
「DRAGON BLACK」
製作:2015年
▼ここのところ、邦画作品を紹介するといつも虎牙光揮の出演作をピックアップしていますが、今回も彼の主演作の登場です。
本作はセクシー系Vシネを数多く手掛けた石川二郎の監督作(脚本&編集も兼任)で、彼のフィルモグラフィーはアブノーマルなタイトルで埋め尽くされています。
彼のことをよく知らない私は、「大丈夫かな?」と不安を感じつつ視聴しましたが、これが超ストレートな格闘アクションに仕上がっていたのです。…う~ん、やっぱり虎牙光揮のアクションは荒々しくて良いなぁ(笑顔
■スタントマンの虎牙は、婚約者の武田梨奈(実は元スタントウーマン)と同棲し、順風満帆な生活を送っていた。ところが彼の父親で刑事の斎藤洋介が、未成年を強姦した挙句に自殺したという一報が飛び込んできたのだ。
警察は単なる自殺と断定するが、斎藤の体に刻まれた傷は明らかに暴行によるものだった。事件の影響で仕事を干され、武田の両親からも拒絶されていた虎牙は憤りを感じ、独自に捜査を開始する。
その後、友人の警官・永岡佑から情報提供を受け、事件の背後に犯罪組織・関東蛇蝎会が絡んでいることを突き止めた。だが、その中には警察学校で同期生だった木原勝利の姿もあり、真正面から乗り込んだ虎牙はボロ負けしてしまう。
さらには組織の刺客・亜紗美によって武田も病院送りにされ、彼は怒りの炎を燃やしていく。かくして、虎牙はガンエフェクトの専門家・六平直政の助力を仰ぎ、トレーニングを積んで再び組織へと挑んだ。だが…?
▲ご覧のように本作のストーリーは非常にシンプルで、ややチープな部分も目に付きます。しかし石川監督は、たとえルーティンな展開であっても手を抜かず、細部までしっかり作り込んでいました。
まず本作は、バイオレンス&アクションに特化しており、余計な濡れ場やセクシーな見せ場を完全に排除。そうした場面を煩わしく思っていた身としては、この潔い作風にグッときました(笑
また、この作品には意外な黒幕が存在するのですが、こちらも最後まで隠し通すことに成功しています(公式サイトの紹介文がネタバレ気味なので注意!)。
冷静に見ていれば「なんか協力的すぎるような…」と思ってしまうところを、近しい人物に傲慢な行動を取らせることでさりげなくカバー。視聴者の視線をそちらに誘導し、見事に煙に巻いているのです。
アクションに関する描写もナイスで、終盤のトレーニング後と前で虎牙の動きが違っていたり、型にはまった武田に実戦慣れした亜紗美が勝つ展開など、随所に拘りが見られました。
立ち回りの頻度も多く、特に中盤で延々と繰り広げられる武田VS亜紗美と、最後の虎牙VS亜紗美は出色の出来となっています。相変わらず虎牙たちの動きは豪快かつ激しいのですが、個人的に驚いたのは亜紗美氏の立ち回りでした。
彼女は石川監督と同じく、AVやそれに準じたジャンルの作品を中心に出演されている方で、本作ではパワフルな殺陣を披露。出で立ちのせいか、どことなく『[イ布]局』の女ヒットマンを彷彿とさせます。
そのスタイルは空手系の武田や、マーシャルアーツ的な動きの虎牙と対比するように描かれ、どちらの勝負も互いの長所を生かしたバトルに仕上がっていました。
変化球で奇をてらわず、豪速球のストレートでど真ん中を狙ったVシネ格闘作品の秀作。続く続編もリリース済みなので、こちらも近いうちに視聴したいと思います!

「仁義なき戦い 復讐・血の掟」
「アンディ・ラウのドラゴンファミリー」
「龍之家族 復讐・血の掟」
原題:龍之家族
英題:The Dragon Family
製作:1988年
●香港黒社会の大物・柯俊雄(オー・ジョンホン)は、四大派閥をまとめる頭目であると同時に、龍一族の家長として息子たちに目をかけていた。彼は裏の仕事から手を引き、カタギとして生きていこうと考えていたのだが…。
そんな中、四大派閥の一角を仕切る谷峰(クー・フェン)の弟・何家駒は、仲間の徐少強(ノーマン・ツイ)と共謀して下剋上を画策。柯俊雄の息子の1人・張國強を騙し、ご法度である麻薬密輸の濡れ衣を着せてしまう。
すぐに罠だと見抜いた柯俊雄であったが、強硬手段を良しとしない彼は交渉でケジメを付け、その上で息子を助けようとする。しかし、柯俊雄は交渉時のトラブルによって殺されてしまい、龍一族は悲しみに包まれるのだった。
悲劇はそれだけで終わらず、この機に乗じて葬儀場を襲った徐少強&何家駒は、龍一族の面々と他の派閥のリーダーたちを殺害。用済みとなった谷峰を始末し、彼らの野望はここに達成される事となる。
だが、台湾に落ち延びていた義理の息子・譚詠麟(アラン・タム)、アメリカ留学から帰国した莫少聰(マックス・モク)、そして劉華(アンディ・ラウ)が復讐に立ち上がった。…今、男たちの魂が烈火のように燃え盛る!
80年代末、ちょっとしたブームとなった黒社会ものに劉家榮(ラウ・カーウィン)が挑んだ作品ですが、なかなかに充実したキャストを誇っています。
劉華を始めとしたイケメン俳優を中心に、功夫片でお馴染みの惠英紅(クララ・ウェイ)や高飛(コー・フェイ)、個性派脇役の鄭則仕(ケント・チェン)などがズラリ! まるでオールスター作品のような顔ぶれです。
ただし、劉華たち3人の出番は最初と最後だけ。明らかにスケジュール調整の不足が見え見えの作りですが、監督の劉家榮は特定の主人公を置かず、群像劇に仕立てることで違和感の払拭を試みています。
おかげで主な登場人物に等しく見せ場が用意され、最後まで一気に見通すことが出来ました。しかし気合が空回りすぎて滑稽に見えるシーンも多く、劉華たちが母親を殺されて動揺するカットなどは、その傾向が特に顕著です。
さて、この出演者に加えて動作設計が武術指導家の大御所・劉家良(ラウ・カーリョン)とくれば、アクションに期待しないわけにはいきません。ところが本作は銃撃戦がほとんどで、肉弾戦は僅かしか無いのです。
まぁ、黒社会を扱ったシリアスな映画でコテコテの功夫ファイトを繰り広げたりしたら、雰囲気ブチ壊しもいいところ。このへんは劉家榮の意向が尊重されているのでしょう。
素手のファイトが見られるのは中盤以降で、葬儀場での苗僑偉(ミウ・キウワイ)VS成奎安(シン・フィオン)、莫少聰を逃がそうとする鄭則仕の奮闘などが見どころとなっています。
とはいえ、終盤のラストバトルは一定のクオリティを保っているものの、立ちはだかる強敵が徐少強しかいないため、ややボリュームに欠ける印象を受けました。ここは直前に死ぬ高飛を温存しておいて、莫少聰あたりと戦って欲しかったなぁ…。
オチが弱くなりやすい劉家榮の監督作ですが、意趣返しとも取れるラストが強く印象に残る本作。劉華の主演作として見るといささか微妙なので、群像劇だという点を踏まえて視聴するのがオススメです。

「マキシマム・ブラッド」
原題:POUND OF FLESH
製作:2014年
▼ここ数年の間、ハリウッドでは過去のアクションスターたちが再起し、骨太なアクション映画に出るケースが相次いでいます。ドルフ・ラングレンの『バトルヒート』しかり、ゲイリー・ダニエルズの『ワイルド・ファイト エックス』しかり…。
そんな中において、ジャン=クロード・ヴァン・ダムの躍進ぶりは目を見張るものがあります。『ザ・プロテクター』でのスコット・アドキンスとの交戦、『殺戮の黙示録』における血みどろの死闘など、彼の勢いは今なお止まりません。
もちろん微妙な作品にも出演していますが(笑)、アクションに対する情熱が戻ってきているのは確かで、本作では『沈黙の復讐』のダレン・シャラヴィ(合掌…)と激突! 演技にも熱が入っており、実に味わい深い作品に仕上がっていました。
■元兵士のヴァンダムは、ある目的で訪れたフィリピンで売春婦(シャーロット・ピーターズ)に騙され、片方の腎臓を奪われてしまう。彼は昔の仲間であるアキ・アレオンを頼るが、弟のジョン・ラルストンは「なんてことを!」と激昂する。
実はヴァンダムの目的とは、難病を抱えるジョンの娘に腎臓を提供する事だったのだ。残された時間はあと僅か…ヴァンダムたちは腎臓を取り戻すため、謎の敵を追ってフィリピンを駆け抜けていく。
やがて凄腕傭兵・ダレンの存在と、臓器提供に絡む何者かの陰謀が浮上する。シャーロットを仲間に加えた一行は、アキを失いながらも敵の本拠地へ辿り着くのだが…!?
▲ぶっちゃけ言ってしまいますが、本作は粗の多い作品です。特に、事件の発端がヴァンダムの自業自得、車を運転するシーンが全て合成(!)という点には、思わず画面にツッコミを入れてしまいました。
しかし、ストーリーそのものはシリアスな雰囲気を最後まで貫き、不仲だった兄弟の絆が再生するまでをじっくりと描いています。何度も衝突し、道を踏み外しそうになりながらも、最期に兄弟が迎えるラストシーンは実に感動的でした。
そして日本版の予告編でプッシュされている通り、アクションもかなりの大盤振る舞いとなっているのだから堪りません。序盤でヴァンダムはいきなりダレンと戦い、相変わらず角度のいいキックを炸裂させます。
続くバーでの罰当たりなファイト(助っ人の警棒使いに注目)、格闘賭博に乱入してのタイマン勝負を経て、最後はお待ちかねのヴァンダムVSダレンが開幕! ここでのヴァンダムは大振りな動きを抑え、関節や組み技で仕留めにかかっていました。
これら一連の立ち回りを指導したのは、なんと甄子丹(ドニー・イェン)作品でおなじみのジョン・サルベティ! どのファイトもシチュエーションや殺陣に工夫があり、本作のアクション・レベルを向上させることに成功しています。
ただ、最後が「おまえはもう死んでいる」的な決着となり、やや派手さに欠ける結末となっているのです。展開的に仕方ありませんが、ここは派手な一撃でフィニッシュして欲しかったなぁ…。
とはいえ、ストーリーもアクションも良質なのは確か。恐らくは近年のヴァンダム作品の中でも、上位の面白さを誇ると言って良いでしょう。ヴァンダムはもちろん、惜しまれつつも旅立ったダレンの雄姿も見逃せない逸品。ファンならずとも必見です!

「ザ・サイレンサー」
「MAGNUM 357/ザ・サイレンサー」
英題:THE SILENCER: MAGNUM 357/CODENAME: SILENCER/BODY COUNT
製作:1995年
●ニューオリンズに居を構えるマフィアのボスが、凄腕ヒットマンの千葉真一に射殺された。刑事のロバート・ダヴィたちは彼の居場所を突き止め、どうにか逮捕に成功する。
それから一年半後、千葉は自分の情報を警察に漏らした裏切り者を始末すべく、情婦のブリジット・ニールセンと協力して脱獄。刑事の中に黒幕がいると知り、次々と殺しに手を染めていった。
FBI捜査官のシンディ・アンブエルと手を組んだロバートは、一連の事件に警察内部の横領疑惑が関与していることに気付く。謎が謎を呼ぶ中、大都会を舞台に男たちの死闘が始まる!
『エイセス/大空の誓い』以降、海外市場を舞台に活躍していた千葉真一ですが、なかなか名作・傑作の類に巡り会えずにいました。本作は東映とアメリカのプロダクションが合作した作品で、こちらも例によって微妙な出来となっています。
物語としては、2人の男を主軸にしたサスペンス・アクションとなっていますが、その内容はスッカスカ。ひたすら千葉が刑事を殺し、ひたすらロバートが地味な捜査を続けるだけで、これといって大きなイベントが起こってくれないのです。
私としては真相を知った主役2人が共闘し、裏のありそうなブリジットがいつ裏切るか期待しましたが、そういうサプライズ展開もまったくありません(爆
結局、千葉とブリジットは最後まで真実を知ることなく死亡。事件の黒幕もはっきりと末路が明示されず、モヤモヤした雰囲気のままストーリーは幕を閉じていました。
アクションシーンの質についても問題だらけで、そのクオリティは凡百のマーシャルアーツ映画以下となっています。原因はJACの援護が得られず、受け手に動ける面子がほとんどいなかった点にあると言えるでしょう。
おかげで刑事が襲われるシークエンスでは、全員(計4名)が一方的に惨殺されてしまうため、千葉の得意とする体術がほとんど見られないのです。せめて1人くらいは食い下がって欲しかったなぁ…。
ラストはロバートと路面電車をジャックした千葉のバトルが勃発。そこそこ身体を張ったスタントがあったりしますが、最後のがっかり爆破シーンに全てを持ってかれていました(苦笑
最初から最後まで不発だらけの本作。間違いなく千葉の海外遠征作品ではワーストの出来ですが、監督が『GEDO/外道』のダレン・スーでは無理からぬ話だったのでしょう。
その後、諸国をさすらった千葉は香港映画に流れ着き、『風雲 ストームライダーズ』でブレイクを果たします。もし本作が何かの間違いで大ヒットを記録していたら、香港で活躍する彼を見ることが出来なかったかもしれませんね。

「三国志英傑伝 関羽」
「KAN-WOO/三国志英傑伝 関羽」
原題:關雲長
英題:The Lost Bladesman
製作:2011年
●戦乱の時代を駆け抜けた英雄、関羽雲長こと甄子丹(ドニー・イェン)が死んだ。葬儀を執り行ったのは、姜文(チアン・ウェン)演じる魏の武帝・曹操孟徳…乱世の奸雄と呼ばれた男である。
20年前、甄子丹は捕虜として魏に身を寄せており、姜文は彼を自陣に引き入れたいと思っていた。しかし甄子丹は首を縦に振らず、あくまで「自分は劉備元徳に忠を尽くしている」と言って譲らない。
様々な手段で勧誘を行う姜文だが、劉備の居場所を知った甄子丹は出奔を決意。人質となっていた劉備の妻・孫儷(スン・リー)を伴い、魏から去る事となった。
根負けした姜文はこれを許可するも、今度は何者かの命令によって刺客が暗躍し、甄子丹たちに襲いかかっていく。果てなき戦いの中、彼と孫儷の間には許されざる感情が芽生えるのだが…。
『インファナル・アフェア』を手掛けた麥兆輝(アラン・マック)&莊文強(フェリックス・チョン)コンビによる監督作ですが、これがなかなか渋いタッチの佳作に仕上がっていました。
本作は『三国志演義』の「過五関 斬六将」を元にした作品で、主役の関羽を甄子丹が熱演。つねにストイックな姿勢を崩さず、戦いでは鬼のように強い猛将を見事に演じきっています。
当然、アクションシーンも甄子丹の独壇場と化しており、第1の刺客・安志杰(アンディ・オン)とのバトルでは、細い路地というシチュエーションを生かした攻防戦が見ものです。
他にも第5の刺客・王學兵との激突など、展開される戦いはどれも壮絶…と言いたいところですが、残念ながら不満を感じる点も多々ありました。
まず最初の問題は、まともな立ち回りが開始40分まで無いという点です。おかげで序盤の敵将との勝負が一瞬で終わってしまうんですが、まさかこの敵将を演じているのが錢小豪(チン・シウホウ)だったとは…(涙
次に問題となってくるのが、アクション設計の不親切さでしょう。第2&第3の刺客と戦う場所が暗くて見づらかったり、第4の刺客との戦いが音だけで終わったりと、肩透かしを食らうファイトが幾つもあるのです。
最後の戦いもザコしかおらず、まさに竜頭蛇尾を地で行く結果となった本作。錢小豪がいるのなら、それこそラスボスに持ってきてほしかったと言わざるを得ません。
ストーリーについても、孫儷とのラブストーリーは取って付けた感が強く、個人的にはあまり好感が持てませんでした。しかし本作を佳作たらしめているのは、姜文が扮した曹操の存在感にあります。
曹操といえば、冷酷な人物というイメージが一般的のようですが、本作では複雑な思いを秘めたキャラクターとして登場。甄子丹に対して友のような感情を抱き、熱心に仲間として迎え入れようとします。
が、その行動の端々には残忍さが見え隠れし、曹操という人物が“人間でありつつも奸雄でもある”という事を、見る者に強く印象付けていくのです。
この描写は最後まで徹底されており、ラストでは甄子丹の死を心から悼みつつも、戦いの策に利用しようとする狡猾さを見せていました(最後に手を合わせるシーンがかなり怖いです)。
甄子丹の立ち回りと姜文の演技…この2つが見事だっただけに、それ以外のマイナスポイントが実に惜しいです。ところで関羽といえば赤兎馬ですが、どうして本作では登場しなかったんでしょうか??