
「孔雀王」
原題:孔雀王子
英題:Peacock King
製作:1988年
▼成龍(ジャッキー・チェン)を始めとしたBIG3の中でも、元彪(ユン・ピョウ)は日本との関わりが特に深い人物でした。来日やTV番組への出演はもちろん、日本絡みの映画作品に何度も参加。前回の『落陽』もその1つです。
そんな元彪と日本のコラボレーションは、80年代後半に撮られた本作から始まりました。この作品は日本&香港の合作映画で、スタッフやキャストは一流どころが揃っています(原作は荻野真の同名コミック…ちなみに現在も新シリーズが連載中)。
ただし、あの『セブンス・カース』や『妖獣大戦』を撮った藍乃才(ラン・ナイチョイ)が監督なので、今回もグロテスクな描写は健在。相変わらず話にもクセがあり、見る人を選ぶ作品となっていました(爆
■チベットの遺跡発掘現場から、魔界の使者・王小鳳(ポーリン・ウォン)によって葉蘊儀(グロリア・イップ)が復活した。彼女は地獄門を開く鍵であり、もし封印が解かれれば究極の魔・皆魔障外神が降臨し、この世は地獄になるという…。
異変を感じ取ったラマ寺院の高僧・高雄(エディ・コー)は、葉蘊儀を封じ込めるべく元彪を派遣。時を同じくして、除霊のために高野山から来た青年僧侶・三上博史は、仕事先で会社員の安田成美と出会っていた。
2人は来日した元彪と知り合い、香港へ向かった葉蘊儀を追う事となる。…だが、三上と元彪には知られざる宿命が課せられており、彼らを危険視する劉家輝(リュー・チャーフィ)は追撃を開始した。
一方、香港に飛んだ3人は下水道で王小鳳と戦うが、やむをえず葉蘊儀を殺めてしまう。純真な彼女を助けたいと思った元彪は、皆と一緒にラマ寺院を目指した。
その後、葉蘊儀は懸命の治療によって蘇るのだが、それは皆魔障外神との戦いが避けられない事を意味していた。やがて三上たちの出生の秘密が明かされ、師匠の緒方拳や劉家輝たちも到着。解き放たれた地獄門を舞台に、最後の戦いが始まる…!
▲本作は撮影中に色々とトラブルが起こり、元彪が足を骨折するというアクシデントにも見舞われたとのこと。その影響は映画全体に及んでおり、どこかイビツな印象を感じる作品に仕上がっていました。
特に顕著なのが主役2人の扱いで、明らかに見せ場が元彪だけに偏っているのです。アクション未経験の三上が立ち回りで後れを取るのは仕方ありませんが、ドラマパートでも主だった見せ場はすべて元彪が担当。この三上を蔑ろにした構成を見るに、現場で大きな問題が起きていたことは明々白々と言えます。
本筋と関係ないタクシー運転手とのいざこざに尺を割いたりと、他にも多くのアラが目に付く本作。しかし元彪VS劉家輝というドリームマッチを実現したことで、功夫映画史にその名を刻んだといっても過言ではありません。
当時の元彪はゴールデンハーベストに在籍し、それ以前はサモハン率いる洪家班で仕事をしていました。一方、劉家輝はショウブラザーズで劉家班のスターとして活躍していたため、所属が異なる彼らの本格共演は見送られていたのです。
この大物スター同士のバトルは後にも先にも1度だけで、功夫映画ファンなら必見の勝負だと思います。ちなみに最終決戦は皆魔障外神(ただのデカいおっさん)とのサイキックバトルなので、こっちは別に見なくてもいいかな?(苦笑
さて、本作でチベット密教という存在に出会った元彪は、これを自らの監督作のモチーフにしようと考案。より香港映画らしさを強調した作品の製作に取り掛かるのですが…続きは次回にて!