通訳養成学校に通い始めて、新しい仲間ができ、また世界が広がりました。
クラス分けのテストの結果、本科には当然ながら入れず、入門科IIというクラスに入りました。
逐次通訳だけを学ぶクラスで、ここを修了して本科に進むと同時通訳も学べます。
準備不足で授業に参加すると悔しい思いをするので、土曜日が来るのが怖かった。
著名な方のスピーチが教材になることが多く、
通訳練習だけでなく、スピーチの内容からも学ぶことが多かったです。
忘れられないのが、スティーブ・ジョブズが
2005年のスタンフォード大学の卒業式で披露したスピーチです。
有名なスピーチですよね。
でも私は知らなくて、
スピーチを聞いて通訳の練習をしながら本当に感動しました。
3つのお話で構成されるスピーチですが、
その時の私の心に響いたのは、第1の「点と点をつなぐ」こと。
過去に心の赴くままにやってきた一見バラバラに思えるさまざまなことが、振り返ってみると
点と点が線でつながれて現在に至っている。
それはその時点では予想できないことで、振り返ってみて初めて分かる、
だから心の赴くままにやりたいことをやってみようとジョブズは語りかけました。
全くそうだ、その通りだと思いました。
専業主婦で子育てをしていた30代前半のころ、通訳に憧れがありました。
でも通訳の学校は学費が高くて通うなんて夢のまた夢でした。
なのでそれは諦めて、その代わりに忙しいワーキングマザーのお友達の代わりにPTAのお手伝いをしました。
お手伝いを通じてExcelやWordを一通り使えるようになりました。
そのお陰で19年のブランクを経て仕事に復帰する最低条件をクリアできました。
添削の仕事はつらかったけれど、学校に通うお金を貯めることができました。
Oとたまこさんの恋がなければ、仕事に復帰するのは遅れていたかもしれません。
そして今こうやって勉強していることは、きっと将来につながっていくだろうと信じられました。
今でもジョブズのこのスピーチを聞くとじーんと来ます。