続・功夫電影専科 -86ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「必殺!バトルロード 妖剣女刺客」
製作:2005年

▼去る2月中旬、多くのドラマで名を馳せた名優・藤田まことがこの世を去りました。彼の代表作といえば『はぐれ刑事 純情派』『剣客商売』などが挙げられますが、中でも一番有名なのは『必殺仕事人』を始めたとした『必殺』シリーズで間違いありません。
当ブログでも『必殺4 恨みはらします』を紹介した事がありますが、同シリーズは様々な方面へ影響を及ぼし、現在に至るもフォロワーを生み続けています。本作はその『必殺』を彷彿とさせる痛快アクション映画(一部サイトでは時代劇にカテゴライズされているが、これは誤り)なのです。

中島史恵・秋本つばさ・船木誠勝の3人は、ヤクザの大親分からカタギとなった中条きよし三味線屋勇次!)の元で、悪人を始末する裏家業を営んでいた。
今日も老人から大金をむしり取った詐欺グループを始末していたが、その背後で不穏な動きが起きつつあった。詐欺グループの親玉であるヤクザの親分・堀田真三が上海から偽装職人を拉致し、偽札作りで巨万の富を得ようとしていたのだ。
悪徳政治家と結託して至福を肥やし、差し押さえた印刷所の主人を殺害し、更にその娘を略奪するなど、堀田らの愚行は次第にエスカレートしていく。偽造職人の奪還を命じられて上海から来た刑事・岸本祐二は、堀田に接近する過程で中条たちと接触。彼らと共に、共通の敵である堀田たちに闘いを挑んでいくのだった…。

▲…と、このように本作は「悪人を仕事人がぶった切るだけ」の話であり、単純明快なストーリーが展開されます。やっていることは『必殺』の1エピソードにありそうな内容で、それだけにとても安心して楽しめました。これでエロ要素さえ無ければ良かったんだけどなぁ…(R指定の作品だけあって濃い濡れ場が2回もあります・苦笑)。
 アクションに関してはそれぞれの個性を重視したものになっていて、主人公の中島は逆手に持った日本刀で、秋本はカポエラ系の足技がメイン。格闘アクション担当の船木が拳を振るえば、功夫使いの岸本がそれに続き、中条もクライマックスで貫録十分の立ち回りを見せています。
特に岸本の動きは抜群で、中盤でカジノを舞台にした集団戦で見事な功夫アクションを披露!ラストの乱戦では拳銃を持たされ、素手のバトルを船木に譲る形となりますが、その動作は強い印象を残していました。
 取り立てて凄い作品でない事は確かだし、エロ描写や残酷描写が爽快感を阻害していることも否めません。ですが、格闘アクションもストーリーもテンポが良く、下手に着飾らずに『必殺』を意識したストレートな物語に仕上げた点は大いに評価できると言えます。
ちなみに本作には続編があり、これには松田優なども参加しているそうなので、是非とも視聴してみたいですね(岸本VS松田や、船木VS松田があったりするのかな?)。


「激突!合気道」
英題:Power Of Aikido/Machine Gun Dragon
製作:1975年

▼久々の千葉チャン空手映画の登場であるが、今回はいつもの東映カラテ映画ではない。
この時期、功夫映画ブームによって多くの千葉真一主演作が作られたが、数を重ねるごとにマンネリ化も進行しつつあった(1974年以前の時点で、千葉の出た空手映画は8本にも上る)。殺陣や出演者の顔ぶれに変化が無いこと、千葉や志穂美悦子と同等に戦える相手が少なかったことなどが原因であり、その事は千葉自身も身に沁みて解っていたようだ。
そこで本作で千葉は脇に回り、実弟の千葉治郎を主演に起用している。治郎を主役にすることで目新しさを生み、合気道を持ち込むことによってアクションにも新風を吹き込むことが本作での目論みであったのだと思われるが…。

■舞台は大正時代の北海道。後の合気道創始者・植芝盛平(千葉治郎)は、僻地で開拓団の団長として活動する傍ら、柔術の使い手としても実力を発揮していた。
ところが、あるとき地元のヤクザと悶着を起こした治郎は、用心棒の空手家・千葉真一に完敗を喫してしまう。リベンジに燃える治郎は、武術師範・鈴木正文(『激突!殺人拳』の頃より演技が上手くなってます・笑)のコーチを受け、過酷な鍛錬に没頭。鈴木から免許皆伝を受け、全国を行脚して様々な武術家と拳を交わしていった。
一方の千葉は用心棒の任から離れ、治郎の元から去った小泉洋子と遭遇。彼女はある出来事から重症をを負っており、千葉と行動を共にすることに。だが、ヤクザとの争いで人を殺してしまった千葉は、小泉ともども行方知れずとなってしまう。
 さて、治郎はその千葉の兄と闘って勝利したのだが、負けを恥じた千葉の兄は自決。この一件に激怒した千葉の兄の門弟(うち1人が斉藤一之)が、堕落した剣士・大塚剛と共謀して治郎に襲撃を仕掛けてきたのだ。そこへ通りかかった貴族のオッサンに助けられた治郎は、彼の好意で精神修行を受けさせてもらい、道場を任される事となった。日本海軍からも認められ、名実共に一流の武術家として成長した治郎…と、そこへ突然千葉が姿を現した。
千葉は治郎に「小泉が死にかかっているから、ひと目会ってくれ」と嘆願し、2人の見守る中で彼女は静かに息を引き取った。小泉を弔った治郎と千葉は、最後に武術家として立ち会うことを望む。しかし、治郎を狙っていた千葉の兄の門弟&大塚が、2人に雪辱戦を挑んできたのだ!治郎の門弟となった悦ちゃんも巻き込んだ大乱戦が始まるが、治郎と千葉の対決は意外な形での決着を見るのだった…。

▲これまでJACの格闘伝記映画は、『けんか空手極真拳』『少林寺拳法』と作られてきたが、本作はそれ以上の完成度を誇る名作である。妻になる女を強姦したり、ヤクザのキンタマを犬に食わせるような荒唐無稽さは無く、主人公がいかにして合気道を極めたのかという工程がはっきりと描かれており、硬派な作品として仕上がっているのだ。
この「荒唐無稽さの欠如」に関しては意見の分かれるところであるが、単なる悪役ではない千葉の存在や、がめついように見えて実は…な鈴木正文のキャラなど、人物設定が実によく出来ている。ストーリーラインや悦ちゃんの役どころは『少林寺拳法』を彷彿とさせるが、そのへんのデジャブは本作にとって些細な問題でしか無い。
格闘アクションも、専守防衛合の合気道という題材を見事にアレンジし、濃密な殺陣を作り上げている。相変わらずキレキレの千葉カラテは勿論の、治郎の見せる合気道や悦ちゃんのアクション、そしてJACの絡むファイトシーンは出色の出来栄えだ。ラストの治郎VS千葉は治郎のベストバウトとも言うべき対戦で、途中挟まれる早回しアクションは『激殺!邪道拳』で更なる発展を見せるのだが、それはまた別の話である。

 だが、本作で最も残念なことは、治郎に主役としての華が無い(少ない?)という点だろう。
『仮面ライダー』等での好演が印象深い治郎だが、JACの空手映画ではもっぱら弱い役が多い。『激突!殺人拳』では勝手に窓から落ちて死ぬ役、『帰って来た女必殺拳』ではいつの間にか刺されて死んでいる役など、過去作品では弱々しいイメージが極端に強いのである。
そのため、本作で治郎が見せる合気道アクションも、凄いのだが不釣合いに見えてしまうという難点を含んでいる。しかも相手役に千葉真一という濃い役者が配され、クライマックスでは見せ場の一部まで奪われてしまい、完全に割を食っているのだ。
 更に、本作でもう1人ぞんざいな扱いを受けた人物がいる。それが大塚剛である。大塚はプロ空手の使い手として『世界最強の格闘技 殺人空手』等に出演し、東映の空手映画では『吼えろ鉄拳』『猛虎激殺』にも顔を出していた。…が、その華々しい経歴とは対照的に、JACの面々とまともに戦ったことがほとんど無いのである。
『吼えろ鉄拳』では悪の組織の用心棒として登場し、最後の最後まで主役の真田広之と戦わず、いざ対決!となるとパンチ一発で撃沈。本作では治郎に執着する剣士として登場し、序盤こそ戦闘シーンがあるものの、千葉との絡みは無いうえにラストでは呆気なく瞬殺されている。
唯一『猛虎激殺』だけは未見なのだが、どうして大塚はここまで素っ気無い扱いを受けたのか不思議でならない。立ち回り次第では、石橋雅史に次ぐ空手映画の名悪役となったかもしれないのに…まったくもって妙な話である。
 その後、治郎の新たな主演作が作られることはなく、千葉も『空手バカ一代』を最後に空手映画を卒業し、後進の俳優を育てることに尽力していった。JAC作品も硬派から軟派へと方向を転換したが、その作品群に千葉治郎の名は無い。JACの転換期に消えていった千葉治郎にとって、本作は…そして空手映画とはどのような存在であったのだろうか?


侠客シラソニ
英題:Invincible From Hell
製作:1980年(81年説有り)

▼(※…画像は本作を収録したDVDパックの物です)
 ちょっと前に『黄砂塵』という奇妙な映画を紹介したのを覚えているだろうか?香港製なのか韓国製なのかよく解らない珍品で、結局は私も正体が解らなかったのだが、その作品で武術指導を担当していたマスター・リーという人が主演した韓国映画を、このたび発見することができた。
このマスター・リーさん、名前は李大根という韓国の大物映画スターらしい。この作品でも武術指導を兼任しているので、武術の心得のある人であろうことはなんとなく察せられる。本作はタイトルにある「シラソニ」というヤクザを扱った話のようで、要するに『将軍の息子』みたいな作品のオールドタイプということなのかな?(すいません…こういった方面の話は本当に疎いんです・汗)

■IFDプレゼンツという韓国産功夫片おなじみの嘘テロップを挟みつつ、ストーリーはナイトクラブで幕を開ける。
いきなり登場するこの赤帽のサエないおっさんがダイコンさん(と呼ばせて頂きます・笑)か?と思いきや、こいつは偽物で本物のダイコンさんが後から登場。ダイコンさん自身は普通のおっさんみたいな風貌なのだが、パンチや蹴りが早い!しかもテコンドー一辺倒でない動きを見せ、なかなか魅せてくれます。
そんな素早いダイコンさんを、日本のヤクザが虎視眈々と付け狙っていた。日本人のリーダーは様々な手でダイコンさんを陥れようと企み、遂には彼の友人が殺されてしまう。悪い事は続くもので、どうやらダイコンさんは持っていた大事な手帳?を無くしちゃったご様子。おまけに友人の息子は行方不明で、ダイコンさんを恨む日本人のボスまで登場。ダイコンさんは、たった1人でこの困難に立ち向かっていく羽目になるのだった。
 その後、奇襲で傷付いていたダイコンさんはバーのお姉さんに助けられたが、敵に居場所を悟られないようにとバーを後にした。すると、バーからそう離れていない路地で友人の子供を発見し、幸運にも再会できたのだった…って、そんな展開でいいんかい!?友人の子供はかなり不機嫌だったが(そりゃそうだ)、行動を共にしているうちに関係は修復。友人の子供は「僕も父ちゃんの仇を討ちたい」と言うが、子供を戦いに巻き込むわけにはいかないとダイコンさんはこれを拒否した。
知り合いの女性に友人の子供を預け、単身ヤクザと闘おうとするダイコンさんだが、先手を打ったヤクザによって友人の子供が誘拐されてしまう。すぐさまダイコンさんは敵地へと乗り込むも、逆に捕まって絶体絶命の窮地に立たされた。もはや打つ手なしかと思われたが、ダイコンさんの知り合いだった神父が斬り殺されるに至って、とうとう怒りが爆発!幹部やリーダーをしこたま蹴散らし、ボスとの一騎打ちになるのだが…。

▲実を言うと、私はこういった韓国ヤクザ映画というものはあまり好きではなかったりします。
私が初めて見た韓国ヤクザ映画は『将軍の息子』という作品だったが、のっぺりした顔で好きになれない主演俳優、まるでスタント吹替えを使っているようなアクションシーン、そして知っている顔が誰1人いない空間に耐え切れず、途中で視聴を中断してしまった経験があった。そのため、どうにも韓国ヤクザ映画には良い印象を持っていなかったのである。
 しかし、本作はダイコンさんと少年の交流が主軸として描かれ、殺伐とした雰囲気にはなっていない。また、重複するが格闘シーンが手技中心の見応えあるアクションとなっていて、韓国映画にありがちなテコンドー系アクションとはまた違った迫力を発揮している(特に、友人の子供を肩車したまま闘う場面が、コミカルながら凝っていて面白い)。それに、最初こそサエないおっさんにしか見えなかったダイコンさんのキャラも、見ていくうちに魅力的に見えてくるから困ったものだ(苦笑
会話が中心となるシーンは見ていて退屈であり、出てくる役者が全員ブサイクだったりと荒々しい部分もあるが、個人的には嬉しい不意打ちを喰らった佳作…といった感じの作品でした。ちなみに本作はシリーズ物の1本らしいが、他の作品ではどのようなダイコンさんの活躍が見られるのか、ちょっと気になります。


「南北酔拳」
原題:南北醉拳
英題:Dance of the Drunk Mantis/Drunken Master 2
製作:1979年

▼これまで、当ブログでは『蛇拳』『酔拳』の登場とその影響について何度か触れてきた。以前にも『龍刑摩橋』でジャッキーに去られた後の呉思遠(ゴ・シ・エン)の動向に注目したが、ジャッキー離脱直後に呉思遠が放ったのが、今回紹介する『南北酔拳』だ。
本作はご存知の通り、『酔拳』に登場した袁小田(ユエン・シャオ・ティエン)の「その後」を描いた続編である。当然、キャストとスタッフは『酔拳』そのままの人員なので、どう転んだとしても良質の功夫片が完成するであろう事は確証済みだった。だが本作は"あの"『酔拳』の続編なのだから、安易に普通のコメディ功夫片へ押し込める訳にはいかない。一体この状況を呉思遠は、いや袁和平(ユエン・ウーピン)はどのように料理したのであろうか?

■ジャッキーと黄正利(ウォン・チェン・リー)の激闘を見届けた袁小田は、久しぶりに故郷へと帰ってきていた。妻の林瑛と再会し、養子(というかホントは実子なのだが・笑)の袁信義(ユエン・シェンイー)とは出会い頭に乱闘を繰り広げた。その際の第一印象が思わしくなかったのか、袁小田は袁信義のことをよく思ってない様子。袁信義は酔拳の修行をしたいと訴えるが、結局は袁小田にからかわれて飛び出してしまう。
 一方、その袁小田を黄正利(前作とは別の役)と元奎(コリー・ユン)が血眼になって探していた。この2人は北酔拳の使い手であり、南酔拳の使い手である袁小田を倒すべく、密かに暗躍していたのだ。元奎によって袁信義が半殺しの目に遭い、袁小田と黄正利の対決は避けられない事態となる。前作でジャッキーに伝授した酔八仙拳で攻める袁小田だったが、黄正利が繰り出す酔蟷螂の前では何仙姑までもが通じなかった。
そんな中、袁信義は奇怪な半病人・任世官と遭遇する。この男もまた拳法の名手であり、袁信義は黄正利に勝つために秘術・病気拳を習うこととなった。次第に病気拳を習得していく袁信義と、酔蟷螂の対抗策を講じる袁小田。遂には林瑛VS元奎、袁小田&袁信義VS黄正利の決戦が始まった!

▲『キックボクサー2』や『新精武門』『帰ってきた少林寺厨房長』などはダメな続編の典型であったが、それらが失敗してしまった原因は実に多種多様であった。
『キックボクサー2』は、本作と同様に主役の続投が不可能になってしまった作品だが、その主役が殺害されたという後付け設定によって全てが台無しにされている(前作のハッピーエンドがブチ壊し)。『新精武門』も同じ条件の下に作られた作品で、こちらは前作からの大幅なスケールダウンが致命傷となった。『帰ってきた少林寺厨房長』は主役も裏方も前作と同じでありながら、ストーリーを無闇に複雑化してしまったことが破綻のきっかけとなっている。
 本作はストーリーを迷走させることもなく、設定や功夫アクションも実にユニークであり、続編としては成功した部類に入るだろう。前作では「弟子が師の教えを受け継ぎ、新たに発展させていく」という、この"発展"こそが大きなテーマとして確立されていた。では、本作ではどうだったのだろうか?
作中、あくまで拳法を教わりたい袁信義だが、袁小田は終盤までネガティブな発言を繰り返していた。任世官にも「袁小田は新しい拳を開発しない」と指摘され、彼が旧世代の象徴である点が強調されている。これに対し、袁信義はひたむきに拳の修行へ没頭し、いつしか仇敵をも倒す実力を身に付けていく。姿や形は違うものの、間違いなく本作には『酔拳』と同じ"発展"が存在したのである(ちょっと強引かな?)。
とはいえ、これによって袁小田の印象が悪い感じになっており、黄正利の噛ませ役に宛がわれたのも少し残念。そもそも本作のタイトルは『南北酔拳』なのだから、病気拳なんか登場させないで最後まで酔拳ひとつで貫き通して欲しかった、というのが私の率直な感想だ。しかし、病気拳と酔拳をミックスさせて新たな拳法を…なんて展開だと、思いっきり前作とかぶってしまうので、もとよりこうするしか仕方が無かったのかも知れない。
 …と、ちょっとケナし気味の文になってしまったが、功夫アクションに関しては素晴らしいの一言に尽きる。ちょっと病気拳のインパクトが弱い気がするけど、珍しく目立ちまくってる元奎や、前作では少ししかアクションを見せなかった林瑛のバトル、そして出ずっぱりで闘いまくる袁小田など、どのバトルも見応え十分のものばかり。こちらについては文句ナシなので、功夫映画ファンには是非ともご覧になって欲しいです。


Devon's Ghost: Legend of the Bloody Boy
製作:2005年

▼昨年公開された『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』は驚くべき映画であった。何が驚くべきなのかと言うと、この作品でメガホンを取ったのがあの坂本浩一であった点である。氏は『パワーレンジャー』シリーズなどで既に監督経験はあるものの、日本の…しかも人気特撮番組の劇場版を手掛ける事になるとは、昔を知るファンにとっては非常に嬉しい出来事でありました(涙
その後は『仮面ライダーW』にも進出した坂本監督であるが、『パワーレンジャー』以外の映画作品でも監督業に乗り出している。日本でもリリースされた『ウィケッド・ゲーム』が好例で、それ以外にも何本か作品を撮っているという。そんな中でこの『Devon's Ghost: Legend of the Bloody Boy』は、なんとスラッシャー・ムービー(殺人鬼映画)に挑んだ意欲作である。
もちろん本作が単なるホラーではないことは、ジョニー・ヨング・ボッシュが主演である時点で明々白々。果たして、坂本監督の描くホラー映画とはいかなるものなのだろうか?

■舞台は、新しくハイスクールが開校したキャニオン・シティという街から始まる。10年前、この街では年端もいかぬ子供が人を殺すという事件が起きており、ハイスクールの学生たちも知る伝説「Bloody Boy」として語り継がれていた。事件後、少年はDV夫婦(少年を歪んだ性格にさせ、事件に至らせた間接的な要因となった連中)から祖父母の元に引き取られているが、かつて少年の殺人現場を目撃した学生キャラン・アシュレイ(ジョニーや坂本監督と同じ『パワーレンジャー』出演組)は少年の影に怯えていた。
しばらくは平穏な日々が続いていたのだが、フットボールの試合が行われた夜にBloody Boyは現れた。Bloody BoyはDV夫婦から受けた暴力がトラウマとなり、愛し合っているカップルを見つけては次々と撲殺していく。キャランとその彼氏&ジョニーとその彼女は危機感を抱くのだが、遂には彼女たちの元にもBloody Boyの魔の手が伸び、キャランの彼氏とジョニーの彼女が殺されてしまった。
 Bloody Boyは確実にそこにいる。それを確信したジョニーたちは、Bloody Boyに襲われて入院した彼の祖母(祖父は既に殺害済み)の元を訪ね、Bloody Boyの過去と10年前の事件の真相を聞きだした。それによると、10年前にBloody BoyはDV夫婦によって殺されてしまっているというのだ。では、今まで殺人を繰り返しているアレは一体…?(恐らくこれがタイトルの由来だと思われます)
兎にも角にも、Bloody Boyの祖母から奴の居場所を聞いたジョニーたちは現場へ急行…するのだが、ハイスクールの学長やマスコミのおっさん、そして最後に残っていたジョニーの友人までもがBloody Boyの凶刃に裂かれてしまう。キャランはBloody Boyの居場所に向かい、ジョニーも続こうとするが警官の足止めを喰らってしまった。
即座にBloody Boyはキャランを殺そうとするが、少年時代に彼女と出会ったことを思い出し、思わずその手を止める。そこへ警官たちを突っ切ったジョニーが駆けつけるが…。

▲実にコテコテなB級ホラー映画である。この手の映画の定番といえそうな要素をいくつも取り入れ(殺されるカップル・暗い過去を持つ殺人鬼・余計な青春ドラマ・ラストで実は…等々)、良くも悪くも安定した作りになっている。こういった作品ではスプラッタな演出が多様されるケースが多いが、本作は直接的な描写を抑えているため、私のようなホラーが苦手な人でも楽しめる内容になっているのだ(その代わり、本作ならではというポイントが見当たらない)。
さて、皆さんが気になる格闘アクションについてだが、こちらも香港式の濃厚なやつが3つも用意されていました。流石は坂本監督、手抜かり無しだ(笑
まず中盤にジョニー対Bloody Boyとキャラン対Bloody Boyがあり、クライマックスのキャラン対Bloody BoyとジョニーVS警官3人、そしてラストのBloody Boy対ジョニーが主な見せ場である。作品の性質上、殺人鬼が理不尽なほど強いので盛り上がりに欠けるものの、どのバトルもそれなりに作り込んであり、格闘映画ファンも納得できる殺陣になっている。
 しかし、スラッシャー・ムービーといえば殺人鬼が傍若無人に暴れまわるのがお約束だが、ここまで互角の戦いをさせてしまって良かったのだろうか?例えば、ジェイソンやマイケル・マイヤーズなんかは得体の知れなさと異様な強さで有名だが、本作のようにいい勝負を展開してしまうと、どうにも恐ろしさを感じなくなってしまうのだ。やはり殺人鬼なら、常人も及ばないような描写があってこそのものだと思うのだが…う~ん、映画って難しいなぁ(苦笑
なお、本作以外にも坂本監督の未公開作に『Broken Path』という作品があるが、こちらも『ウィケッド・ゲーム』ともども将来的に是非拝見したいタイトルである。『ニンジャ in L.A.』みたいにどっかのメーカーさんが出してくれないかなぁ…?