大学病院と違い、待ち時間は10分ほどでした。

あっという間に診察室へ呼ばれます。


担当医は大学病院のときと変わらず、

しっかり目を合わせて挨拶してくれました。


「どう?近くなって楽でしょう。

待ち時間も少ないしね。」


その通り。


距離も時間も、絶対にこっちのほうがいい。


でも——


心は、大学病院のほうが楽だった。


なぜかはわからない。


たぶん、あそこは

“何かある人たちの場所”だったから。


ここは、

“何もない人たちの場所”に感じてしまった。


その気持ちは飲み込んで、

「そうですね」とだけ返しました。


エコーをするため横になります。


トクン、トクン、トクン。


しっかり動く心臓。


胎動も感じているから、

大丈夫だとわかっているのに、

やっぱり音を聞くと安心する。


腹部嚢胞は、相変わらずそこにある。

どれだけ願ってもどうしても消えない黒い丸。


でも、赤ちゃんが大きくなったからか、

少し小さくなったようにも見えました。



成長は順調。

他に気になるところはなし。



「じゃあ次もここでやろうね。」


幸か不幸か、

大学病院に戻る選択肢はありませんでした。


続きます