今考えても恐ろしい体験なのですが、夫の不倫が発覚したとき、夫の結論は「彼女が好きだ。離婚はできないので彼女のためにもいつかは別れなければならないが、今は別れられないのでしばらく時間が欲しい。彼女次第なので期限を決めることはできない」というものでした。
私の常識では、不倫発覚後の選択肢は、❶彼女と別れて私に謝罪して夫婦を継続するか、❷私と離婚して彼女との関係を継続するかどちらかだったので、全く理解できず。前者であればそのときは許す用意がありましたし、後者であれば子どもたちへの経済的援助をしっかり取り付けてお別れする決意でした。しかし離婚しないまま不倫継続とは!
義母に相談したら、「あの子(夫)のいう通りね!下手に別れて会社に乗り込まれたりしたら大変よ。じっくり付き合って、相手の方から別れるように上手に持っていくのが一番。あの子は外で働いて大変な思いをしているのだから、恋愛くらい自由にさせてあげて。あなたも育児に専念できるからむしろ助かるじゃない。」と超ポジティブなアドバイスをもらいました。
その後義父から電話があり、「自分も単身で海外駐在していた6年の間ほかの女性と住んでいた。自分と同じ役職の他社の駐在員も皆そうしていた。男にはそんな存在が必要だ。年を取ったら嫁のところに帰ってくるからそれまで自由にさせてほしい」という内容でした。
不倫されたことは辛かったですが、自分の価値観が通じない異質な世界に住んでいたことがわかり、それが恐怖でしかありませんでした。
義父は亡くなり、夫は彼女との愛を深めて結婚を考え始めて、卑怯にも彼女のこととは関係なくずっと前から私が嫌いだったと言い出しました。義母は「こういうことはどちらかだけが悪いなんてことはない。あの子は社会的地位に見合った生活をする必要があるし、新しい家庭を持ったらなおさらあなたにあげるお金はそんなにない。1人で子どもを育てなければダメよ」と謎の励ましをしてくれました。
夫の家だけでしか通用しない独特の価値観です。でもその時は私1人に対してあちらは義父母と夫の3人の多数派で、私がおかしいのかとずいぶん苦しみました。
後年義母に「私はあなたを本当の娘だと思っている」と言われたとき、「私も本当のお母さんだと思っています」とはどうしても言えませんでした。言ったら嘘になると思いました。
夫は不倫時代に私に言っていたことは何一つ覚えていないそうなんです。でも義両親に育てられたのだから、義両親の価値観を共有していると考えた方がいいでしょう。夫のことは信頼していますし、大事な人ですが、夫と自分を同一化しないように、境界線をしっかり引くことが大事だなと思います。
そして、義両親も、私と考え方は違う人たちですが、ご縁があって家族になった方達なので、やはり大事な人たちであり、「君は君、我は我なり。されど仲良き」なのです。