私たちは、広島県の元教員、保護者、様々な市民からなる市民団体「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」です。
2月16日の中国新聞で「『はだしのゲン』の平和教材から削除

『被爆の実相に迫りにくい』広島市教委」という記事を見て驚きました。
平和教材からの削除を決めた広島市教育委員会は、

自らが作成した作った「ひろしま平和ノート高校生版」で

次のように『はだしのゲン』の重要さを紹介しています。
 

『はだしのゲン』は中沢啓治さん自身の被爆体験をもとにした漫画で、作者の分身であるゲンが、原爆で家族を失いながら戦後をたくましく生き抜いていく姿が描かれています。「週刊少年ジャンプ」に連載された作品は子どもたちの支持を得て、原爆の実態を広く世の中に知らしめました。現在24言語に翻訳され世界の子どもたちに平和を訴えています。

また、日本や世界の数多くの賞を得て、

すべての原画が広島平和記念資料館に寄贈されています。
 

被爆者である中沢啓治さんは

「僕の次の世代が、平和がどんなに大切かということを本当にわかってくれたら、

僕の役目は終わるんですよ。・・・戦争は絶対にしちゃいかん、

核兵器を絶対になくしていかなくちゃいけない、

そういう世代を育てなくちゃいけない。・・・」と。
このように、

はだしのゲンの果たしてきた役割を十分に理解していたはずの広島市教育委員会が、

なぜ平和教材からの削除を決めたのか、元教員として理解に苦しんでいます。
また、2月22日の中国新聞記事では、

はだしのゲンの作者中沢啓治さんの妻の中沢ミサヨさんは

「夫は原爆の恐ろしさを自分の体験を通じ、

子どもたちにわかるように描いてきた。

今の時代に合わないなら仕方がないが、

作品を読むきっかけが失われるのが残念。

ゲンはコイを盗みたくて盗むのではない。

母親を助けたいという思いが強い。

それが分かりにくいなら他の場面を使えばいい。

何がいけないか、市教委から詳しく理由を聞きたい。」

と述べておられます。
このように、日本だけでなく世界中の多くの人々に支持され、

原爆の恐ろしさを子どもたちに伝えるために欠かせない教材として

長く使われてきた『はだしのゲン』を広島市教育委員会が

「ひろしま平和ノート」から削除したことに

市民からとまどいの声が沸き起こっています。
私たちは、広島市教育委員会に対し、

ヒロシマの心『はだしのゲン』を

「ひろしま平和ノート」から削除しないことを求めます。