『クライム・ジャングル/怒りの鉄拳』 | 続・功夫電影専科

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「クライム・ジャングル/怒りの鉄拳」
原題:A DANGEROUS PLACE
製作:1994年

●空手少年のテッド・ジャン・ロバーツは、兄のディーン・コクランや優しい母親に囲まれ、静かな暮らしを送っている。しかし背伸びをしたい年頃のディーンは、コリー・フェルドマン率いる不良グループと付き合い、夜な夜な外出を繰り返していた。
ある日、「本当に仲間になりたかったら盗みをしろ」とコリーに迫られたディーンは、彼らと乱闘になり転落死してしまう。この一件はコリーたちによって自殺に偽装され、残された家族は深い悲しみに包まれた。
 兄の死に疑問を感じたテッドは、真相を探ろうと捜査を開始。自らコリーたちの仲間に加わり、彼らが通うマーシャル・ティーグの空手道場に潜入していく。いきなり不良じみた彼の姿に、周囲の人々は困惑するのだが…。
その後、道場ぐるみで行われる犯罪行為&兄を殺した真犯人が判明するも、証拠らしい証拠は無いに等しい。やがてマーシャルが率いる道場と、テッドがかつて所属していた道場による対抗戦が開催され、テッドは古巣の道場に舞い戻った。
兄の仇討ちに執念を燃やすテッドと、この機を利用して彼を殺そうとするコリー。今、宿命の戦いのゴングが鳴る!

 アメリカにおける数少ないアクション子役の1人であり、『ユニバーサルキッド』などに出演しているテッド・ジャン・ロバーツ。本作はそんな彼の主演作なんですが、単刀直入に言うと実に微妙な作品でした(苦笑
まず気になるのがストーリーの“雑さ”です。真相解明に至るまでの過程(兄の幽霊によるメッセージで判明)、警察が証拠もないのに大挙して出動するラストなど、例を挙げればキリがありません。
 特に問題なのが作中における警察の扱いでしょう。本作の粗筋は「警察の態度に業を煮やした一般人が立ち上がる」というもの。こうした作品では、警察がどれだけ無能なのか描写しておかないと、主人公の戦う必要性が弱くなってしまいます。
本作はこの点を思いっきり失敗していて、警察が自力でコリーのいる道場が怪しいと見抜き、先述したように速攻で駆けつけてマーシャルたちを一網打尽にするのです(ちゃんとダメっぷりを見せるシーンもあるんですが…)。
警察が普通に役立つとなると、テッドのやっている潜入捜査は単なる先走りとなり、完全に無駄な行為でしかなくなっています。撮影時、この矛盾に誰か気付かなかったのでしょうか?(爆

 壊滅的な物語が繰り広げられる一方で、アクションについては割と健闘しています。製作元がPMエンターテイメントだけあって、計2回ほど行われるカーチェイスはとても豪快! 主題となる格闘シーンも充実していました。
今回もテッドは自分より大きな相手に立ち向かい、素早い蹴りをビシバシと叩き込みます。子役としてはテッドの先輩格となるコリー、大ボスとなるマーシャルも機敏な動きを見せており、彼らの見せるファイトは悪くありません。
 唯一の欠点は、非常に強いはずのマーシャルがテッドの師匠であるマコ岩松に、呆気なく倒されてしまう点でしょうか。直後にテッドVSコリーというメインディッシュが控えているとはいえ、師匠同士の対決が一瞬で終わるのはとても残念です。
なお、本作のアクション指導はドン・ウィルソン作品でおなじみのアート・カマチョ。身軽なティーンの役者が多かったおかげで、今回は立ち回りがスピーディーに感じられました。
真相を探るためとはいえ、犯罪(窃盗&警備員への暴行)を犯したテッドが不問で終わるラストといい、最後まで“雑さ”に振り回される本作。アクションだけは本当に良いんだけど…う~ん。