(過去のお話です。)
指輪も買ってもらい、これでハッピーエンドとなるのは物語の世界でのこと。
現実はそんなに単純なものではなくて
私は外出の予定を入れるたびにOがどう思うか気になって
当日の朝まで言えないことが多いのでした。
そしてOの顔色をうかがう癖も相変わらず。
そんな中で、Oが以前から誘われていた会社への転職を決めました。
一応私にも相談はありましたが、Oの人生なので何も言うことはありませんでした。
還暦を過ぎて「誘ってもらえる」ことは素晴らしい。
心から応援したいと思いました。
Oは3月末まで今の会社で働き、4月から別の会社に行くことになりました。
年が明けて、遠方で暮らしている長男の結婚式の日となりました。
もう中国ではコロナの流行が始まっていましたが、まだ対岸の火事のように思えていたころです
多くの友人に囲まれて長男夫婦はとても幸せそうでした。
結婚式は2人が計画し、私たちはお金も口も出すことはありませんでした。
もちろん私たちからはまとまった額をお祝として振り込み、2人の門出を応援しました。
この子は私たちの初めての子で、両家にとって初孫。
お遊戯会でも、卒園式でも、小中高の卒業式でも私はいつも泣いてばかりでした。
最後の両家の挨拶の時には長男も私の顔を見て涙を流していました。
お嫁さんのお母さまも泣いていらっしゃいました。
でも、こんなとき大泣きするはずの私が、やはり全然泣けませんでした。
その時の写真を見ると私は満面の笑顔。
嬉しいのだから笑顔でいいのですが、泣かない自分が不思議でした。
マルが死んだときも、その後伯母が亡くなったときも悲しいのに泣けなかったので
自分の感情をまだ解放できずにいたのかもしれません。