Oのお母さんほど献身的に家族に尽くす人をほかに知りません。
縦のものを横にもしないお父さんと2人の息子のために一日中くるくる働いていました。
基本的にいつも家にいるので、Oは鍵を持って出かけることがなかったそうです。
一日中家事の段取りを考えながら暮らしていました。
朝ごはんの後片付けをしながら昼ご飯の下ごしらえをするような。
それが全然苦にならない人でした。
保存食を作るのも上手でした。新生姜の甘酢漬やゆずの皮の砂糖漬けなど
本当においしかった。
果物を出すときは食べやすく切って出します。
グレープフルーツはひと房ずつきれいに皮をむいてそのまま食べられるように。
「お友達に、あなたはご主人と息子さんを甘やかしすぎだっていつも言われるの。
でも少しでもビタミンを取ってほしいから、食べやすく食べやすくって思うのよね。」
Oが子どものころ、お母さんは自分のお皿のエビフライ(Oの好物)は決して食べず
いつも子どもたちのために残しておいたそうです。
洗濯が大好きだから天気予報がとても気になります。
我が家に遊びに来た時も天気予報を気にしていて、
なぜか全国の天気予報を毎日熱心に見ているので理由を聞いてみると
「お父さんが来週栃木県でゴルフをするから天気がどうなるかなあと思って」と笑っていました。お父さんが気持ちよくゴルフができるかどうかが前の週から気になるのだそうです。
そして我が家でも家事を手伝ってくださるのですが、
私が掃除機をかけようとすると、
「finさん、せっかくのお休みだからOにゆっくりしてもらいましょう!」と止められました。
Oがちょっとたばこを買いに外出すると、「さあ、今よ!」と大急ぎで掃除機をかけます。
とにかくOが100%快適であることが大事なのです。
長男が幼いころ、遊びに来ていたOのお母さんと3人で散歩をしていると、
保育園の園児たちも先生と散歩に出ていました。
楽しそうだなあ、と思ってみていると、お母さんは
「本当にかわいそうな子たち。お母さんが働いているからこんなところに入れられて。
○○くん(長男)は本当に幸せよね。」と言われたのでびっくりしました。
とてもいい方で、大好きだったのですが、
Oが私にお母さんのようになることを求めているなら無理だなあ、と思っていました。
Oにはお母さんのような人が妻のスタンダードなのです。
お母さんのようにできなくてもいいから、そうなろうと努力してほしい。
それができていないのに外で働きたいという私のことが理解できないのでした。
たまこさんだって、Oのお母さんみたいには絶対にできなかったと思います。
でももしかしたら、うんと年下のたまこさんにはそれを求めなかったのかもしれない。
私はOと同年代だから、お母さんみたいになることを目指してほしかったのかなあ。