「夜の外側 イタリアを震撼させた55日間」の冒頭1時間特別試写会に行ってきました
「夜の外側 イタリアを震撼させた55日間(esterno notte)」の冒頭1時間特別試写会に行ってきました(2024.7.31)@(公財)日伊協会
日伊協会会員限定の「夜の外側 イタリアを震撼させた55日間(esterno notte)」の冒頭1時間特別試写会に 日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホールまで行ってきました
第1部のみの上映とトークショーで ロードショーは8月9日(金)からBunkamuraル・シネマ渋谷宮下他で始まります 長いため前編・後編に分かれています🎥
試写会に先立ち チラシやHP wikipediaイタリア語版等色々読み込んでから行きました 第6部まで 計340分もあるので大変です🎥
1日で一度に観ることが体力的にもできないのですが 前編と後編を違う日に観ることはできるそうです😊
映画の紹介記事は こちら
ベロッキオ監督は数々のインタビューで「これは再構築されたフィクションだ」と繰り返し発言しています
たとえすべての登場人物が 実在した(する)人物であっても この映画はあくまでもフィクションだと定義されているのですね
ストーリーは こちら
同じテーマでの前作「夜よ、こんにちは(Buongiorno, Notte/Good Morning, Night )」(2003)は こちら
私は事前に Esterno notte (Wikipedia)のイタリア語版を読み込んでおき ストーリーや登場人物も押さえておきました
Wikipediaで登場人物をひとつひとつクリックして実在の人物の写真をすべて見たのですが まぁそっくり😲
チラシの両端に並んだ12人の写真のうち10人は判別がつくようになりましたよ😊 ← 観てる時に誰が誰だかわからないと混乱するから…
名前と顔をしっかり把握してから観たので 登場人物もパッとわかり イタリア語もかなり聞き取れ ストーリーを十分に追うことができてバッチリです👌 ←あとは3時間見続ける体力?
上映後に解説を聞きましたが この映画はイタリア映画祭2023で『夜のロケーション』のタイトルで上映されましたが 長すぎて日本には来ないんじゃないかと思っていたそうです
6時間にも及ぶイタリア映画はベルトルッチ監督の『1900年(Novecento )』(1976) ジョルダーナ監督の『輝ける青春(La Meglio Gioventù )』(2003)等がありますが カタルシスを得に また私自身イタリアの裏側・政治についてあまりよく知らないため ぜひ観に行こうと思います🎥
「1900年」は私も観たけど6時間もよく一気に観たなぁ...若くて体力あったのね~🎥
この事件が起きた1978年当時のイタリアの緊張した空気感が実によく出ており 細部まできちんと(赤い旅団のビラや公衆電話まで)再現されており 第2部ではコッシーガ内務大臣の 第3部ではバチカンのパウロ6世の 第4部では赤い旅団のテロリストたちの(それこそ 同じ監督作品の『夜よ、こんにちは』と比較して) これでもかといわんばかりの暗躍・画策ぶりを観てみたいと思います🎥
これは イタリアというファミリーのひとつの「サーガ(叙事小説)」であるとのこと
同じく1978年には ヨハネ・パオロ1世が即位後わずか1か月で突然亡くなるという事件も起きており イタリア人の中には 「大変なことがあった年」として記憶されているそうです
「赤い旅団」(極左過激派)は白昼堂々と政界トップを誘拐しますが 計86人を殺害しており慣れたものだったようです
90年代末には解体されますが その後 娑婆に出てから色々発言したり本を出したり… 新たな証言や情報は出るけれども 結局「真実はつきとめられない国」なのですね😞
監督インタビューによると ある雑誌に載った 海水浴に行ったモーロ一家の アルド・モーロだけが一人背広を着ていた写真にインスピレーションを得たとのこと
モーロ役のファブリツィオ・ジフーニ(Fabrizio Gifuni)は 舞台でもモーロ役を務めており即決 パオロ6世はイタリアの名優トニ・セルヴィッロ(Toni Servillo) 妻エレオノーラはマルゲリータ・ブイ(Margherita Buy) と…名優ぞろいです😊 ヴェロッキオ監督(Marco Bellocchio)は 84才でありながら精力的に映画を撮り続けています🎥
コッシ―ガ内務大臣(Francesco Cossiga)はサルデーニャ出身で 映画でもサルデーニャ語訛りで話しているそうです イタリアのインテリジェンスを担う人物で 暗殺後引退するも のちに首相そして大統領になってしまうのですね😲
バチカン批判も第3部で痛烈に描かれているそうです
観る者の力も試される映画とのこと🎥
試写会会場の日比谷図書文化館
* * *
ストーリーと 主な単語・登場人物(チラシより抜粋)
* 何も予備知識なしに映画を観たいという方は読まずに映画をご覧ください
1978年3月のある朝 戦後30年間にわたってイタリアの政権を握ってきたキリスト教民主党(Democrazia Cristiana/DC)の党首で 元首相のアルド・モーロ(Aldo Moro)が 極左武装グループ「赤い旅団(Le Brigate Rosse /BR)」に襲撃 誘拐されてしまう
世界が注目しイタリア中が恐怖に包まれたその日から 55日間の事件の真相を アルド・モーロ(Aldo Moro)自身 救出の陣頭指揮を執った内務大臣フランチェスコ・コッシーガ(Francesco Cossiga) モーロと旧知の仲である教皇パウロ6世(Papa Paolo VI) 赤い旅団のメンバーアドリアーナ・ファランダ(Adriana Faranda) そして妻エレオノーラ・モーロ(Eleonora Moro)の視点から描く
果たして アルド・モーロは救出されるのか―
1. 発端 モーロ誘拐 Aldo Moro(イタリア語版wikipediaタイトル)
1978年 イタリア。キリスト教民主党の党首アルド・モーロは 共産党(Partito Comunista Italiano/PCI)との連立政権を実現させるべく奔走していた
党内外から激しい反発を受けるもようやく話がまとまり 3月16日 内閣信任投票のためモーロは議事堂に向かう
しかし道中で極左武装グループ「赤い旅団(Le Brigate Rosse /BR)」に襲撃され 護衛(scorta)は殺害 自身はそのまま誘拐されてしまうのだった
l'agguato via Mario Faniという有名な事件ですね
2. 混乱 苦悩するコッシーガ Il ministro degli interi
モーロ襲撃・誘拐が判明してすぐに議会では緊急会議が開かれる
指揮を務めるのはモーロを父と慕う内務大臣フランチェスコ・コッシ―ガ(ministro dell’interno Francesco Cossiga)
ローマに巨大な包囲網が貼られ徹底探索が敢行
彼の号令で大規模な通話傍受センターも開設
そして誘拐から14日目(3/29)モーロから手紙が届く
登場人物補足: ドメニコ・スピネッラ/Domenico spinella, capo della DIGOS (公安総情報局/La Divisione investigazioni generali e operazioni speciali/in sigla D.I.G.O.S.) コッシ―ガに協力
3. 交渉 パウロ6世の手紙 Il Papa
バチカンの教皇パウロ6世(Papa Paolo VI)も旧知の友であるモーロを救出すべく策を練っていた
信者に向かって モーロ救出のために祈ろうと呼びかけ 身代金(riscatto)として200億リラを用意する
だが政府内では身代金の是非が一致せず 交渉相手もどうも怪しい…
教皇は直接赤い旅団のメンバーに語りかけようとする
登場人物補足: チェーザレ・クリオーニ司祭(Cesare Curioni, cappellano del carcere di SanVittore /サン・ヴィットーレ刑務所付き司祭)
B.ザッカニーニキリスト教民主党書記長(Begigno Zaccagnini del DC)
E.ベルリンギエリ共産党書記長(Enrico Berlinguer del PCI)
社会党 B.クラクシ(Bettino Craxi del PSI)
4. 対立 赤い旅団 I terroristi
赤い旅団(Le Brigate Rosse /BR)のメンバーアドリアーナ・ファランダ(Adriana Faranda)は プロレタリア革命は成功すると強く信じ 愛娘と離れ運動に身を投じている
モーロ襲撃・誘拐で赤い旅団の活動は順調にいっているかのように見えたが メンバー間でモーロの処遇をどうするかで意見が激しく紛糾 ファランダも追い詰められてゆく
補足: 赤い旅団のメンバーたち(i brigatisti)
中心メンバーのモルッチ(Valerio Morucci) (ファランダと恋仲)
リーダー的存在のモレッティ(Mario Moretti)・バルバラ・バルゼラーニ(Barbara Balzerani) と対立
5. 家族 エレオノーラの憔悴 Eleonora
アルド・モーロの妻であるエレオノーラ(Eeonora)や4人の子供たちは 事件直後から家をマスコミに囲まれ 来訪する議員たちからはもっともらしい慰めの言葉をかけられる事態に晒されていた
エレオノーラは夫を助けるため全力を尽くしてほしいと政府に掛け合うが ザッカニーニ書記長(Benigno Zaccagnini)の返答は…
登場人物補足: モーロの妻エレオノーラ・モーロ(Eleonora Moro)
via Faniの奇襲現場を訪れ 狙撃された護衛の葬式に出席
ジョヴァンニ・レオーネ大統領(president della Repubblica Giovanni Leone) エレオノーラと会う
ザッカニーニ書記長(il segretario della DC) アンドレオッティの強固路線を擁護し のちに「キリスト教民主党始まって以来の弱い書記長」と揶揄される
ジャーナリストのコラード・グェルツォーニ(Corrado Guerzoni) エレオノーラとカリタスに出向く
6. 告解 55日目 La fine
5月8日 目隠しをされたひとりの若い神父が赤い旅団のアジト(covo)のビルの中へと入ってゆくと そこにはアルド・モーロの姿があった
54日ぶりに赤い旅団以外の人間と会ったモーロは「ここで初めて人の顔を見ます」と神父に語りかけ 強く手を握り告解を始める
登場人物補足: 若い神父ドン・アントニオ・メニーニ(Don Antonio Mennini) 密かにアジト(covo)に連れてゆかれる
法律家のフランチェスコ・トリット(Francesco Tritto/giurista) 赤い旅団のモルッチ(Morucci)の公衆電話からの電話を受ける
オフィシャルサイトは こちら ←下の方に人物相関図があります
ロードショーのお知らせの記事は こちら
Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下は こちら (チケット情報・上映スケジュール)
2022年製作/340分/G/イタリア
原題:Esterno notte
配給:ザジフィルムズ
劇場公開日:2024年8月9日
試写会のお知らせは こちら
「M.ヴェロッキオ監督の『夜の外側(esterno notte)』前後編を観に行きました」は こちら
試写会を開催してくださいました(公財)日伊協会様 配給会社ザジフィルムズ様に 心よりお礼申し上げます