夢とロマンを追い、南海の黒ヒョウを探しに海を渡る (第3話/4話)
それにしても、この島の人の体格はみんなすごい。
素晴らしい逸材が世に出ずに埋もれていたとしても全然おかしくない状況だ。
強烈な日差しに脱水状態になりながらも自分たちはまだ見ぬ強豪の影を船着場で待ち続けた。
本当にここに来るのだろうか。。。
もし、仮にここで会えたとしても、日本に来てくれるのだろうか。
さらには、自分の対戦依頼など受け入れてくれるのだろうか。
そう思いながら、延々と桟橋でおだやかな海を見つめていた。
どのくらい待ち続けただろう?
暑さと脱水で、緊張感も集中力も途切れてきたその時だった。
「He is coming!」
誰かが叫んだ。
見ると、小型ボートから身長2メートル近い筋肉隆々の男が身を乗り出してこちらに向かっている。
自分と松永先輩はその船がつく場所に向かった。
「Are you Kelvin Fitial ?」
「Yes」
おおーっ!自分と松永さんは歓喜した。
自分はすぐに自分の自己紹介と、自分が5月にワクチン寄付のためのプロレスと格闘技の大会を開くこと、来日してもらいそれに出場いただけないか、と交渉をおこなったところ、その意図を汲み取っていただけて、快諾していただけた。その即答ぶり、男気だ!
その選手とは。。。
まさに南海の黒ヒョウ!

KELVIN “THE BIG HIT” FITIAL (ケルヴィン“ザ ビッグ ヒット”フィティアル) !
あのリコ・ロドリゲス選手とも対戦したUFCファイターだ。
総合格闘技やUFCの韓国大会、中国大会、フィリピン大会など、世界を転戦している。
現在、総合格闘技のサイパンのチャンピオンで、総合の道場も経営している。
パワーファイター系がうごめくサイパンで、アームレスリングのサイパンチャンピオンでもある猛者だ。
彼自身もサイパンの恵まれない子供たちにファイトマネーを寄付する慈善活動をおこなっている。
彼もそういった魂をもった男なのだ。
このような選手に対戦を依頼するなんて、自分の脳は麻痺しているも同然だが、ここまで来て引き下がることは出来ない。自分は、武士道の精神でしっかりと毛筆で丁寧にしたためた挑戦状を準備してきていた。
自分は、それを渡しながら、「自分と闘ってくれ!」と申し入れた。
その瞬間、彼の眼光は一瞬にして獰猛な獣のそれに変わり、今にもそこで大変な事態が発生しそうな空気に包まれた。
息もつけない、まばたきもできない、そんな緊迫感がしばし続いた後
「。。。オーケイ」 野獣のような眼光は自分をにらみつづけながらも、彼はそうつぶやいた。
5月8日、日本に来て、FIGHTING AIDに出場し、自分と対戦してくれることになったのだ!
決定!!
『 甲斐拓也 VS KELVIN“The Big Hit” 』
無謀極まりない挑戦だが、何かに挑むということの意義や素晴らしさ、それを自分はご来場の皆様にご覧いただきたかった。
42歳の挑戦。
全力でがんばります!
皆様、応援よろしくお願いいたします。


