皆さま、こんばんは。
前回記事の続きです。
前回書いたように、フィラーの効果持続期間を一概に述べるのは難しいのですが、
治療経験から明らかなことがいくつかあります。
ヒアルロン酸は吸収性物質であるが、必ず全部吸収されるわけではない
ちょっとややこしいけど、ヒアルロン酸は吸収性物質なんです。
が、だからと言って全部吸収されて無くなるかというと、そういうわけではありません。明らかに長期に渡って残存することがあります。特に目元なんかは、1回の注入で半永久的にヒアルロン酸が残ってしまうこともあります。理由はあくまでも仮説ですが、目の周囲は、ヒアルロン酸を多く含む眼球保護のため、ヒアルロン酸の代謝が悪いのではないか?と推測されています。
また、ヒアルロン酸製剤はアレルギー反応を起こしにくいとはいえ、異物には違いないため、皮下にmass(塊)としてある程度の期間留まると、mass(塊)の周囲に線維性の被膜が形成され、吸収されなくなってしまうことがあります。
この被膜に包まれたヒアルロン酸は特に害はなく、よく言えば効果が半永久的に続く・・・、しかし老化が進んだ時に、変な目立ち方をしてくる場合があります。
効果が消失する前に再注入をおこなうと、効果持続期間が長くなる
例えば、ヒアルロン酸を1本入れてから、1年後に追加注入する場合と、半年後に追加注入する場合とでは、半年後に追加注入しておく方が、全体で同じ量を注入したとしても効果が長持ちします。
初回注入後は、半年後ぐらいにメンテナンスをおススメしている理由です。
mass(塊)で注入する方が吸収が遅くなる
例えばですが、4mlのフィラーをmass(塊)で注入した場合と、1ml×4個注入した場合を比べると、後者の方が表面積は4倍になりますね。
したがって同量注入の場合でも、できるだけ大きなmass(塊)で注入した方が生体内での分解機序にさらされる表面積が少なくなるので、フィラーの吸収がそれだけ遅延すると考えられます。・・・知らんけど(笑)。
いずれの製剤においても、再注入を繰り返すことによって効果が定着し、長期持続するようになる。
1~3の理由、およびBio-stimulator(バイオスティミュレーター:自分自身のコラーゲン産生を促す)として働く製剤(ベビーコラーゲン、エランセ、レディエッセ、ヒアルロン酸も・・・)は自家組織を増加させるため、繰り返しの注入によって、これらの作用の相乗効果で、効果が長期維持できるようになってきます。
ただし、これらも注入する部位や量や製剤なんかによってもかなり個人差が出てきますし、
一般的に、体が華奢でやせ型、皮下組織がルーズで皮膚に張りがない人は、なぜかフィラーの吸収が早くて定着しにくいです。(なんか申し訳ないぐらい早く減っちゃう方もいる・・・・。)
逆に、がっちり体型の方(洋服の肩パッドを外す人(笑))、皮下組織がタイトで顔面骨格がしっかりしている人は、割とフィラーの持ちが良い傾向にありますね。
いつも登場する当院の美人ナース、Kさん
ある程度、完成形を造るのに、3回注入で9.7mlのフィラーを使ってますが、その後はあまり追加しなくてもず~っと効果が維持できている例です。・・・ちなみに彼女は、効果が持続しやすいガッシリ体型です(笑)。ベースの骨格があまり崩れていないので、復元しやすい
当院で実物を見ていただけますが、めちゃナチュラルな仕上がりです。
他にもまだいろいろありますが、まとめますと
効果持続期間に影響を及ぼす要素として、製剤側は、製剤の成分・ゲル硬度・粘度・弾性・注入する量・注入方法、加えてヒアルロン酸の場合は、架橋度・ヒアルロン酸濃度・水和の程度などの要素が挙げられる。生体側の要素としては、年齢・体格・部位・深さ・皮膚の構造・生活習慣(喫煙・ダイエットなど)・注入部位の可動性などが挙げられる。同じフィラー製剤であっても、生体側の条件や注入法などによって持続期間はかなりの幅で変動するため、メーカーが謳う持続期間はあくまでも目安程度に考えるべきである。
。。。。ということになりまして、完成形からどれぐらい効果が維持できるかというと、それはもういろんな要素が絡んできますし、個人差が大きいのでございます。
ただし、注入を繰り返していくと、だんだん効果が維持できるようになってきます。でも、これも個人差大なので、何回でどれぐらいとは言えません。
注入治療は奥が深いっす・・・・。