『沈黙の標的』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「沈黙の標的」
原題:Out for a Kill
製作:2003年

●数年前、私はyoutubeでスティーブン・セガールの動画を見たのですが、その中で少林僧?や猿拳使いが登場するカットがあり、ずっと何の作品なのか気になっていました。しばらくして件の映像が本作のものと分かり、さっそく視聴してみました…が、これは……。
物語は、麻薬密売を企むチャイニーズマフィアの陰謀に考古学者(元怪盗)のセガールが巻き込まれ、殺された助手と妻の敵を討つために戦うというもの。とてつもなくシンプルなプロットですが、何故か本作は全編に渡ってテンションが異様に低く、1つとして盛り上がるシーンが存在しません。
これは『ICHIGEKI 一撃』のように意図的に抑えた作風にしたのではなく、明らかに演出の不備によるものです。ストーリー展開は飛び飛び、映像はスタイリッシュを気取ろうとして大失敗、そして全体的に画面が暗いというオマケ付き。これらの欠点が災いし、単純なはずの話が更に分かりづらくなっていました。

 一方、ファイト・コレオグラファーを香港の武師である劉志豪(かの『ワイルド・ブリット』『ツイ・ハーク THE マジック・クレーン』の武術指導を務めた実力派)が担当しているので、劇中の格闘アクションはそこそこ見栄えがあります。
本作で最大の…というか数少ない見せ場は、先述のセガールVS少林僧、そしてVS猿拳使いの2つです。特にユニークなのがVS猿拳使いで、敵がワイヤーワークを駆使して香港映画チックに飛び回り、いつもより若干動けているセガールと戦いを繰り広げていました。
劉志豪はよく程小東(チン・シウトン)と組んで仕事をしており、この一戦は恐ろしくチープですが程小東の影響を感じさせるものになっています。しかし、それ以外の格闘シーンはまったくもって盛り上がらず、妻を殺した仇敵との決着も驚くほどアッサリしています(ラスボスの最期にいたってはギャグと紙一重)。

 セガールVSチャイニーズマフィア…味付け次第で化ける可能性はあったのに、このような結果で終わったのは残念至極。この時期のセガールは香港を意識した作品をいくつか撮っていますが、本作はその中でワーストの出来と言えるかもしれません。
ちなみに本作の監督であるマイケル・オブロウィッツは、香港系スタッフ抜きで作った『撃鉄 GEKITZ ワルシャワの標的』を手掛けていますが…こっちもかなり駄目そうだなぁ(汗