
「ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン」
「ランダウン」
原題:The Rundown
製作:2003年
●ドゥエイン・ジョンソンはマフィアお抱えの借金取立人。マフィアに借金を作ったせいで今の仕事に就いているが、将来は足を洗ってレストランを開きたいと思っていた。
そんな彼に最後の仕事が言い渡される。雇い主のボス曰く、「息子のショーン・ウィリアム・スコットを連れ戻してこい」とのこと。肝心のショーンはアマゾン奥地で宝探しをしており、現地に飛んだジョンソンはすぐに彼を見つけ出した。
だが、現地で金鉱を採掘している独裁者のクリストファー・ウォーケンが、お宝の在りかを知るショーンを狙って動き出した。たちまち追われる身となった2人は、町をクリストファーから取り戻そうとする抵抗軍と遭遇する。
両者は誤解から対立するも、リーダーであるロザリオ・ドーソンの取り成しで事なきを得た。ところがクリストファーたちの襲撃で抵抗軍は大打撃を受け、逃げ出した3人は利害の一致によりお宝を探すことになった。
紆余曲折の末、手に入れたお宝はロザリオが抜け駆けして持ち去り、ジョンソンとショーンはなんとか目的地の飛行場に辿り着けた。しかし彼女がクリストファーたちに捕まったと聞き、2人の男は町へと戻っていく。大勢の敵が待ち構える中、戦いの結末は…!?
かつてWWEのトップスターとして君臨し、現在は俳優として活躍するドゥエイン・ジョンソン。今や肉体派スターの一角として数えられる彼ですが、同じWWE組の格闘俳優であるスティーヴ・オースチンとは違う道のりを歩んでいます。
スティーヴは大作映画とは縁遠いものの、そのキャリアはマーシャルアーツ映画一色です。一方、ジョンソンはマーシャルアーツ映画から距離を置いており、一時はSF映画やファミリー向け作品に顔を出していました。
「このままアクション映画から卒業するのでは…?」と危ぶまれたジョンソンですが、近年は格闘要素のある作品への出演が増えつつあり、今後に期待したいスターの1人といえるでしょう。
本作は、そんな彼が俳優活動を始めて間もない頃の主演作で、かなり大味な仕上がりとなっています。全体的に作り込みが甘く、勢い任せでB級感丸出しのストーリー展開には賛否が分かれますが、笑える場面も多かったので個人的にはOKでした。
それより気になるのは作中における格闘シーンの質です。ジョンソンのようなレスラー系の役者は、殺陣の振り付けが悪いと木偶の坊になりやすく、その傾向はキックボクサー系の役者より極端であるといえます。
しかし本作では、成家班出身の鄭繼宗(アンディ・チェン…役者としては『アルティメット・ディシジョン』の用心棒役が印象深し)が動作設計を担当しているため、そのような事態には陥っていません。
ジョンソンの無骨なファイトスタイルは力強さに富み、もたつく間もないので安心して見ていられます。適度にワイヤーワークも加味されており、中盤のアーニー・レイズJr戦、終盤におけるムチ使いトリオとの対決も迫力満点でした(特にアーニーが見せる電光石火の早技が凄い!)。
映画としてはどうしようもなくB級ではありますが、深く考えずにアクションだけ楽しむなら最良の逸品。個人的にはこのまま格闘アクション路線を突き詰めて、いつかスクリーン上でザ・ロックVSストーンコールドの激突を見せて欲しいですね。