果たす二つの役割
軍事力は侵略の道具にもなりますが、抵抗の道具にもなります。
しかしその区別さえ、上記のごとく判定が難しいのです。
まして有用か無用かの二者択一の議論は、軍事力を語るには不適切です。
要はその用い方であって、危険だからなくしてしまえという議論は乱暴です。
(中略)
平和憲法が防いだのは日本の侵略であって、外国の侵略ではない
平和憲法は日本が外国に攻め入ることを防いできました。
しかし外国の侵略を防ぐ力はありません。
外国が日本国憲法を守らねばならぬ道理はないからです。
外国の侵略を防いできたのは、米軍と自衛隊の武力です。
(中略)
つまり無抵抗主義は侵略を誘発し、専守防衛は戦争を未然に防ぐのです。
しかし軍隊は両面性を持っています。
日本を防衛している在日米軍が、他方では侵略的機能を果たしているのが典型的な例です。
日本から出撃した米軍によって外国が侵略被害に遭っているという事態を、私たちは自らの安全のため背に腹は代えられないと見過ごしてよいものかどうか。
沖縄の米軍基地は、そういう問題でもあります。
けれどこれは集団的自衛権のカテゴリーに属し、いま語ろうとしているテーマと一部重なりつつも、同時に語っては論点が錯綜する危険をはらむ問題です。
(中略)
自衛隊にしても、日本の安全保障だけを考えればより強力な方がいいことになりますが、それは周辺諸国の警戒を呼び起こし、緊張を高めますから、かえって安全を危うくする場合もあり得ます。
しかし改憲論者は武力の持つこうした本質的危険性に目を閉ざしており、まるで火の危険性を知らないで無邪気に花火を振り回す子どもみたいなものです。
そんな奴にマッチを持たせるわけにはいかないので、私は批判しているわけです。
■2010-04-27 護憲的安全保障論6 憲法押し付け論について(1)
いま憲法を変えたい理由は、ホンネの所では国民の自由と権利を制限するためです。
平和主義を変質させるためです。
だれのために。
自分たち国政を壟断しようとしている権力者のために、です。
そんなもくろみに、どうして我々が同意しなければならないことがあるでしょうか。
■2010-04-29 護憲的安全保障論7 憲法押し付け論について(2)
押し付け論4 その論理矛盾
改憲派には押し付けを批判する資格などありません。
憲法が押し付けられたと言う論者は、他方で奇妙に矛盾したことをいっているからです。
日本は韓国を植民地にしたが、これは押し付けではないと言うのです。
韓国の同意を得て、条約をむすんで、合法的に併合したのだから、押しつけではないと。
無茶を言ってはいけません。
そのとき、日本は韓国の軍隊を解散させ、外交権を奪い、韓国を軍事的に占領していたのです。
韓国を手も足も出ない状態に追い込んでおいて、相手がいやがることを強制しておきながら、「押しつけではない」と、あつかましくも開き直る。
そのくせ、「憲法は押し付けられた」と泣き言をいう。
その理由は、「連合軍に占領されていたからだ」、「自主権をうばわれていたではないか」
というものです。
それならば日本が韓国を併合したときの状況と同じではありませんか。
(中略)
韓国併合の正当化は、過去の軍事行動を合理化するものです。
憲法押し付け論は、未来の軍事行動を準備するものです。
改憲派の主張は矛盾していて論理的には破綻しているのですが、軍事行動の正当化、合理化という目的だけは一貫しています。
こんな論理の横行は、絶対に許せません。
(中略)
憲法が現実ばなれしているという理屈ほど憲法をバカにした議論はありません。
では、日本国憲法の条項はすべて実現しているのか。
国民の基本的人権も、議会主義政治も、憲法の理想からはなはだしくかけ離れているではありませんか。
前文冒頭の「日本国民は正当に選挙された国会に於ける代表者を通じて行動し」というのだって怪しいものです。
正当な選挙なんでしょうかねえ、いまの選挙は。
憲法は現実ばなれしているものなのです。
憲法前文にあるではないですか。
「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」
憲法はいまだ実現されていない「崇高な理想と目的」を掲げているのです。
だから現時点では現実ばなれしているのが当然なのです。
いまは理想だが、将来はそれを現実にするぞ、そのために努力することを誓おう、これが憲法の呼びかけなのです。
この何が間違っていようか。
むしろ憲法をしっかりと擁護し、その指し示すところの高み目指して努力しようじゃありませんか。
憲法は素晴らしい。
だからこそ、このすばらしい憲法を擁する日本の独立は大切であり、自衛隊の抑止力が必要とされているのです。
自衛隊と憲法は矛盾していません。
私はこう信じています。
■2010-04-30 護憲的安全保障論8 「政府主催/憲法記念日祝賀会」をしない国
感謝されない憲法。報われない自衛隊
自衛隊は命令に従うしかない実力部隊です。
自衛隊を動かすのは政治の側です。
命令するのは政治家なのです。
そしてその政治家は自衛官の生命など、虫けらぐらいにしか考えていない。
それでいて、犠牲者が出ればそれをまた英雄として持ち上げて、憲法改悪の道具にするでしょう。
無茶な命令を黙々とこなし、報われることもなく、大切にもされず、平和主義者からは目の敵にされ、それでも自衛官は働いています。
自分たちを死地に送る者たちの安全のために。
自分たちを非難する人たちが侵略の被害に遭わないように。
それが法律で定められた自分の任務だからです。
憲法もそうです。
戦後65年間、一度も大規模な争乱に巻き込まれることも、自ら参加することもなくやってこられたのは、憲法と自衛隊があったからです。
それなのに政権与党からは欠陥品だとけなされ、記念日に祝賀会ひとつも開いてもらえず、改憲論者からは目の敵にされ、それでも憲法は平和と人権を守って機能しています。
憲法がある今でさえ、航空自衛隊はNATO輸送部隊として、実質的に参戦しました。
改憲すれば、たちまち自衛隊はアメリカ軍の弾よけにされてしまうのが目に見えています。
改憲の旗を振る政治家や財界は、自衛官が無駄に戦死しようと、知ったことではないのでしょう。
国民がどんな目にあおうと、自分たちに危険が及ばなければそれでいいのでしょう。
むしろ軍事費を湯水のように使えば、自分たちの利益になります。
そんな連中の屁理屈にだまされてしまえば、いの一番に危険にさらされるのが自衛官です。
最初の戦死者は、祖国防衛の戦いではなく、どこだか知らないアメリカ軍の戦場で生じることでしょう。
だから自衛官こそが、最も憲法を大切に護らなくてはならない。
■2010-05-01 護憲的安全保障論9 シビリアンコントロールの限界と国民的監視について
好戦的文民に気を付けよう
自衛隊の中に国家主義的思想が台頭する事態は憂慮すべきことです。
そういうものの台頭に、私たちは常に目を光らせておかなければなりません。
田母神氏の論文とも言えない駄文をきっかけに、文民統制について騒がれたことは記憶に新しいと思います。
どなたもすでにご存じでしょうが、文民統制(シビリアンコントロール)は、平和主義を直接的に保障するものではありません。
(中略)
最高のシビリアン・コントロールは国民による統制です。
有権者がピースマインドをなくしてしまえば戦争を防ぐ機能は失われます。
心しなければいけませんね。
自衛官にも知る権利を
ところで自衛官も有権者です。
命令に従う義務はありますが、その命令に疑問を抱く内心の自由はあるのだし、命令を下す政治家を選挙で落とす権利もあるのです。
その権利が有効に保障されていなければ民主主義は不完全です。
自衛官にも選択の自由はあるのです。
選択の権利は、情報統制のない、自由な言論が保障された社会で、はじめて有効に機能するでしょう。
自衛官にもあらゆる情報が開かれていなければ、主権者として、また有権者として、正しく権利行使できないことになります。
何が言いたいかというと、自衛官にも反戦ビラを読む権利ぐらいあると言いたいのです。
自衛隊官舎へのビラ入れくらいで逮捕されるような社会では、言論の自由など絵に書いた餅でしかありません。
ビラ入れが誰の人権をどの程度侵害したから、何ヵ月も勾留されなければならないというのでしょう。
イラクに行かせたくないというのは国民の声なのですから自衛官に聞いてほしいし、どうしても読みたくなければ捨てればよいだけのこと。
考えれば考えるほど、立川の自衛隊官舎にビラを入れた活動家に有罪判決を下した最高裁はおかしい。
(中略)
自衛隊を監視することと、自衛官を非難することの区別を
警察官が右翼を取り締まらず、左翼に厳しかったり、自衛隊が市民運動を監視しているのは由々しきことですから、しっかりと批判して改めさせなければならないと思います。
警察が反国民的存在になれば治安確保がおろそかになるだろうし、自衛隊が本来あるべき安全保障の役割を取り違えて反国民的存在になれば、それはこの国と国民の不幸です。
ですから、自衛隊を監視するのはいいのですが、それは自衛官に理不尽な非難を浴びせることと違うので、区別してほしいと思います。
長いので次スレッド03に続きます」
泥憲和さんの、自衛隊と憲法と国防について、2日目の記事でした。
5月3日は元・自衛官、泥憲和さんの命日です。
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3月16日ブログの
「・・とういうわけでヒプノセラピーを中止いたします」もご覧ください。
「水飲み場」のHPとタイトルはそのままです。
ヒプノサロン「水飲み場」「戦争と平和・自宅図書館」のホームページ
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