
「霊幻少女 帰ってきたテンテン」
原題:靈幻少女
製作:1992年
●今年はこれまでに「TVじゃない作品」「監獄アクション」「国内未公開の格闘映画」「黄家達」などの特集をお送りしてきましたが、9月は「マイナーな作品」というテーマでいきたいと思います。いわゆる未公開映画の類ではなく、国内で正式リリースされていて知名度に難アリという作品を取り上げます。
というわけで、まず最初は『来来!キョンシーズ』系列の最終章となる本作の紹介です。『来来~』はキョンシーブームが巻き起こっていた80年代後半にて、『霊幻道士』と人気を二分した大人気シリーズでした。『霊幻道士』がキョンシーそのものに重点を置いていたのに対し、『来来~』は劉致(シャドウ・リュウ)ら子供たちをメインにすることで人気を獲得したのです。
シリーズは映画5本とTVドラマが作られましたが、本作は90年代に入ってから作られた最後の作品です。主要な人物はテンテン・トンボ(鄭同村)・金おじいさん(金塗)の3人となり、新たにまるちゃん(賀艾[女尼])という新キャラが加入。ストーリーは様々なトラブルに妖術で立ち向かうという話ですが、クライマックスで異様な展開が待ち構えています(詳細は後述)。
実を言うと私は『来来~』シリーズの直撃世代ではないため、個々のキャラクターにあまり感情移入が出来なかったのですが、それを差し引いてもキツいものがありました。自業自得なトラブルばかり引き起こすトンボ、何かと問題の種になるまるちゃん、弁解を聞こうとしない金おじいさん…特にトンボがお盆の幽霊に爆竹を投げつけるくだりは、正直言ってやりすぎです。
(以下、ネタバレ注意)
物語は中盤に悲しき女幽霊(描写が『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』まんま)のエピソードを挟みますが、結末がウヤムヤになったあたりから作品の空気が変わり始めます。突然テンテンたちは異世界に飛ばされ、金おじいさんの宿敵であるクマラ(一切の伏線なしに登場)が大量の手下を連れて攻め入ってくるのです。
戦いは徐々にクマラ側が優勢となり、まるちゃんは背中を貫かれて死亡。トンボは洗脳された挙句に撲殺され、金おじいさんに至っては全身から血を噴き出して燃えながら息絶えます。テンテンは金おじいさんによって逃がされますが、こちらも重傷を負ったまま。最後は住んでいた屋敷も燃やされ、問答無用のバッドエンドで終幕となります。
こういった救いの無い展開は、功夫片やキョンシー映画などでも稀にあります。ラストで主人公が狂う『癲螳螂』、最後に脇役が思わぬ行動を起こす『霊幻童子』のような作品も存在しますが…多くのファンに愛された人気シリーズの久々の続編にもかかわらず、ここまでゴアな展開にしてしまう製作者サイドには疑問を感じざるを得ません。
キョンシー映画ファンにとっては成長したテンテンたちの姿が、功夫映画ファンにとってはトンボの見せるアクロバティックなアクションが見どころとなるはずだったのに、ドラクエの強制敗北イベントみたいなオチに唖然としてしまう怪作。監督の王知政はスイカ頭を爆殺した前科があり、こうなってしまったのは彼に原因がありそうです。
ちなみに、クマラを演じたのは武術指導も兼任している李海興。『霊幻童子』でも彼がラスボスでしたが、本作で彼の吹替えを演じたのは人気声優の子安武人だったりします。声が合成されているので判別しづらいですが、個人的にはここが唯一にして最大のサプライズでした(爆