
「冷面虎 復讐のドラゴン」
「ジミー・ウォング/冷面虎 復讐のドラゴン」
原題:冷面虎/冷面虎 京都之旅
英題:A Man Called Tiger
製作:1973年
●今年はハリウッドのジャッキー映画特集を筆頭に、ニコイチ映画、KSSのVシネマ、『天地大乱』の思い出、ジェイソン・スティサム主演作、佳元周也作品、中国産の功夫片、未公開の格闘映画、李小龍の伝記映画など、多彩な企画をお送りしてきました。
そして今月は10回連続特集のオーラスであり、2017年を締めくくるに相応しいテーマとして、我らがジミー先生こと王羽(ジミー・ウォング)の作品をセレクト! 特集の回数にちなんで、厳選した10本のジミー映画をお届けしたいと思います。
さて、当ブログとしては久々となる大ボリュームの特集ですが、まずは先月に引き続いて李小龍(ブルース・リー)に縁のある作品から紹介してみましょう。
皆さんもご存じの通り、本作は『ドラゴン 怒りの鉄拳』を撮り終えた羅維(ロー・ウェイ)が、李小龍の次なる主演作として企画していた作品です。しかし李小龍は出演に難色を示し、『ドラゴンへの道』の撮影でローマに旅立ってしまいます。
そこで羅維はジミー先生を代役に立て、李小龍作品になじみのあるキャストを大量投入。全編に渡って日本ロケを敢行し、気合十分で撮影に挑みました(このとき二本撮りで一緒に作られたのが『海員七號』)。
ストーリーは京都にふらりと現れたジミー先生が、流しの岡田可愛や協力者の笠原玲子と出会いつつ、非業の死を遂げた父親の謎を探っていくというもの。ここに衣依(マリア・イー)や岡田の父親にまつわる謎、二組のヤクザによる策謀のドラマが展開されます。
本作はジミー先生の主演作にしては珍しく、日本に関するトンチキな描写などは一切ありません。ストーリーも様々な謎が絡むサスペンスとなっており、ハードボイルドなタッチは最後まで一貫されていました。
ただ、作品としては単なる主人公の復讐劇でしかなく、日本ロケを行ったわりには小ぢんまりとした印象を受けます。李小龍が本作の主演を蹴ったのも、エンターテイメントとしての華やかさや、スケール感に欠けていたから…なのかもしれません。
その他にも、終盤における強引な種明かしや急展開、この人まで死なせなくてもいいのに…と思ってしまうラストなど、疑問符が浮かぶ部分も多々ありました。サスペンスタッチの物語が良かっただけに、竜頭蛇尾で終わってしまったのは実に残念です。
一方、アクションシーンでは手数よりも勢いが重視され、ジミー先生らしい喧嘩ファイトが繰り広げられています。敵幹部の韓英傑(ハン・インチェ)、相棒役の田俊(ジェームス・ティエン)との対戦も、相変わらず荒々しい迫力に満ちていました。
劇中ではロープウェイでの宙吊りスタント(浜名湖に飛び込むシーンは人形?それとも本人?)、狭い路地でのカーチェイスも盛り込まれており、アクション的には十分満足できる内容です。
ラストではジミー先生が殺し屋の仲子大介・ヤクザのボスである田豊(ティエン・ファン)・同じくボスの若杉玄といった面々と激突! 語り草となっているジミー先生の片足連続蹴りなど、最初から最後まで見どころ満載の好勝負となっています。
惜しむらくは、ジミー先生が韓英傑を倒す際に使った謎の武器が、それっきりの登場となってしまっている点でしょうか。私はてっきり最後のVS若杉で使うかと思っていったので、普通に決着がついた時は少々ガッカリしてしまいました(苦笑
作品としては悪くないものの、詰めの甘さで佳作になりそこねた作品。とはいえ、全体のクオリティは『海員七號』よりも上なので、決して見て損はないはず。ジミー先生らしさなら『海員七號』、ストーリーなら『冷面虎』に分があると言えるでしょう。
さて次回は、またもやジミー先生が日本に上陸! わけのわからない奇祭、なんちゃって相撲取りたちが乱舞する異形のジパングに迫ります!