黒衣の花嫁 | Let's talk about...

Let's talk about...

あくまでも個人的な映画論です。ネタバレにご注意ください。







ジャンヌ・モローがあまり好きではなかったので、この作品はずっと未見だった。

アントワーヌ・ドベック著のフランソワ・トリュフォーを読んでいると、ジャンヌ・モローの人柄の良さがわかるし、トリュフォーにとってとても大事な女優であるとともに、突然炎のごとく、と、黒衣の花嫁、の撮影中は二人は恋人同士でもあったし、蜜月がおわっても二人はよき友人としてお互いを支えあっていたようである、というエピソードなどを読み、やっとジャンヌ・モローが好きになってきた。

しかし、トリュフォーは自分の映画に出ている主演女優とは必ずといっていいほど恋に落ちていたのには驚かされる。アントワーヌ・ドワネルシリーズの夜霧の恋人たち、からドワネルの可愛い恋人~妻役を演じたクロード・ジャドとも婚約、結構直前までいったものの、結婚を取りやめたりしている。カトリーヌ・ドヌーブとは暗くなるまでこの恋を、の撮影中からロマンスが始まり、同棲しているが、子供がどうしても欲しかったドヌーブから別れを告げられ、鬱に陥ったトリュフォーは精神病院で治療を行ったりもしていたようだ。
自分がフランス人の映画監督だったら絶対トリュフォーの自伝映画を撮りたい!と思っていたと思う。この人の人生も彼の映画に負けず劣らず、情熱的で感情的だからだ。


黒衣の花嫁は、トリュフォーいわく、思い出したくもない映画、なようだが、私にとってはとても面白かった。


まずプロットがキル・ビルのようで面白かったし、(キル・ビルがこの映画のようだ、といわなくてはいけないが)復讐劇が個人的に好きなので楽しめた。復讐する5人の男たちの名前を黒革の手帳にかきだし、復讐が終わるたびに、名前に線を引き消していく、のもキル・ビルのようだった。(キル・ビルは日本映画、梶芽衣子主演の修羅雪姫にかなりの影響を受けているのは周知のことだが、この映画について、タランティーノはどう思っているのだろうか知りたい)トリュフォーの敬愛するヒッチコック的なスリルや、この映画の音楽もヒッチコックの数々の映画の音楽を手がけた、バーナード・ハーマンが手がけているのもすごくいい。

ジャンヌ・モローの元恋人、ピエール・カルダンが手がけた、黒と白のみの衣装もよかった。
ジャンヌ・モローは黒が似合う。

ヒッチコックもこの映画を絶賛しており、批評家たちも絶賛されたのにもかかわらず・・・トリュフォーが満足できなかったのは、ジャンヌ・モローの美しさを充分に引き出すことが出来なかった・・とは、やはりトリュフォーは女優を何よりも愛した監督なのだなぁ、と思わずにいられない。


私からしたら、突然炎のごとく、のジャンヌ・モローとあまり変わらない気がするが・・・。(もともとジャンヌ・モローは老け顔な人だと思う。)


しかし、ジャンヌ扮する、ジュリーの、5人の男たち、それぞれの個性に合わせた復讐の仕方はとても面白かった。



しかしジャンヌ・モローは宮本信子に似てるなぁ・・と思うのは私だけでしょうか。









復讐した男の名前に線を引く・・