(過去のお話です。といってもだんだん現実に追いついてきました。)

 

還暦のお祝が終わると、その次の月にはOの退職の日がやってきました。

その日を待っていた妻から離婚を言い渡されたサラリーマンの悲話がありましたが

私にそんな冷酷なことができるわけもありませんでした。

 

嫌なこともたくさんあったでしょうし

つらいこともあったに違いないのに

家族の生活を支えるために働いてきてくれたのです。

 

その日はOの好きなものを作って帰りを待ち

「お疲れさまでした」と長年の労をねぎらいました。

 

ただOはその後同じ会社で再雇用になるので

次の日からもまた同じ会社に通うのでした。

お給料は下がったようですが、それでもそれなりにはいただけるので

私がもらう生活費の額にも変更はありませんでした。

 

相変わらず自分のお給料は貯蓄に回せていることについて

本当にOには感謝していましたし、

そんなOに嫌な思いをさせることはできませんでした。

 

Oのモラハラがなかったら、「もうたまこさんはいないし、

このままでいいか」となっていたかもしれません。

 

一つとてもがっかりしたことがありました。

退職の日に、さりげなく「今までで何か後悔していることはありますか?」と

聞いてみたのです。

「finを悲しませたこと」と言ってくれたらいいなあ、という期待を込めて。

Oの答えは

「いや、ないなあ。(冗談っぽく)しいて言えば○○(Oの会社)に入ったことかな」でした。

○○はOが長年勤めた会社ですが、私と出会った場所でもあります。

謝るどころか、さらにグサッとくることを言われてしまったのでした。