メジャー大作を振り返る:日米編(1)『トランスポーター』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「トランスポーター」
原題:The Transpoter
製作:2002年

▼先月は香港映画のメジャータイトルに触れてきましたが、今月は国境を飛び越えて日米の名作アクションに迫りたいと思います。そのトップバッターを務めるのは、当ブログではあまり馴染みのないジェイソン・スティサムの初主演作でいってみましょう。
スティサムといえば、元モデル(その前は飛び込み選手)だった過去を持ち、『ザ・ワン』の出演を経てアクションに開眼。数々のアクション大作で名を馳せ、今もなおハリウッドの最前線で活躍する肉体派スターとして知られています。
しかし、マイナー思考の当ブログでは大作を紹介する機会に恵まれず、なかなか主演作のレビューができずにいました。今回はそんな迷いを振り切り、彼の主演作の中でもっとも有名な作品を再見してみたのですが…。

■スティサムはプロの運び屋で、卓越した運転テクニックと身体能力で確実に依頼をこなしてきた。彼は「契約を守る・依頼人の名前は聞かない・依頼品は開けない」という3つのルールを厳守している。
そんなある日、スティサムはルールを破って依頼品を開けてしまう。そこにはなんと舒淇(スー・チー)が詰め込まれており、彼女を届けた後も依頼主のマット・シュルツから命を狙われる事となった。
加速度的に悪くなっていく状況の中で、彼は舒淇から思わぬ事実を告げられる。刑事のフランソワ・ベルアレンを巻き込みつつ、戦いは遂に最終局面を迎えようとしていた…!

『キス・オブ・ザ・ドラゴン』のリュック・ベッソンが製作総指揮&脚本を手掛けているだけあって、本作は全編にわたってノンストップでアクションが炸裂する、実に賑やかな作品となっていました。
ただし『キス・オブ~』のような情緒や、『TAXi』のような能天気さは皆無。製作サイドもそのへんは割り切っているらしく、アクションシーン以外の要素はとことん切り詰められています。
 おかげでツッコミどころが多く、舒淇の行動していた動機や敵の悪事など、描写不足なところもいくつか見受けられました。とはいえ、ベッソンらしいスタイリッシュな画作りには引き込まれるものがあり、冗長さはほとんど感じません。
ストーリーの進行も早く、ザックリとした終わり方はどこか香港映画を髣髴とさせます。このスマートさと疾走感は、監督であるルイ・レテリエと元奎(コーリー・ユン)の個性が上手く反映された結果といえるでしょう(作品の出来は別として)。

 アクション面も2つの個性が混ざり合い、ド派手なカーチェイスと功夫ファイトが炸裂! 特に後者においては、元奎の指導によってスティサムの実力が存分に発揮されており、華麗な立ち回りが繰り広げられていました。
彼の長所はアクションに対する順応性の高さにあります。香港式のファイトから欧米式の殴り合いに至るまで、そつなくこなせるのがスティサムの凄みなんですが、本作の時点で既に確立されていたとは驚くしかありません。
 残念なのは、因縁のあったマットとの最終決戦が中途半端だったのと、後半でスティサムを拘束した中国系の敵とのリターンマッチが無かったこと。それ以外は上々だったんだけどなぁ…。
作品としてはやや甘く、意地悪な言い方をすればスティサムのPVでしかない本作。しかし裏を返せば、彼のアクションスターとしての魅力が凝縮された作品でもあるので、決して見て損はないと断言できます。
さてさて、次回は時代をググッと戻して80年代にタイムスリップ! ワックスとペンキを用意して次の更新をお待ちください!