O がたまこさんとの恋を成就させるには、
高いハードルを超えることが必要でした。

O と私は社内結婚で、仲人は当時の部長。
私のことを知る人もまだ残っていました。
O の先輩にあたるおじさんたち、
Oの父も私の父もそうですが、
彼らは男の浮気にはある程度寛容です。
でも妻子を捨てて飲み屋のお姉ちゃんと
一緒になるというと話は別。
無責任な男、だらしない男という
レッテルを貼られてしまいます。
会社でそんな評判がつくとマイナスだし、
両方の親にも呆れられてしまう。

だからOは、「finに落ち度があって
それが原因でO とうまくいかず、離婚。
その後O は別の女性と付き合って結婚」
というシナリオを描いたわけです。

私はそれは許せなかった。
「好きな人ができてその人と結婚したいから
離婚してほしい。子どもたちのことはちゃんとする」とちゃんと打ち明けてくれたら
離婚するけれど、
それ以外はダメだと心に決めていました。

O にとってどれだけ仕事が大事か
私もわかっていたので、
会社に知られるようなことはしないというのは
私たちの暗黙の了解だったと思います。

発覚した時、Oは出張と嘘をついて
旅行をしていました。
私は会社に電話してOが休みを取っていることを
確認しましたが、
偽名で電話したので会社にはバレませんでした。
その判断は正しかったと思っています。