お熱いのがお好き | Let's talk about...

Let's talk about...

あくまでも個人的な映画論です。ネタバレにご注意ください。

お熱いのがお好き、は10代の頃からもう何度となくみていて、見るたび笑い転げてしまうし、新鮮な喜びを与えてくれる素敵な映画だ。エバーグリーンとはこのことなのだな・・なんて思ってしまう。


あらすじはこうだ。(ネタバレ注意です)
1928年、禁酒法時代のシカゴ。
売れないサックス・プレーヤー、ジョー(トニー・カーティス)とベース・プレーヤー、ジェリー(ジャック・レモン)、お金のためならギャングが葬儀屋の地下で極秘に経営する酒場でのバンド演奏もこなしている。
その酒場でいつものように演奏していると、もぐりの警察官が酒場に忍び込み酒場と経営者のギャングたちを一斉検挙してしまう。警察官の存在にいち早く気づいた二人は、そそくさと酒場を逃げ去り検挙されずにすむのだが、職を失ってしまう。

泣く泣く音楽エージェントに駆け込む二人だが、恐慌時代の前触れで仕事もなかなか舞い込まない。ようやく、ジョーに惚れているエージェントのネリーから仕事をもらうが、車で飛ばさなくてはいけない場所なので、早速ネリーから車を借り、仕事に向おうとする二人。

しかし、ネリーの車が保管してある駐車場は実はギャングのたまり場。ギャングの一味が経営している場所だった。二人が車に乗り込もうとすると、酒場を経営していたギャングたちが現れて、駐車場を経営しているギャングたちに銃を向ける。
酒場が検挙されたのは、駐車場経営のギャングの一人の密告によるという事実に復讐をしにやってきたのだ。
無残にも銃殺されてしまうギャングたち・・。ジョーとジェリーは車の陰に隠れていたが、ふとしたことで気づかれてしまう。目撃者も消せ、といわんばかりに二人にも銃を向けるギャングたち。うまい具合にごまかし逃げることが出来た二人だがギャングに追われる身となってしまう。だが、ジョーがネリーが先程口にしていたことから妙案を思いつく。
フロリダのホテルで一ヶ月のショーがあり、サックスとベース・プレーヤーをうまい具合に探している楽団があるのだが・・・しかしその楽団は女性オンリーのガールズ・バンドなのだそうだ。

女装してその楽団にもぐりこめば一ヶ月は安泰だ・・・
二人は女装をして楽団にもぐりこむが・・・・。

というのが前置き。


ビリー・ワイルダーらしく、前置きもゆっくり時間をかけて一人ひとりの登場人物の個性をじっくり描いている。

マリリン・モンローはガールズ・バンドの歌い手&ウクレレ弾きで登場する。

マリリンの歌声も堪能できる。I wanna be loved by you, just you, nobody else but you・・・、という、あまりにも有名なこのフレーズの曲はこの映画で披露されている。



女装の二人の芸達者なことといったら・・・。
私はこの映画を10代半ばで初めてみてかなり影響を受けてしまったに違いない・・・。私の女装家&ドラッグ・クイーン好きはこの映画から始まったのだと思う。

トニー・カーティスもジャック・レモンも稀有な俳優だと思う。コメディもシリアスもなんでもござれのふたりだった。この映画はジャック・レモンのコメディアン(コメディエンヌ??)演技がなければまったく成立しなかった。この映画の一番の功労者はジャック・レモンだと思う。



さて、フロリダのホテルに着いたガールズ・バンド。
フロリダは当時、大金持ちがホリデイに訪れる場所として有名な土地だが、大金持ちは、高齢な爺様たちばかりなのだった。お金持ちを捕まえて玉の輿を狙っていたシュガー(マリリン・モンロー)はがっかりだ。だがしかし、ジャック・レモン扮するダフ二はホテルの入り口で早速大金持ちの爺様に見初められてしまう!この爺様もすごくいい。この二人の絡みが後半で面白く展開するのがかなり見ものなのだ。

トニー・カーティスのジョーセフィンのほうもダフ二に負けてはいない、といってもシュガーに岡惚れしたジョーだから、かれはある計画を練り上げて、うまいことシュガーと恋に落ちる、ただし・・大金持ちの御曹司に扮して・・・だが。






私はこの映画を幸運にもロンドンのプリンス・チャールズ・シネマでリバイバル上映の際、大画面で見ることが出来た。

プリンス・チャールズ・シネマは今でもあるのかわからないが、最近ではロンドン・プレミアなどの際にスターが集うようになったレスタースクエアにあり、何度1ポンド(当時、250円くらい)ぽっきりで映画を見ることが出来たので、留学時代に本当に足繁く通ったものだった。

新作は上映しないが、準新作やリバイバル作品など、毎日5-6本の作品を上映しており、本当にお世話になった。

お熱いのがお好き、のほかにも、アニー・ホール、シャイニング、悪魔のいけにえ、成功の甘き香り(こちらもトニー・カーティス主演だ。)T・REXのマークボランのドキュメンタリー、ボーン・トゥ・ブギー(これはマーク・ボランの命日を偲んの特別上映だった)などリバイバルで見ることが出来た。


数え切れないほど通ったが、準新作でハーモニー・コリンのガンモ、ベルベット・ゴールドマイン、リバイバルでトレインスポッティングなどを見たのがよく記憶に残っている。


話がそれたが・・お熱いのがお好き、まだ見てない方には絶対絶対見てほしい。