『海女』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


海女
英題:Bruce Against Snake in the Eagle's Shadow
製作:1979年

●(※画像は本作を収録したDVDセットの物です)
 さて、本作は80年代のショウ・ブラザーズで活躍した功夫俳優・龍天翔が、ショウブラ入りする前に主演していた作品です。当時の彼は李小龍のバッタもんを演じることが多く、かの悪名高い『決鬥死亡塔』に出演したのもこの頃でした。
しかし本作は、バッタもんという一言では片付けられない異様な一面を持っています。というのも、この作品のタイトルは「海女」。今まで様々な功夫片を見てきた私ですが、ここまで奇妙な題名の作品は見た事がありません。果たしてどんな内容か気になりますが…もうそのまんまバッタもん李小龍が海女さんの為に戦うという話でした(爆

 地元でトラブルを起こし、数年後に帰って来た龍天翔(役名はなんとタン・ロン!)。帰郷後、彼は町の産業である海女の補佐をする仕事に就くが、産業を潰そうとする?悪党たち(もしかしたら目的が違うかも)が現れる。龍天翔は恋人と愛を育みつつ、この巨悪に立ち向かっていくのだった。
…という話なんですが、どうして海女と李小龍を組み合わせようとしたのか、製作サイドの狙いがまったくもって解りません(笑)。この手の作品にしては珍しく、爽やかなラブストーリーが本筋のひとつになっている点は評価できなくもないでのすが、残念ながら異常すぎるコラボに全てを持ってかれています。

 これでギャグ映画ならカルトムービーとして注目されたかもしれませんが、本作は低予算のバッタもん映画です。ストーリー展開はゆるいし、龍天翔のモノマネは徹底していないし(怪鳥音はたまにしか発しない)、アクションは野暮ったいなど、もっさりした部分ばかりが目に付きます。
キャストも無名俳優だらけで、有名どころといえば中ボスの龍飛(ロン・フェイ)、珍しく善役の馬金谷、組織の用心棒として登場する蔡弘しかいないという有様。彼らと龍天翔が絡むシーンはそこそこ見ていられるものの、元々のアクションレベルが低いので大した事はありませんでした。
撮り方しだいでは『李三脚威震地獄門』のようなバカ映画になれたかもしれない奇怪な作品。ちなみに英題に「Bruce Against Snake in the Eagle's Shadow」とありますが、蛇拳はもちろん猫爪くずしも出てこないので御注意を。