
Trinity Goes East
中文題:三位一體雲東
製作:1998年
●映画監督のケン・ラッセルを父に持ち、世界的な功夫映画マニアとして多方面で活躍しているトビー・ラッセル。私が彼の名を知ったのは、功夫映画評論家・知野二郎氏の著作「龍熱大全」を読んだことが切っ掛けでした。
トビーは単に功夫片の批評のみならず、『死闘伝説/ベスト・オブ・アクション』『死闘伝説TURBO!!』といった傑作ドキュメンタリーを製作。自ら香港映画の撮影現場にも立ち入るなど、ディープかつアクティブなアプローチで功夫片と向かい合っています。
時には裏方から飛び出し、俳優としてアクションまで見せているトビーですが、そんな彼が製作総指揮を務めたのが『Trinity Goes East』です。この作品は直前に彼が手掛けた『Fists of Legend 2』と違って、完全オリジナルの新作として作られました。
ただ、監督はトビーと一緒に仕事をしてきた戴徹(ロバート・タイ)が務め、香港・台湾から多数の功夫アクターが集結。製作も東南アジアで行われており、まったくもって格闘映画に見えないのですが…まぁ細かい事は気にしない方向で行きましょうか(爆
ストーリーは神秘の秘宝・龍の玉を巡って、泥棒のスティーブ・タータリア(『天地黎明』)、捜査官で子豚を飼ってるロベルト・ロペス(体格は太めだが現役のスタントマン)、石天龍(最狂のバッタもん李小龍)が巨悪と戦う様子を描いています。
主役サイドだけでも濃いメンツが揃っていますが、注目すべきは敵ボスを『南拳北腿』の劉忠良(ジョン・リュウ)が演じているという点でしょう。劉忠良はテコンドー仕込みの足技で香港映画を席巻し、70年代末期を中心に活躍した武打星です。
しかし徐々に時流から取り残され、いつしか表舞台から姿を消してしまいました。あれから20年近いブランクを経ての電撃復活ですが、本作でも鋭い蹴りは健在! ラストでは過去の因縁から石天龍と対峙し、世代を超えたドリームマッチを披露しています。
ところが、ストーリーは子豚を追いかけて七転八倒するパートが大半を占めており、後半には瀕死の子豚をロベルトが抱きしめて涙する…という展開に。おかげで作品から殺伐さが消え、なんとも気の抜けた雰囲気で占められています。
私としては主役3人が秘宝を奪い合い、騙し騙されるような丁々発止のアクションを期待していたので、これには盛大な肩透かしを食らってしまいました。一応、この子豚が秘宝を飲み込んだという設定になっているんですが、いくらなんでもこれはなぁ…。
また、ヒロインの存在意義が皆無だったり(お色気シーンすら無し)、キャラクター同士の掛け合いがパッとしなかったりと、ドラマにおける粗がいくつも浮き彫りとなっています。
そういえば本作の監督である戴徹は、過去の作品で必ず血とオッパイを乱舞させていました。しかし、今回は作品の雰囲気を考慮して暴力的な演出をカットしており、彼としても本調子では無かったのかもしれません。
ただ、その一方で功夫アクションは相変わらず激しく、90年代になっても変わらない早回しファイトが炸裂! 序盤から石天龍と戴徹がバチバチと殴り合い、ロベルトによる軽快な棒術アクション、スティーブの派手な蹴りも見応えバッチリです。
後半ではロベルトがニンジャ軍団に立ち向かい、若山富三郎もビックリのハイテク乳母車で子豚がニンジャを大虐殺! 最後の石天龍VS劉忠良に至るまで、ハイテンションなバトルが各所で繰り広げられていました。
功夫片に近付きすぎて格闘映画としての意義を失った作品は幾つもありますが、本作は夢の対決を目玉イベントとして用意しています。作品としては珍作止まりではあるものの、トビーの功夫片に対する思い入れが窺える一篇…と言えるでしょう。
さて次回からはアメリカ本国に戻りますが、登場するのは中国から来た少林僧!? ハリウッドで密かに主演作を作り続ける、謎のカンフー・アクターに迫ります!

Expect to Die/Time to Die
製作:1997年
▼90年代におけるアメリカのマーシャルアーツ映画界は、ヴァンダムやセガールといった多くのスターに恵まれ、腕に覚えのある男たちが続々と名乗りを上げました。
そんな中、アクションの技量だけに頼らず、自らの企画力で業界を渡り歩いた風変わりなスターが存在します。彼の名はジャラル・メーリ…ブラジル生まれのテコンドー使いだった彼は、自分の会社で格闘映画の製作を手掛けました。
彼は自らのスター性を過信せず、他の格闘スターと共演する事で作品に価値を持たせました。シンシア・ラスロックと楊斯(ボロ・ヤン)を起用した『タイガークロー』、ビリー・ブランクスと組んだ『キング・オブ・ドラゴン』などは、その典型と言えます。
本作もそうした作品のひとつで、『アメリカン忍者』の後期シリーズを支えたデビッド・ブラッドリーに加え、『アメリカン・キックボクサー』のエヴァン・ルーリを投入。彼らの活躍に期待を寄せたいところですが、その出来はというと…(汗
■米軍で極秘裏にVR(ヴァーチャル・リアリティ)を駆使した訓練装置の開発が行われていた。しかし被験者の死亡事故が相次ぎ、デビッドが開発したVR装置は企画もろとも破棄を命じられる。だが彼はこの結果に納得せず、秘かに行動を開始していく。
一方、NY市警のジャラルは兵器の密売現場に突入し、同僚を失いながらも取引されていたブツを押収した。ところが麻薬や銃器に混じって、奇妙なディスクが見つかる。
解析の結果、ディスクにはゲームのデータと思しき物が記録されていた。やがて「Expect to Die」というゲームソフトとの関連が疑われ始め、ジャラルは新たな相棒のエヴァンとともに捜査へ乗り出す。
実はゲームの開発元の代表(先のVR装置開発にも関与)と密売を主導していたブローカー、そしてデビッドは裏で繋がっていたのである。デビッドはシステムの開発を強行し、被験者を誘拐しては装置の餌食にしていた。
事件の核心に迫るジャラルたちと、徐々に狂気にかられていくデビッド。やがて敵襲によりエヴァンを失ったジャラルは、誘拐された妻を助けるためにVR装置のクエストに挑戦せざるを得なくなる。果たして、恐るべきゲームの結末とは…!?
▲本作は『サイバー・ウォーズ』と同じく、仮想現実を扱った作品となっています。VRといえば最近になって普及してますが、劇中に登場する装置は今のVRゴーグルとそんなに変わっておらず、デザインだけなら割とリアルに感じました。
ただしVR装置のCGが恐ろしいほどショボく、そのクオリティは初期の天才てれびくん以下。背景のパターンも限られているようで、VRの中で繰り広げられるアクションシーンでは、カメラワークが完全に固定化されています。
デザインのセンスも壊滅的で、剣道着を着た敵キャラが斧を持って襲いかかってきたり、お姫様みたいな恰好で捕えられてるヒロイン(しかも何故か透けチクビ)など、頭を抱えたくなる描写が頻出します(爆
ストーリーについても単調さが拭えず、ジャラルの捜査もデビッドの狂気も上手く表現できていません。ヒロインはただの脱ぎ要員だし、相棒であるエヴァンとの関係も非常に淡泊だったりと、個々のドラマも薄味な仕上がりとなっていました。
こうなるとアクションに望みを託すほかありませんが、残念ながら格闘シーンも問題だらけ。ジャラルとエヴァンは刑事なので銃を撃ち、デビッドはVRの開発に集中しまくるため、素手でのファイトが一向に見られないのです。
途中、VR装置の被験者たちがバトルを見せるものの、そこまで大したものではありません。主役の刑事2人が格闘戦に挑むのは開始1時間を過ぎてからで、一番いい動きを見せたエヴァンはここで殉職します…って、何この展開?!
このあとジャラルはVR装置に挑戦しますが、先述したカメラワークの問題で迫力が出ず、最後のジャラルVSデビッドも実に微妙(フラフラしながら殴ったり投げたりするだけ)でした。
確かにジャラルはキャスティングに対する拘りを持っています。が、肝心の作品は大味な出来になっている事が多く、その中でも本作は最悪に近いパターンだったと言えるでしょう。せめてVRに固執せず、普通に殴りあってくれれば良かったのになぁ…。
なお、現在はすっかり名前を聞かなくなったジャラルですが、現在も映画界で活動中。2015年には久々の主演作となる『Risk Factor』を発表し、ローレン・アヴェドン(!)と久々に共演。どうやら今も相変わらずの調子でやってるようです(苦笑
さて、少々テンションがダウンしてしまったので、次回はお口直しに香港アクションとのコラボ作品をピックアップ! 世界的な功夫映画マニアが仕掛けた、意外な対戦カードとは…詳細は次回にて!

Falcon Rising
製作:2014年
▼今月は「迫れ!未公開格闘映画」と題して、国内未公開・未ソフト化の格闘映画に注目していきたいと思います。さて初回となる今日は、我らがマイケル・ジェイ・ホワイトに先陣を切ってもらう事にしましょう。
本作は、監督が近年『アサシン・ゲーム』『ファイナル・ブラッド』とマーシャルアーツ映画を連発しているアーニー・バーバラッシュで、なんと共同プロデューサーにアイザック・フロレンティーンが名を連ねています。
内容についてはB級らしさ全開となっているものの、充実したキャストとスタッフ(詳しくは後述)によってアクションがこれでもかと炸裂。このところ失敗作への出演も目に付くマイケルですが、この作品では縦横無尽に暴れ回っていました。
■帰還兵のマイケルは、アフガニスタンで地獄のような戦場を経験し、重度のトラウマを抱えていた。酒に溺れ、自殺未遂を繰り返す彼を心配した妹のレイラ・アリは、はるばる仕事先のリオデジャネイロから帰国。兄を見舞い、翌日には帰路へと着いた。
ところが、暫くしてリオのファヴェーラ(スラム街)の片隅で、瀕死の重傷を負った彼女が発見された。マイケルは米国領事館に勤務する旧友のニール・マクドノーから連絡を受け、一路ブラジルに向かう。
幸いなことにレイラは一命を取り留めたが、いまだ昏睡状態からは醒めないまま。ニールの紹介で出会った刑事のジミー・ナヴァロとラティーフ・クロウダー、警官のミリー・ルパートに現場を案内されたマイケルだが、思わぬ出来事が彼に降りかかる。
次の日、何者かによってレイラの点滴に薬が投与され、殺されかけるという事件が発生。怒りに燃えるマイケルは、たった1人で真相を探ろうと奔走していく。やがて捜査線上に浮かびあがったのは、ブラジルに拠点を置くジャパニーズ・ヤクザの影だった。
人身売買の闇ビジネスと、意外な(というかバレバレな)裏切り者の存在…全ての点が線で結ばれる時、マイケルは真の敵と対峙する。果たして彼は仇を討ち、悪党どもを一掃できるのだろうか!?
▲敵討ちからの人身売買潰し…という粗筋は『バトルヒート』と若干被っていますが、アクションの濃度は本作も負けていません。ストーリーは凡庸ではあるものの、テンポよく格闘戦とドンパチが挿入されるので、最後まで飽きずに見ることが出来ます。
キャラクターに関しては、主人公のトラウマ持ち&アル中という設定は最後まで忘れ去られず、有効的に活用されていました。この手の作品ではアクションシーンにまでこの設定を持ち込み、戦いがグダグダになってしまうケースもあります。
一方、本作はそうした無粋な演出に走ることなく、適度な按配でこの設定を貫徹。ラストの飲酒を断る(=トラウマからの脱却を示唆)シーンへと結実します。些細な事ではありますが、こういう細かな気配りは本当に大事だと私は思います。
さて格闘シーンの按配ですが、残念ながらモハメド・アリの実子であるレイラのアクションは無し。ヤクザの幹部であるハヅキ・カトウ(ハリウッドで活躍する日本人女優)やミリーなど、女優陣によるファイトは一切ありませんでした。
しかし不満らしい不満はそれぐらいで、劇中のアクションはマイケルの独壇場と化しています。高い蹴りとパワフルな拳を放ち、ザコを叩きのめす様は実に爽快! 改めて彼のポテンシャルの高さを認識させられます。
そんな彼の前に立ちはだかるのが『Undisputed III』でも戦ったラティーフ、力押しで迫るジミー、ヤクザの親分の大立昌史の3人なんですが…なんとマイケルはラストにおいて、この猛者たちといっぺんに戦うのです。
即ち、先月紹介した『破門組II』もビックリの1VS3! もちろん3人とマイケルが別個にタイマン勝負で戦うパートもあり、息をつかせぬ乱戦が展開されます。マイケルの武器もナイフやパイプ製のトンファーなど、実にバラエティに富んでいました。
ちなみに本作のファイトコレオグラファーを務めたラーネル・ストーバルは、かの『Undisputed III』の動作設計も担当した方。マイケルとは何度も組んだ間柄なので、立ち回りの演出も手慣れたものだったと思われます。
と、そんなわけで、特集の1発目からいきなり景気のいい作品に巡りあえましたが、次回は時計の針を戻して90年代の格闘映画をチョイス。実は今でも活躍しているという、ある往年の格闘スターによる作品に迫ります!

「破門組II」
「破門組2」
「破門組2 仁義なき戦争」
製作:2015年
●元山王会系市原会組頭・原田龍二は、自分に付いてきた男たちと共に「破門組」を立ち上げ、横浜を舞台に戦いを繰り広げていた。今回の仕事は、暴力団組長である父の威光を笠に着て、好き放題に暴れていた不良グループへの仕置きだ。
破門組の川本淳市・木村圭作・宮本大誠は、悪ガキどもに手痛い罰を与えると、暴力団組長の父に対し「組を解散して1億円払えや!」と恐喝。見事に仕事を完遂するが、横浜を仕切る山王会所属の組長たちは、この事態に苛立ちを募らせていた。
山王会の首魁である藤巻潤は、市原会会長・堀田真三を懐柔して暗躍を開始する。一方、原田と中丸シオンの関係は未だに修復されず、彼女は堀田の部下・ヒロシを通じて密かに“買い物”を行っていた。
そして川本と宮本の前に藤巻が直々に現れるなど、破門組を取り巻く空気は不穏さを増していく。そんな中、堀田から新たに「中国人の悪徳不動産屋・三元雅芸を黙らせろ」との指令が下り、木村が敵地に派遣された。
ところが、三元は不動産屋ではなく凄腕の殺し屋で、ズタボロにされた木村は悲惨な最期を遂げた。ずっと留守番だった松田優も参加し、激闘の末に敵を一掃した破門組だが、ここで逆に自分たちが標的にされていた事を知る。
これら一連の計画は、目障りな破門組を潰そうと企んだ山王会の企みであった。怒り心頭の原田たちは、かつての親分だった堀田のもとに向かうが…。
この作品は、4月にUPした『破門組』の続編であり、その際に「いずれ紹介したい」と触れたVシネ任侠片です。実を言うと4月中に続けて記事を書きたかったのですが、思いっきり時機を逸してしまい、数ヶ月もブランクが空いてしまいました(爆
さて、前作は原田たちが破門組として決起するまでの物語でしたが、本作は彼らが辿る結末を描いています。序盤はコミカルな描写が目立ち、ダメ会長の堀田がしきりに笑いを誘うので、そこまで深刻そうには見えません。
しかし後半から雲行きが怪しくなり始め、終盤は死屍累々のハードな展開に。ラストはいい感じにキマっていますが、一方でまさかの復活を遂げた大沢樹生が完全に放置されており(顔見せだけで出番終了)、これにはガッカリさせられました。
このほか、さんざん醜態を晒した堀田の末路や、なぜか松田の出番が妙に少ない等、いくつか思う所のある本作。ただしアクション面については、今回も辻井啓司の指導によって迫真の格闘戦が展開されています。
不良グループを一蹴してみせる川本、懸命に三元に立ち向かう木村も見逃せませんが、やはり注目は最後の原田&松田VS三元! 邦画では意外と2VS1のラストバトルは珍しく、猛者2人に一歩も退かず立ち向かう三元の動きは、相変わらずキレキレです。
思えば、原田&松田と言えば『修羅のみち』出演組(あと監督の金澤克次も!)だし、松田と三元も『バトルロード2』で組んだ間柄。クオリティもさることながら、なかなか通好みなマッチメイクだったと思います。
ところがこのバトル、オチが格闘アクションで一番やってはいけないパターン(劇中でも「これから良いとこじゃないか!」と怒られる始末)で超残念な事に…。個人的にはもう1つ、最後に原田VS川本で締めて欲しかったなぁ。
…と、なんだかマイナスポイントばかり書き連ねてしまいましたが、アクションもドラマも一定水準は守られているし、繰り返しますがラストバトルは手に汗握る名勝負。前作ともども、決して見て損はないシリーズと言えるでしょう。

「クローサー」
原題:夕陽天使
英題:So Close
製作:2002年
●舒淇(スー・チー)と趙薇(ヴィッキー・チャオ)は天涯孤独の姉妹。卓越した武術の腕前と、父が遺した監視システムへの侵入プログラムを駆使し、悪党退治の専門家として活躍していた。
今日も舒淇は趙薇のバックアップを受けつつ、元麻薬王の会社社長・石修を難なく倒していたが、かつての恋人・宋承憲(ソン・スンホン)と再会する。過去の辛い経験から疎遠になっていた2人だが、両者は急速に仲を深めていく。
一方、石修に代わって社長となった温兆倫(実は社長殺害の依頼主)は、邪魔な重役の暗殺を計画。再び舒淇たちに依頼するが、アメリカ帰りの捜査官・莫文蔚(カレン・モク)が周囲を嗅ぎ回っていると知り、全員まとめて抹殺しようと画策する。
しかし舒淇は宋承憲からプロポーズを受け、仕事に迷いを感じはじめていた。そのため依頼を断ろうとするが、前々から現場に出たいと主張していた趙薇が依頼を強行し、追跡してきた莫文蔚と交戦。重役は暗殺したが、温兆倫の手下からも襲撃を受けてしまう。
なんとかその場は逃げ出すも、妹を心配して厳く叱咤する舒淇と、姉の役に立ちたいと願う趙薇は激しく衝突。後日、趙薇は不手際から追われる身となり、サポートに入った舒淇は敵の刺客・林國斌(ベン・ラム)に襲われて死亡する。
悲しみに暮れる趙薇は、敵に陥れられて罪を着せられた莫文蔚と手を組み、仇敵・温兆倫との決戦に向かう。立ちはだかるは強固なセキュリティ、林國斌ら大勢の手下たち、そして最強の倉田保昭! 果たして、2人のエンジェルは生き残れるのだろうか!?
今月は更新履歴のUPも無く、しばらくブログが放置状態となっていましたが、やっとこさ再開の目途が立ったので本日より再始動いたします(汗)。9月は特集を休み、10月は格闘映画関連・11月と12月は香港映画系の特集をお送りする予定です。
さて今日は、女性アクションに定評のある元奎(ユン・ケイ)の監督作を見てみましょう。ここ最近はワールドワイドな作品に関わることの多い元奎ですが、本作のようなスケールが彼には一番しっくりくる気がします。
この映画は、当時の香港を代表する3人のトップ女優を揃え、泥臭さを抑えたスタイリッシュなアクション映画に仕上がっています。そのスマートな演出は徹底されており、雑然とした香港映画らしい雰囲気はほとんど感じません。
キャラクターの見せ方も三者三様に分けられ、凛々しくも恋に悩む舒淇、カジュアルな可愛さと危うさを見せる趙薇、甄子丹っぽい強直っぷりで攻める莫文蔚(苦笑)…といった具合に、それぞれ工夫に富んでいます。
ただ、趙薇については未熟であるがゆえにヘマをしでかすシーンが多く(特に莫文蔚を煽って自爆するくだりはカッコ悪すぎ)、彼女たちの父が何を思って侵入プログラムを作ったのか等、「これはちょっと…」と思ってしまう箇所も目に付きました。
しかし、アクションシーンは元奎らしく派手さ全開で、ヒロイン3人は何度となくファイトを展開。壁に張り付き、ガラスを突き破り、ワイヤーで飛びまわったりと、縦横無尽なファイトが堪能できます。
終盤では成家班から殴り込んできた林國斌と莫文蔚が殴り合い、『皇家師姐』のラストバトルを彷彿とさせる激闘(実際、似たような殺陣が一部あります)を見せますが、これはまだ序の口…続く趙薇VS倉田で、本作は事実上のクライマックスを迎えます。
役柄的に『闇を照らす者』を連想させる倉田さんですが、トップ女優相手にも加減をしない立ち回りを見せ、縦横無尽の大暴れを展開! 途中で莫文蔚が参戦し、よりハードな剣戟ファイトが繰り広げられていました。
細かな粗はあるものの、レディース・アクションとしては二重丸の本作。今も元奎は武術指導家として活躍していますが、監督としては2011年の『トレジャー・オブ・ドラゴン』(王晶との共同監督)が現時点で最後の仕事となっているようです。
実に個人的な願望ですが、私としてはセクシーな女優たちがバリバリ暴れるような監督作を、また彼に撮って欲しいと密かに願っています。