
「仁義なき戦い 復讐・血の掟」
「アンディ・ラウのドラゴンファミリー」
「龍之家族 復讐・血の掟」
原題:龍之家族
英題:The Dragon Family
製作:1988年
●香港黒社会の大物・柯俊雄(オー・ジョンホン)は、四大派閥をまとめる頭目であると同時に、龍一族の家長として息子たちに目をかけていた。彼は裏の仕事から手を引き、カタギとして生きていこうと考えていたのだが…。
そんな中、四大派閥の一角を仕切る谷峰(クー・フェン)の弟・何家駒は、仲間の徐少強(ノーマン・ツイ)と共謀して下剋上を画策。柯俊雄の息子の1人・張國強を騙し、ご法度である麻薬密輸の濡れ衣を着せてしまう。
すぐに罠だと見抜いた柯俊雄であったが、強硬手段を良しとしない彼は交渉でケジメを付け、その上で息子を助けようとする。しかし、柯俊雄は交渉時のトラブルによって殺されてしまい、龍一族は悲しみに包まれるのだった。
悲劇はそれだけで終わらず、この機に乗じて葬儀場を襲った徐少強&何家駒は、龍一族の面々と他の派閥のリーダーたちを殺害。用済みとなった谷峰を始末し、彼らの野望はここに達成される事となる。
だが、台湾に落ち延びていた義理の息子・譚詠麟(アラン・タム)、アメリカ留学から帰国した莫少聰(マックス・モク)、そして劉華(アンディ・ラウ)が復讐に立ち上がった。…今、男たちの魂が烈火のように燃え盛る!
80年代末、ちょっとしたブームとなった黒社会ものに劉家榮(ラウ・カーウィン)が挑んだ作品ですが、なかなかに充実したキャストを誇っています。
劉華を始めとしたイケメン俳優を中心に、功夫片でお馴染みの惠英紅(クララ・ウェイ)や高飛(コー・フェイ)、個性派脇役の鄭則仕(ケント・チェン)などがズラリ! まるでオールスター作品のような顔ぶれです。
ただし、劉華たち3人の出番は最初と最後だけ。明らかにスケジュール調整の不足が見え見えの作りですが、監督の劉家榮は特定の主人公を置かず、群像劇に仕立てることで違和感の払拭を試みています。
おかげで主な登場人物に等しく見せ場が用意され、最後まで一気に見通すことが出来ました。しかし気合が空回りすぎて滑稽に見えるシーンも多く、劉華たちが母親を殺されて動揺するカットなどは、その傾向が特に顕著です。
さて、この出演者に加えて動作設計が武術指導家の大御所・劉家良(ラウ・カーリョン)とくれば、アクションに期待しないわけにはいきません。ところが本作は銃撃戦がほとんどで、肉弾戦は僅かしか無いのです。
まぁ、黒社会を扱ったシリアスな映画でコテコテの功夫ファイトを繰り広げたりしたら、雰囲気ブチ壊しもいいところ。このへんは劉家榮の意向が尊重されているのでしょう。
素手のファイトが見られるのは中盤以降で、葬儀場での苗僑偉(ミウ・キウワイ)VS成奎安(シン・フィオン)、莫少聰を逃がそうとする鄭則仕の奮闘などが見どころとなっています。
とはいえ、終盤のラストバトルは一定のクオリティを保っているものの、立ちはだかる強敵が徐少強しかいないため、ややボリュームに欠ける印象を受けました。ここは直前に死ぬ高飛を温存しておいて、莫少聰あたりと戦って欲しかったなぁ…。
オチが弱くなりやすい劉家榮の監督作ですが、意趣返しとも取れるラストが強く印象に残る本作。劉華の主演作として見るといささか微妙なので、群像劇だという点を踏まえて視聴するのがオススメです。