
「タイガー・オン・ザ・ビート2」
原題:老虎出更2
英題:Tiger on the Beat 2/Tiger on Beat 2
製作:1990年
▼2000年代初頭、突如として現れたスパイクの「スパイクドラゴン」は、古きよき時代の香港映画を取り揃えたレーベルでした。そのラインナップは実に多彩で、『サイクロンZ』のような名作から、『タイガー刑事』『黒猫』といった通好みな作品などを網羅しています。
中でもファンを驚かせたのは『片腕ドラゴン』の発売でしょう。この他にもコアなタイトルが続々と売り出されましたが、2002年ごろに同レーベルは市場からの撤退を表明。かくしてスパイクという名の龍は、多くの未発売作品を残したまま天に昇ってしまいました。
本作は「スパイクドラゴン」からリリースされた物の1つで、シネマシティ(新藝城)が製作した『タイガー・オン・ザ・ビート』の続編的作品です。前作は主演の周潤發(チョウ・ユンファ)が目立てず、作品自体のタッチも実に古臭いものでした(苦笑
今回も監督は劉家良(リュー・カーリャン)、ダブル主演の片割れを李元覇(コナン・リー)、悪役を劉家輝(ゴードン・リュウ)がそれぞれ担当していますが、周潤發に代わって李修賢(ダニー・リー)がメインとなっています。
■アメリカで船員をしていた李元霸は、休暇で香港に訪れていた。しかし彼は短気なところがあり、叔父で刑事の李修賢は手を焼くばかり。バーで暴れたと思ったら、今度はスリを捕まえようとして警察の張り込み現場に居合わせ、捜査を台無しにしてしまう。
このとき警察が追っていたのは、麻薬密売の仲介役である黄錦[火炎/木](メルヴィン・ウォン)…だったのだが、黒社会のボス・劉家輝は彼を殺害。自ら直接取引きを行い、儲けを独占しようと企んでいた。
その殺人現場を目撃し、取引に必要な指輪をスってしまったのが、コソ泥の陳雅倫(エレン・チャン)であった。彼女はたまたま近くにいた李修賢たちに保護を求めるが、証拠が無いのでなかなか信じてもらうことができない。
翌日、陳雅倫は劉家輝から連絡を受け、指輪の取引に応じようとするが大乱闘に発展。この一件で李修賢は停職処分を喰らうが、再び彼女が襲撃を受けたことで遂に警察が動く事態となる。
その後、警察は病院で刺客の張耀揚(ロイ・チョン)を迎え撃つも、まんまと逃走を許してしまった。なんとか敵の足取りを掴んだ李修賢たちは、指輪を飲み込んだ彼女と張耀揚を追って、麻薬取引の現場に辿り着くが…。
▲旧知の仲である李修賢と劉家良が組み、今度こそ2人の主役が同等に並び立つ現代アクションになるか!?と思われた本作ですが、残念なことに前作よりもスケールダウンした凡作に仕上がっていました。
確かに李修賢の扱いは悪くないものの、李元霸に振り回されてばかりで全然目立っていません。李元霸は相変わらずの脳筋っぷりですが、ヒロインの陳雅倫が色々と問題のあるキャラと化していました。
彼女は本作の鍵となる人物ですが、その行動がメチャクチャなのです。命を狙われ、必死の思いで李修賢の家に転がり込んできたと思ったら、次のシーンでは横柄な態度を取り、挙句に李修賢と李元霸のケンカを誘発させます。
また、美容室の戦いでは李元霸を置いて逃げ出し、李修賢に対して「私を助けてよ!」と訴えるシーンは、流石に虫が良すぎると思いました。前作の利智(ニナ・リー)も生意気なキャラでしたが、本作の陳雅倫は最悪の一言に尽きます。
アクション演出も不発で、前作の狄龍(ティ・ロン)みたいなゲスト出演もなし。今回も多数の功夫俳優が出演していますが、高飛(コー・フェイ)や張午郎なんかは随分と勿体ない扱いを受けています。
ラストバトルにおける李修賢のガンプレイ、バス内での李元霸VS劉家輝も前作ほど印象には残らず、またも劉家良は失敗を重ねる結果となってしまいました。やっぱり彼の演出は現代劇に向いていないのかなぁ…?
その後、「スパイクドラゴン」の撤退と前後して、新たな”事件”が香港映画ファンに衝撃を与えます。天映娯樂という会社が、なんと香港映画最大のスタジオと呼ばれたショウ・ブラザーズ(邵氏兄弟有限公司)のライブラリを解放したのです。
やがて日本でのリリースも決定し、多くの人々の尽力によって大量の傑作・秀作が世に放たれました。栄えあるそのレーベルとは…以下、次回!