30過ぎの頃、私は専業主婦で、子育てに追われ、社会から取り残されているような焦りを感じていました。

 

そんな時に、高校の先輩でもあるある女性大学教授をご紹介いただけることになりました。たまたま夫が留守でしたので夜に家に来ていただきました。

 

その方は35歳まで専業主婦。その後大学院に進学して英文学の教授になったのです。

 

当時32歳か33歳だった私にはとても心強い、希望を持てる話でした。当時先生は多分40代後半から50歳前後。

 

今思い出すと、話の本筋以外のことも心に残っているのです。

 

①紹介してくれた友人が、「先生は息子さんを亡くされている。そのことは先生は決して語られない」と言っていました。もちろん息子さんの話は全く出ませんでした。そのことがなぜか心に残っています。2人の息子の母として、先生のお気持ちを想像するだけでつらいです。そのような経験を経た先生の明るさと強さを思うと言葉もありません。

 

②先生は一人暮らしでした。でもご主人と同じ建物の別の部屋に住んでいらしたのです。超ご近所の別居です。その時はなぜそんなことをなさるのかわかりませんでした。縁があってご夫婦になったのに一緒にいないのは寂しい気がしました。でも今思うと、何と羨ましい夫婦関係でしょう。私も夫とそんな付かず離れずの関係になりたいと思います。

 

①も②も当時は理解できていなかったこと。先生の年齢を超えただから実感できることです。

 

特に②は羨ましいなあ。

夫のことは好きですし、大事な人だから、ちょっとだけ距離をとって暮らせたらなと思います。

 

若い人にはまだわからないかもしれないけれど。