
「ジョイ・ウォンの紅い愛の伝説」
原題:浪漫殺手自由人
英題:Killer's Romance
製作:1990年
▼この作品は、当時人気絶頂だった任達華(サイモン・ヤム)と王祖賢(ジョイ・ウォン)が引っ張り出された黒社会アクションの1本で、全編に渡ってロンドンでのロケーションが行われている。物語は黒社会の抗争に巻き込まれた男女を主軸としたラブストーリーなのだが、監督が高飛(コー・フェイ)なので功夫アクションも充実しているのが特徴。まぁ、動作片とか功夫片ばっかり撮ってる高飛が平凡なラブストーリーを描くはずがないよねぇ(爆
■任達華はロンドンを拠点に活動するヤクザのドンの息子(正確には中国人の養子)。その父親がチャイナタウンの中国人マフィアに殺されたと聞き、彼はすぐさま報復行為に転じていった。
まずは聖堂で礼拝していた白彪(ジェイソン・パイ)を撃ち、続けざまに第2の標的も殺害する…が、その様子を女子大生の王祖賢に撮影されてしまう。そんなこととは露知らず、任達華は中国人マフィアのボスも難なく射殺するのだが、そのとき現場で王祖賢と再びブッキング。王祖賢は目撃者として警察の取り調べを受けるが、どうも任達華のことが気になり始めたようで、黙秘を貫いたまま家路へと急いだ。
だが、彼女の家には先回りをした任達華が待ち受けており、両者の間に緊迫した空気が流れる…。と、そこへ任達華が狙う最後の標的だった男・高飛が現れ、銃撃戦によって彼女が負傷してしまった。任達華は王祖賢を病院へ担ぎ込むと、自分の居場所を告げて身を隠すのだった。
一方、銃撃戦で傷を負った高飛の前に思わぬ人物が姿を見せる。任達華を二代目の組長に推していた日本人ヤクザ・鹿村泰祥(!)が、麻薬を売買しないかと持ちかけてきたのだ。実は親分殺しの犯人は中国人マフィアではなく、高飛と鹿村による謀殺だったのである(ついでに任達華を利用したいだけ利用して殺害する算段だった)。
そして、連中は邪魔者である任達華たちを始末せんと、秘密裏に動き出していた。怪我が癒えた王祖賢と任達華は一緒に静かな時間を共有していたのだが、当然のごとく平穏はブチ壊された。怒りに燃える任達華は高飛の根城へ攻め込み、銃撃戦の末に高飛を射殺!続いて現れたのは、最後まで任達華に味方していた女性組員の弟・石田憲一だった。これを退けた任達華は、かつての仲間である鹿村との決戦へと歩を進めていく。今、全てを取り戻すための闘いが始まった!
▲ああ、高飛らしいなぁ…と思えてしまう作品である。基本的に高飛は動作片や功夫アクションが大好きな人で、自身の監督作のほとんどにそういう要素を詰め込んでいた。本作ではラブストーリーをメインに描いているが、2人の馴れ初めが不明瞭だったりとぎこちない部分が見られる反面、アクションシーンだけは妙に気合が入っているのだ。
クライマックスになるとアクションの比率が一気に高まり、高飛との銃撃戦を皮切りに激しいバトルが連続していく。主な対戦カードは任達華VS石田憲一・任達華VSヤクザ軍団・任達華VS鹿村泰祥の3つで、どの闘いも色濃いものばかり。まず任達華VS石田憲一の一戦だが、この人は大島由加里と同じく元JACの斉藤一之に師事した方で、他にも高飛の監督作に参加しているらしい。本作では序盤こそ弱々しい姿を見せたものの、任達華との対決では切れ味抜群の蹴りを連発!日本人でまだこんな強豪がいたとはビックリだ!石田さんスゲェ!
ある事情から手が出せない任達華はピンチに陥るが、最終的に石田さんは死亡。王祖賢を助けるために鹿村のアジトへ向かい、任達華VSヤクザ軍団の対決となる。石田さんとの戦いで左腕を負傷している任達華は、刀を両手で握ることが出来ないので不利な戦闘を強いられてしまう。ここでハンデを背負った任達華が見せる奮闘ぶりが面白く、続く任達華VS鹿村さんの日本刀対決では、相変わらずキレキレの動きで迫る鹿村さんにも注目して欲しい(役柄的には『仁義なき抗争』の時と被っているけど)。
そんなわけで、個人的にはラストの連戦には燃えたけどストーリーは評価するほどのものでは…な感じでした。王祖賢の活躍がほとんど無かったので、女幽霊ではない王祖賢に期待している人には少々不満が残るかも?