いつだったか忘れるくらい昔のこと、宇野千代さんのエッセイか何かにこんなことが書いてありました。

 

「お風呂から上がったら鏡に映る自分の姿を見て、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスのようだと思う。メガネをかけていないのでぼうっとしか見えないので余計そうなのかもしれない。」正確な文章は覚えていませんが、そんな内容でした。

 

読んだ当時は宇野さんの気持ちがわかりませんでした。書かれた当時70代かもしかしたら80代でいらしたと思います。ヴィーナスって。。いくらなんでも厚かましいのじゃないかしら。たとえ自分で思っても書かないでしょうと呆れました。そんな風に自分の容姿を自画自賛するおばあさんを気持ち悪いと感じたかもしれません。

 

いまつくづく思うのです。宇野さんはとことん自分を愛し、大事にした方なのだなあと。若い頃の恋愛遍歴は現代でもなかなか受け入れ難いものがあります。夫がありながらほかの人と恋愛してそのまま家に戻らなかったりとか。(しかもその夫は最初の結婚相手の弟で、弟の方が好きだったのですぐに離婚したのです。)自分の心のままに行動した結果ですが、宇野さんの時代であれば今よりさらに周囲からの批判があったと思います。

 

宇野さんはひとに何を言われても全く気にならなかったのでしょう。逆に宇野さんが恋した男性たちは浮気をして去っていきますが、宇野さんはそのことも気にしていないようです。

 

私は宇野さんのような生き方はしません。私は私の生き方が好きだから。

 

でも80歳になってお風呂上がりの自分の裸体をヴィーナスみたいと思えるほどご自身を愛することができた宇野千代さんを素晴らしいと思います。

 

そしてそんな風に思えるようになった私自身も成長したなあと思っています、