服部幸應先生を偲んで...「食育のすすめ」服部幸應トークショー(2008.11.8)再録@服部栄 | figlia-del-soleのブログ

服部幸應先生を偲んで...「食育のすすめ」服部幸應トークショー(2008.11.8)再録@服部栄

服部幸應先生を偲んで...「食育のすすめ」服部幸應トークショー(2008.11.8)再録@服部栄養専門学校文化祭

 

 

2024年10月5日 料理評論家 服部幸應先生(78才)の訃報に接し 心よりお悔やみ申し上げます

 

服部先生には 息子が調理師学校を探していた時期にオープンキャンパスに行ったり 息子自身も調理科のセミナーで先生にお会いしたり またのちに(公財)日本イタリア料理協会主催のイベントで服部栄養専門学校に行った際には 最前列に並ぶ服部先生のお元気なお姿をお見かけしたものでした 大変お世話になりました 

 

ここに 服部先生の在りし日を偲んで 2008年服部栄養専門学校文化祭で聞いた「食育のすすめ」トークショーを再録させていただきます 当時のことが今もはっきりと思い出されます:

 

 

「食育のすすめ」服部幸應トークショーを聞いて    

     於 服部栄養専門学校文化祭(2008.11.8)

食育基本法2005年7月15日に施行され、現在は各国でも「食事バランスガイド」(写真)が使われている。日本では2009年からは幼稚園で、2011年4月からは小学校で、2012年4月からは中学校で、いよいよ学習指導要領の中に「食育」が組み込まれることになる。食育とは一言で言えば「安心、安全、健康」を選ぶ能力を身につけること。

・今は衣食住の伝統が途切れた時代。(4割の教師が箸がうまく使えないのを見たことがあった)

食糧問題…ド・ゴールが「食料自給率が100%でないと独立国家とはいえない」と言ってから欧米は自給率をアップさせたが、日本は逆に減った(73%→40%) 一人がお米600粒を毎日よけいに食べれば食料自給率は1%アップします

・昔は1,380万人いた農業従事者が、今は210万人に減り、半数が70才以上(時給換算で250円!!)
   300万人いた漁業従事者   → 20万人 “

・47都道府県のうち、最も自給率が高いのは北海道で195%、東京はなんと1,2%→ 今日からでも地元のものを買ってください、なければ隣の県のものを!!→「地産地消

温暖化・砂漠化等の問題のある中、さらに「ブリックス(ブラジル、ロシア、インド、中国)」が、そしてそれに続き「ビスタ(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)」が世界の食糧を買い付けし、日本は既に買い負けしている。

日本の人口は70年後には約半分の6千万人に減少してしまう。男子は生活習慣病、女子は激やせが増加。(カルシウム不足で軽石のような骨、30代前半で女性機能も停止)

・世界人口のわずか8%のみが豊かな食生活を送っている。残りのうち11億人が恒常的な水不足に悩まされているが、その3分の1は、日本がその国の畑の農産物を、つまり「水」を輸入していることが原因。そして約3割を食べ残す。8億4,200万人が栄養失調、年間900万人が餓死している状況。

・「モッタイナイ(MOTTAINAI)」=リユース、リデュース、リサイクル、そしてリスペクト

・「スローフード運動」とは「その地域でとれたものを守り続ける」運動のこと

・日本では96%が多少の差はあれ「テレビを見ながらの食事」、欧米は32%(下層家庭が主)

・去年(2007年)の凶悪犯罪は未遂も含めて980件と、20年前の16倍も増加。

3歳から8歳の食卓で躾をしないと、そのあとはもう無理。(8~9歳で脳が発達し、10歳で脳が完成する) また生活習慣を変えるのは非常に難しい。この時期の家族の食卓も800回から300回へと激減。

子どもを独り立ちさせられない親が増え、ニートやモンスターペアレンツが目立つ。250年前の寺子屋の時代は家で「一般常識」を教えたが、今は学校に押しつけているのが現状。 

                          
「一般常識」を備えた子はどの世界でも伸びるもの。家族で食卓を囲みながら躾をした時代の伝承が途切れているのが問題で、「食育基本法」は実は、いわば「食卓基本法」ともいえるのです。    
         

服部幸應:  医学博士、服部栄養専門学校理事長・学校長。「食育基本法」提唱者。マスコミ等で「食育」の大切さを訴えつつ、食文化の発信に努める。

* この記事は 会長が服部栄養専門学校の文化祭で服部幸應氏のトークショーを聞いて、一人でも多くの人に広めてください!! と力説されたのを受けてアップしたものです。2008年当時、服部栄養専門学校にもこの記事を送ってあります。