)だそうです。決して仲が良いわけではないのに、主人公が危機に瀕している時に助けに来てくれる青鷺との友情も面白いです。
そして私がこの映画から受け取ったメッセージは「ゆるし」です。主人公眞人は母を火事で亡くし、その後父が母の妹(叔母)と結婚して、その継母は身籠っています。父と継母は幸せそうで、でも眞人は継母を母として受け入れられない。私も夫と彼女の恋愛を受け入れられず、彼女のことをどうしても受け入れられなかったので、眞人の気持ちがよくわかりました。父が臆面もなく継母と仲良くしているのを見るとモヤモヤするのもすごくよくわかります。
いなくなった継母を追って異世界に行った眞人は、そこで母に会います。母は大人ではなく少女になっています。いろいろあって、最後に元の世界に戻るとき、少女の姿の母は、自分の妹である眞人の継母に「いい子を産んでね」と優しく声をかけます。ぜーんぜん嫉妬とか、モヤモヤとかがないのです。それを見たとき思いました。雲の上はいつも青空なんだなって。
この世を離れたら、心のモヤモヤなんか何もなくなるのです。何でもOK、全て良しなんですね。私は「ゆるし」ってそういうことかなと思いました。この世の嫌なことも受け入れてしまえるかどうかという魂の修行なんじゃないかと。
もう一度観たくなりました。