続・功夫電影専科 -93ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


Shaolin Dolemite
製作:1999年(?)

●羅鋭(アレクサンダー・ルー)のニンジャ映画には幾つか謎が存在する。
まず1つは『忍者大戦』におけるオープニングの挿入映像だ。この作品ではストーリーの背景が最初に語られるのだが、ここで使用されている映像は『忍者VS阿羅漢/遥かなる王道』のものだった。『忍者VS阿羅漢』という映画も羅鋭の主演作で、更に言えば同じ戴徹(ロバート・タイ)の監督作でもある。そうすると『忍者大戦』は『忍者VS阿羅漢』の続編だと思うかもしれないが、『忍者大戦』のオープニングで語られた以外に両作品の繋がりは確認できないのだ(双方に出演している羅鋭の役柄もまったく違う)。
次に『ニンジャキッズ』全長版の存在だ。この作品は日本でもリリースされているが、海外で発売されている同作品は何故か三部作の大長編となっている。日本のデータベースサイトによると『ニンジャキッズ』は90分の作品とされているが、全長版は累計257分にも及ぶ。一体、このあまりにも違う尺の差異はどうしたことだろうか?
この他にも、フィルマーク産ニンジャ映画『Ninja The Battalion』の存在など、不可思議な話が羅鋭には付きまとっている。無関係な続編設定・無駄に長い全長版・出自不明の映像…まったくもって訳が解らない。一部では「これら一連の羅鋭作品は元が電視劇であり、続編設定や全長版はその名残」とする説がある。確かに羅鋭は電視劇に出ていた事があるし、この説なら謎に関しても説明がつく。だが、暴力とセックスに彩られた羅鋭作品がお茶の間に放送されていたとは考えにくいし、物語にも繋がりや一貫性が見えてこない。よって、電視劇が元ネタであるという説は肯定できないのだ。

そんな謎を抱えた羅鋭のニンジャ映画に、今回新たな謎が加わることになった。この『Shaolin Dolemite』は黒人ラッパーのルディ・レイ・ムーアとトビー・ラッセルが製作したもので、羅鋭作品に新規撮影をプラスしたニコイチ作品である。ここで使用されている羅鋭主演作も出自が解らない正体不明の作品だが、どうやら『忍者大戦』の続編的な内容であるようだ。忍者首領・李海興(アラン・リー)も続投し、ユージン・トーマス率いる謎の密教集団まで出てくるなど、前作以上の無法地帯と化している(笑
ストーリーについては事細かに語るまでも無い。少林寺に居候している日本人・羅鋭に五獣拳を教えていた少林僧・戴徹が、密教のユージンと手を組んだ忍者軍団に殺害されてしまう。少林寺は武當派&ジョン・ラダルスキーとトビー・ラッセル&変なロシア人サーベル使いと協力体制を敷き、血を血で洗う死闘を繰り広げていく。…ま、要するにいつもの羅鋭映画と言ったほうが手っ取り早いか。
作中の功夫アクションはたっぷりとあるのだが、今回もおなじみの早回しアクションがフル回転。殺陣のレベルは高いものの、あまりの新鮮味とインパクトの無さには最早笑うしかない(涙)。ラストは少林寺連合軍VS忍者連合軍と人喰い銅人の総力戦で、25分にも及ぶ団体戦は羅鋭作品でも屈指のロングバトルだろう。ただ、いくらなんでもこの長期戦は長すぎ。普通に闘うだけでも大変なのに、それが早回しの羅鋭アクションでやられると凄まじく疲れるのだ。
新撮部分はムーアのおっさんが「マザーフ○ッカーマザーフ○ッカー」とグチるだけの酷い内容ということもあってか、本作に『ニンジャキッズ』がダブって見えました。

幾つもの謎をはらんだ羅鋭主演作。果たしてその正体は何なのか…気になるところでありますが、こういうグダグダな作品ばっかりだと流石に辛いので、これ以上の詮索は止めにしたいと思います(苦笑


威震天南/南天震威/南洋唐人街
英題:Bruce Li The Invincible/Bruce Lee The Invincible/Game of the Dragon/The Invincible
製作:1978年

▼『蛇女慾潮』という作品を覚えているだろうか。『蛇女慾潮』は何宗道(ホー・チョンドー)がニューギニアへ向かい、蛇の一族と死闘を繰り広げるというトチ狂った作品だったが、その姉妹編というべき映画が本作である。
キャストやスタッフは『蛇女慾潮』からそのまま似たメンツが投入され、新たに陳惠敏(チャーリー・チャン)まで参加。更に助監督として、あの曾志偉(エリック・ツァン)まで関わっているところも凄いといえば凄い。彼が関わったバッタもん映画といえば、サモハンの熱演が最高な『燃えよデブゴン』と闇鍋功夫片の『李三脚威震地獄門』があり、どちらもいろんな意味で楽しめる作品だった。なので本作も期待できないことは無いと思われたのだが…。

■陳星(チン・セイ)は陳惠敏の兄で、何宗道・張力らが通う功夫道場の道場主。今日も狼藉を働く陳惠敏を戒めたり、何宗道たちに達磨大師の逸話を語って聞かせたりしていた。ところが張力が故郷に帰った際、地元の有力者の腰巾着である山怪(取り巻きに岑潛波と曾志偉!)とトラブルを起こしたことで、彼は恨みを買われてしまう。
 で、その山怪のボスである有力者というのが…お察しの通り、陳惠敏です。陳惠敏は山怪の訴えを聞くと張力のいる商店を視察し、彼の幼馴染である陳維英に目を付けた。女好きの陳惠敏は女を引き渡せと迫り、手下(うち1人が陳龍)を向かわせて強引に誘拐してしまう。これに激怒した張力は陳維英の奪還に挑むが、陳惠敏の強力な拳法にまったく歯が立たない。そこで張力は陳星に助力を仰ぎ、弟子の危機を知った陳星は何宗道と共に敵地へ足を踏み入れた。
ちなみに陳星は陳惠敏に素性を悟られないよう変装しているのだが、変装した姿を火星(マース)が演じている。身代わりとはいえ、この時期に火星が大きい役を演じているのも面白いが、ここまで強い火星というのも珍しい。
 その後、張力と合流した火星(陳星)&何宗道は、まず陳惠敏一派が仕切っている賭場を襲撃。これに対して陳惠敏は報復を企てるが、火星(陳星)たちに小細工は通用しなかった。翌日、陳星たちは陳惠敏の元に向かうと「これ以上闘っても無意味だ」と告げるが、陳惠敏は耳を貸さない。結局は乱闘となる双方だが、どさくさ紛れに異民族が陳維英を連れ去ってしまう。この本編の流れと全く関係ない異民族とのバトルを経て、遂に陳星たちは陳惠敏一派との最終対決に挑む!

▲『蛇女慾潮』と似た感じの本作だが、今回はそんなに狂った内容ではない。
異民族というおかしなキャラクターが介入してくるものの、作品自体は陳星たちと陳惠敏の攻防を描いたオーソドックスな話だ。むしろ異民族という異質な存在が作品のバランスを崩しており、このへんは余計な要素だったと言わざるを得ない。曾志偉がどのくらい口出ししていたのかは解らないが、少なくとも異民族パートに関わっていないことだけは確かだ(もし曾志偉なら、ああいう面白みの無い余計なシークエンスは省いてしまうはず)。
 『蛇女慾潮』があまりにも強烈な作品だったためか、本作は非常に淡白な出来に見える。しかし功夫アクションは『蛇女慾潮』以上のものを展開しているので、こちらは安心して楽しむことができるだろう。武術指導次第でモッサリな動きになりそうな陳星や何宗道だが、本作での功夫アクションはとても機敏に動き回っており、見事なファイトを披露!ラストバトルでは何宗道がヌンチャクを振るい、陳星がパワフルな虎拳で立ち回り、最後の陳星&何宗道VS陳惠敏もそれなりに壮絶なバトルに仕上がっているのだ。
総評すると、ストーリーはボチボチ・功夫アクションは中の上といった感じの珍作か。ちなみに、楊斯(ボロ・ヤン)は冒頭の陳惠敏を静止する師匠役で出演していますが、初見の際は楊斯だと気付きませんでした(笑


Bamboo Trap/Black Panther Of Shaolin
中文題:少林豹
製作:1975年(1979年説あり)

●(※…画像は本作を収録したDVDパックの物です)
日本では『必殺カンフー ロー・ブロウ』等のB級作品で知られ、李小龍の弟子と呼ばれているレオ・フォンの未公開作だ。共演は"もう1人のブラックドラゴン"ことロン・ヴァン・クリフで、この両名の顔合わせこそが本作最大の売りである。
レオ・フォンは中国広東省の出身で、5歳の時にアメリカへ移住した父を追って渡米。少年期に人種的偏見で虐めを受けていたが、ボクシングと出会った事が彼の運命を大きく変える。大学に進学した彼はボクサーの道を歩み、のちに柔術や功夫を習得。その後はオークランド時代の李小龍に師事し、長きに渡って親交を続けていった…のだが、彼の突然の死によってピリオドが打たれてしまう。皮肉にも、この出来事がレオを映画界に引き込むきっかけとなるのだ。
1974年、李小龍の弟子というネームバリューに目をつけたフィリピンの映画会社が、彼を担ぎ出そうと動き出した。一度は断ったレオだが最終的には承諾し、ロン・マルチーニ主演作『Murder in the Orient』で最初の映画出演を果たす。これ以降のレオは皆さんもご存じの通り、『キルポイント』等のB級マーシャルアーツ映画に多数出演し、同時に武道家としても大成していった。現在レオはジークンドーを発展?させて「Wei Kuen Do」なる格闘技を創始し、自ら映画製作にも乗り出しているという。

だいぶ話が横道に逸れてしまったので本筋に戻ろう。この手の「古いマーシャルアーツ映画」を見る際にポイントとなってくるのは、当時の作品がどのような試みに挑戦しているかという点だ。功夫を通して物語を説く香港映画のようなスキルは無いし、かと言って手本となるような作品も多くはない。そんな中で、果たして先人たちはどんな物語を作り上げたのか?この試行錯誤こそが「古いマーシャルアーツ映画」の肝となってくるのだ。
そんな中にあって、本作が取り入れたのは李小龍的なアプローチであった。ただし怒りの鉄拳アチョーな映画ではなく、李小龍がらみのキャスト2人を起用したもので、有色人種のコンビが活躍するバティ・ムービーの側面も持っている。そう考えると、本作は『ラッシュ・アワー』や『ブラック・ダイヤモンド』のご先祖様と言える…のかもしれない。
ちなみに私が所有しているのは擬似ワイドスクリーン仕様のDVDで、英語音声だがギリシャ語字幕がハミ出て見えるという珍妙なバージョン。おかげで物語の把握が難しかったが、そんなに複雑な作品ではないため視聴に難はありませんでした(笑)。
ストーリーはかなりシンプルで、富豪の令嬢を誘拐した悪党に捜査官のレオ&ロンが立ち向かっていく様を描いている。物語の舞台は中盤からフィリピンに飛び、最後は捕らわれたロンを助け出すため、レオが仲間たちと敵のアジトに攻め込んでの総力戦へ突入。それぞれのキャラクターが強敵と戦うという気の効いた展開を見せ、組織は壊滅して一件落着となる。
香港の資本が一枚噛んでいるためか、本作の格闘アクションはそんなに悪くない。若干動きはカクカクしているが殺陣のテンポはスムーズで、当時のマーシャルアーツ映画としては良い出来だ。ラストでは敵ボスVSレオや空手家VSロンといったバトルが各所で繰り広げられ、スケール感を演出する事にはなんとか成功している。特に敵ボスとレオの戦いが意外と面白く、今回がレオ・フォンの初接触である私にとっても満足のいく結果を残してくれました(これはちょっと『ロー・ブロー』が楽しみになりました)。
ところで本作の別題は『Black Panther Of Shaolin』となっているが、劇中で少林寺なんてどこにも登場していない。まぁこのへんはご愛嬌で済ませられるが、正式なタイトルである『Bamboo Trap』とは何の事なのか?と思いながら視聴していたら、最後の最後で敵ボスが自分の仕掛けた竹製の罠で串刺しになっていました。なので本作の題名は『Bamboo Trap』に決定…って、そんなのタイトルなんかにするなよ!(爆笑


「人斬り観音唄」
製作:1970年

日本にも功夫片は存在した!…と言うのは言い過ぎかもしれませんが、本作はまさにそんな感じの作品です。
私が時代劇というものに目覚めたのは、『座頭市/破れ唐人剣』を見たことがきっかけでした。本来はジミー先生を目当てに見ていたのですが、いつしか勝新太郎が見せる殺陣にすっかり魅了されてしまったのです。その後、本格的に時代劇に目覚める起爆剤となったのが『子連れ狼 死に風に向かう乳母車』との出会いでありました。
 この『子連れ狼』は、それまで「視聴に耐えうる時代劇はJAC作品のみ」と思っていた私の偏見を、真っ向から打ち破った凄まじい作品です。これに感銘を受け、今も『やくざ坊主』などのエネルギッシュな時代劇をチェックしているのですが、本作は若山富三郎主演作『極道坊主』のライバルキャラ・了達をスピンオフさせた作品です。
時代設定は明治時代なので正確には時代劇…ではないんですが(苦笑)、これがまた凄い逸品でした。

■時は西南戦争真っ只中の時代。盲目の僧侶にしてムチの達人・菅原文太は、同じく盲目の少年・梅地徳彦を供に彼の母親探しを続けていた。
ところが、立ち寄った女郎屋で梅地の母親とすれ違い、2人は彼女が向かった堺へと歩を進める。しかし、途中で官軍の将校(大前均!)をぶっ飛ばした事で、官軍&菅原と因縁を持つやくざ衆から「菅原は薩摩のスパイではないか」と、あらぬ疑惑を向けられる事に。また、琉球から来た火薬商人・工藤明子が起こしたトラブルに遭遇し、菅原は工藤&梅地と離れ離れになってしまう。
 のちに双方は再会できたが、工藤は堺の商人・曽我廼家明蝶から「人殺しの道具は買えぬ」と火薬の売り込みを断られ、自らの間違いに気付いた。一方、やくざとの博打勝負でイカサマを見破った菅原は、敵の罠に陥るがこれを撃破。梅地の母親とは出会えなかったが、彼女が四国に売り飛ばされたという情報を入手し、医師の若山富三郎から「横浜の名医なら梅地の目を治せる」との話を聞くことができた。
同じころ、工藤は兄・大木実と合流。彼と協力関係にある官軍は、新型火薬の買い付けを所望していた。明蝶は官軍の注文を断ったが、そのために彼は斬り殺されてしまう。彼は死に際に「わしの全財産と引き換えに売ろうとしている火薬を始末するよう…大木に言ってくれ」と言い残すが、商売一筋な大木はその言葉を一蹴する。
官軍とやくざは何としても火薬を手に入れようと、工藤と梅地を人質に取って大木を脅迫する。だが、そこへ官軍とやくざの非道さにブチ切れた菅原が現れた!

▲本作の菅原は拳法とムチを操る達人で、古い作品ながら圧巻の殺陣を見せていました。敵の頭を飛び越える!縦横無尽にムチを打ちすえる!得意の手刀で目をえぐる!…と、今見てもなんら遜色の無い武打アクションを披露しているのです。ムチが主要武器というのは珍しい気がしますが、ラストの討ち入りシーンは完全に功夫片そのまんまの雰囲気で、ボルテージの高いバトルが見物です。
西南戦争という時代背景、そして火薬商人の兄妹を絡めたストーリーも良く、続編が作られてもなんら不思議ではない作品でした。実際に作中では横浜や四国へ向かう伏線が語られ、シリーズ化を視野に入れていた様子が垣間見えます。しかし、どういうわけか本作はこれ1本で終わっているのです。
 私が思うに、恐らくは菅原のキャラクター像がマズかったのではないでしょうか。菅原演じる了達は、ムチ使いという特色こそあるものの、基本的な設定は子連れ狼と座頭市を足したようなものでした。敵役ならまだしも、こんな二番煎じなキャラが主役では明らかにインパクト不足……スピンオフ作品と言う事情もありますが、本作が短命に終わったのはこのへんに理由がありそうです。
ちなみに本作が作られた1970年といえば、香港では張徹監督が大ヒット作『報仇』を製作した頃に当たり、ジミー先生の『吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー』が興行収入1位を記録。その映画を見て「俺ならもっと凄い映画が撮れる」と豪語した李小龍(ブルース・リー)が香港上陸を果たそうかという時期でもありました。


[イ布]局
英題:The Plot
製作:1991年

●先々月、『天使特警』の項で「その後の功夫映画スター」を取り上げたが、今回も同種の作品を紹介してみよう。本作は方中信(アレックス・フォン)と、人気絶頂だった任達華(サイモン・ヤム)の両名が主演を飾った黒社会アクションだ。方中信は90年代に活躍した警匪片スターで、キャリアとしては『天使行動』シリーズでの活躍が有名か。今でも一部に根強い人気を持つが、本作の彼は主演というには出番が少ない。むしろ主役と呼べるのは、今回の主題となる某氏の方であろう。
ストーリーはあまりよく解らないが、香港黒社会で覇権を巡る抗争が勃発し、潜入捜査官を巻き込んだ死闘が繰り広げられる…という感じの話だ。任達華は黒社会の幹部であったが、組織を牛耳ろうとボスの曾江を謀殺。続いて別の幹部(演者は後述)も命を狙われ、曾江の殺害現場を目撃した構成員も始末されそうになる。その一方で組織を摘発せんと、警察もまた目を光らせていた。そこで捜査官の朱寶意(エミリー・チュウ)が決死の潜入捜査を行い、組織の取引現場を潰すのに成功する。だが、組織に潜り込んだネズミの存在に任達華も気付きつつあった。
その頃、恋人をヒットマンに殺されつつも逃走を続ける幹部は方中信(幹部の友人で警察官)と再会。そこで死に際の構成員と遭遇した幹部は、曾江殺しの犯人が任達華と知る。事ここに至り、幹部は方中信に協力して組織の壊滅に挑むのだが、朱寶意がリークしている事を悟った任達華は取引現場を急遽変更。警察の突入は失敗に終わるも、異変に気付いた方中信と幹部はすぐに任達華の足取りを追った。
任達華は朱寶意を連れ去り、廃船置き場で楊群(ピーター・K・ヤン)との取引に移るが、方中信たちも仲間と共に潜入していた。かくして始まる壮絶な銃撃戦だが、その結末はあまりにも意外な形で終わるのだった…。

この作品で方中信と任達華を差し置き、実質的な主演として活躍したのは、何と"五毒"の孫建(スン・チェン)である。"五毒"と彼らのその後については何度か触れたので割愛するが、孫健はメンバーの中でも独立志向の強い男だった。楚原の武侠片や劉家良の功夫片に顔を出し、卓越した足技で幾多の強豪を相手に闘った彼の姿は、『書剣恩仇録』や『掌門人』『新少林寺三十六房』で確認できる。しかしショウブラ崩壊後は勢いが続かず、孫建は本作が製作された年を最後に銀幕からその姿を消している。
本作での孫健はショウブラ時代より一回り太っているが、得意の足技は相変わらず健在だ。中盤の女ヒットマンとの対決では、ショウブラ時代を思わせる派手な立ち回りを見せている。ラストは銃撃戦オンリーであるが、使用される火薬量が半端じゃないのでこちらもそれなりに楽しめる。個性を欠いた『天使特警』とは違って、孫健最後の勇姿も楽しめるし、銃撃アクションも堪能できる一挙両得な作品であると言えるだろう。

…と、ここでレビューを締めてもいいのだが、本作はラストがとても酷い事を付け加えておこう。終盤、銃撃戦の果てに孫健は任達華に銃で足を撃ち抜かれてしまう。そこへ朱寶意が腹にダイナマイトを巻きつけて現れた。大勢の敵が周囲を囲む中、どうやってこの状況を打破するのか気になるシーンだが、まさかあんなドリフのオチみたいな結末にしてしまうとは残念だ(涙)。方中信はその様子を呆気に取られた表情で傍観し、朱寶意の取ってつけたような回想シーンで本作は無理矢理エンディングを迎えるが…製作者は何であんなラストにしたのだろうか?